コンテナ市況レポート 2010年9月

9月は例年コンテナの稼働率が船会社、リース会社とも一年のなかで一番のピークとなる月である。各リース会社の稼働率は依然98%前後を維持しているが、一時のようなコンテナに対す需要の勢いは収まってきているようである。リース会社は、現在9月製造分をコンテナメーカーから引き取っているが、発注しているコンテナ全てが、既に長期リースで予約されており、船会社がそのデリバリーを待っている状態である。

こんなにコンテナに対して需要があるなら、中国のコンテナメーカーに生産能力を上げたら良いものをと思うが、どうも今回は簡単に生産を上げられないようである。中国のコンテナメーカーは従来は3カ月前に値段を出し、受注を受けるのが一般的であった。過去に鋼材の急激な値上がり等の外部的要因で価格の変動が激しい場合でも1カ月前には受注を受けていた。現在は、大手のリース会社でもなかなか値段を出してもらえないと嘆いている。今でも、10月分のコンテナ発注がまだできていないとのこと。何故なら、2週間前にならないとメーカーから値段が出ないとのことである。
何故出せないのか?
何故この需要期にあえて増産しないのか?
鋼材の確保が難しい?
コンテナパーツが揃わない?
人手不足?
熟練工が少ない?
などなど、どう考えても可笑しな話ではないのか?一件もっともらしく聞こえるが、今までもこの同じような問題対して、中国のメーカーは過去に何回も同じような経験をし、対応してきた問題のはずである。
どうも中国コンテナメーカーの態度が不可解である。

本格的に中国にコンテナの生産が移行して約20年になるが、確かにコンテナ価格はマーケットに左右されてきた。コンテナ需要は夏場にピークを迎え、船会社もその時期に合わせて自社コンテナ、長期リースのデリバリーを優先した。一方コンテナメーカーは生産設備の有効活用をするために冬場にはコンテナ価格を下げて需要を喚起した。ところが90年の中ごろからサプライチエ―ンマネージメント、ジャストインシステム(トヨタのカンバン方式)に見られるように、欧米への物流が年間を通して安定的に動くようになると、船会社、リース会社は率先して冬場にコンテナの注文を入れ、少しでも安いコンテナの購入を図った。2000年以降は船会社もリース会社も年初に年間の発注を入れ安定供給を確保するようになった。また、船会社は船の大型化のために2006年から積極的に自社コンテナの購入を進めた。中国のコンテナメーカーはこれに呼応するように生産能力を高めてきた。
外的要因、2002年の米国西岸のILWUのスト、2004年のロスアンジェルス港、ロングビーチ港、ロッテルダム港の港湾設備のインフラ問題によるアジアでの新造コンテナのニーズの需要に合わせて増産すると翌年は過剰生産能力に陥り、コンテナ価格は$1,400から$2000の価格帯を上下していた。しかし、コンテナ需要は、2001年半ばから2008年のリーマンショックの9月までは右肩上がりで上がり続けたのである。

中国コンテナメーカーの果たしてきた役割は、船会社、リース会社にとっては計り知れないものがある。 世界の貿易、荷動きに対しても大きな貢献をしてきた。もし中国のコンテナメーカーのコンテナ製造能力、価格に対する柔軟性、がなければ、世界の物流に支障をきたし、商品の価格はもつと高くなっていたかもしれない。

一方、中国コンテナメーカーが何とか価格に対して主導権を握ろうとしていたことも事実である。また、リーマンショックまでは、自分たちの力を過信したのではなかったか?一度正式に受けた価格の再値上げは当たり前、後から出てくる高価な生産価格を優先して製造し、早めに決めた安い価格の生産を遅らせ、再値上げを強要するような振る舞いに船会社、リース会社から顰蹙を買う場面が何度か見られた。
しかし、リーマンショックでその態度が一変するのである。2009年の1年間はほとんど注文が無くなり、生産の停止、生産能力の縮小をせざるを得なかった。これほどまでの痛手を受けることは過去になかった事は事実である。

リーマンショックから1年、2009年の9月ころから船会社からのリース会社対してリースの注文が入りだした。 2010年に入るとリース会社から、新造コンテナの注文がコンテナメーカーに本格的に出された。百年一度と言われる世界的不況も終焉を迎えることとなる。 コンテナ価格も20fで2010年初$1800が、この9月には$2800となり、その値上がりは急激なためほとんどの船会社はリース会社からの長期リースに頼るしか方法が無かった。欧州、北米の順調な荷動き回復と運賃修復が船会社にコンテナ船増配とコンテナ調達に動かしているにも拘わらず、中国のコンテナメーカーはコンテナの生産能力増加に対して消極的である。それでは、過去の経験から良く学習した結果なのか?

確かに中国のコンテナメーカーにとつてコンテナ価格を如何に安定し利益を出すことができるか至上命題であろう。 過去の例から言えば、コンテナの価格が短期間に50%前後の価格差が出ること自体あまりにも投機的であると言わざるを得ない。別の面からみるとコンテナと言う容器は世界物流に無くてはならない必需品である。コンテナが無いと荷物を確保することが出来ないくらいにコンテナの比重は高まっている。また、コンテナの90%以上は中国で生産されている。あえて言えば、コンテナメーカー(中国と置き換えても良い)は世界に挑戦状を突きつけ、コンテナの価格、生産量の調整で世界に存在感を与えようとしていると考えても不思議ではない?何処かに国策的な匂いを感じる人も多いのでなにか?
船会社は今年後半、大きな問題を抱えることになる。それは、約20隻の10,000 teu以上のメガコンテナ船の引き取りがこれから来年にかけて出てくる。韓国で初めての1万teuを韓進海運が2月のデリバリーの予定を遅らせて、7月に5隻のうちの第1船の“韓進コリア”を欧州航路に就航させた。残り4隻も年内に引き渡される。 また、20隻の大部分のメガコンテナ新造船が今年中に引き取られ、欧州航路に投入されることになる。一方まだまだ減船で係留しているコンテナ船の問題も解決したわけではない。
船会社は現在、コンテナ輸送スペースのタイト感とアジアでのコンテナ不足に後押しされ繁忙期の特別付加運賃を追加徴収に成功している。しかし、北米景気の減速の可能性、メガコンテナ新造船の集中投入が避けられない現状、コンテナの季節的不稼働期の時期にこれから入る。その上、船会社はまだ、減速航行を続けている。コンテナ不足となるのか、コンテナ過剰になるのかどちらに向うにしても船会社はかなりの問題を抱えることになる。

中国での中古コンテナの需要は強い。20fで$3000以上での売れているとのこと、しかし、船会社、リース会社からで延命された古いコンテナが船会社のコンテナ需要次第では今後、大量に中古マーケットに出てくることになる。その時のコンテナ中古価格はどうなるのか?要注意である。引き続き船会社のコンテナ動向に注意する必要がある。

株式会社EFインターナショナル
中尾 治美


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