コンテナ市況レポート 2010年12月

中国のコンテナメーカーはここにきて強気である。何故なら、船会社、コンテナリース会社ともども躍起になって新造コンテナの注文に走っているからである。コンテナメーカーは、生産能力をほとんど上げていないため、限られた生産量を分け合うことになる。2011年2月の生産価格は$2,700/20fで3月には$2,800/20fになるのではないかと言われている。夏のピークシーズンには$3,000/20fに限りなく近づくのではないかと考えられる。

メーカーの生産能力も限りがあるため、早い者勝ちの様相を呈している。各メーカーの生産ラインは来年2月まで埋まっている。その点リース会社は早くから値段が正式にメーカーから提示される前に、生産ラインを押えるやり方を取って来たため、現在の生産ラインはリース会社のコンテナが大部分を占めている。結果として、船会社は2つグループに分かれる。一つは生産価格が高いために、自社での購入を諦めてリース会社から新造コンテナを確保する船会社。もう一つは、自社新造コンテナに拘り、生産ライン押えようとする船会社。しかし、自社新造コンテナの量を確保できないとみるや、リース会社が発注したコンテナの確保に動いているようである。

一方、リース会社にすると思惑通りに事が運んでいると考えているであろう。もともとリスク覚悟で船会社の需要を予測し高いコンテナを投機的に発注する訳であるからそれなりの利益の確保を目論むこととなる。また、ここで船会社に対してそれなりに供給を保証することで恩を売ることも後々大事なことである。
もちろん船会社が需要期である夏場に余剰の場所から必要な本数を必要な場所に持ち込も事が理想である。しかし現実にはこの在庫管理は簡単に出来ることではない。各航路で運用している船のスペースを上手く利用して持ち帰りを行えば良いのであるが、空回送するにしても船に積む時間が必要である。船のスケジュールに余裕が有る時は問題ないが、何かの理由で船が遅れると、必要な本数を積むことが出来ずに出航せざるを得ない。定期船会社にとって船の運航スケジュールを遅らせることは出来ない。運航スケジュール厳守は定期船会社にとって命である。この回送問題はアライアンスを組むことでも問題を複雑にしている。

コンテナの流れは需要地から仕向け地への一方向の流れである。そのため、どうしてもコンテナが大量に輸入される場所、ロスアンジェルス、ニューヨーク、ロッテルダム等々は昔からアイドルコンテナが溜まる処である。今でも船会社はSweeperと称する空回送船の投入でこの問題の解決に当たる。コンテナ新造船の航路投入前、定期検査のドック入り前後の船を利用したりする。しかしいずれにしても、コストがそれなりにかかる。
船会社は夏場の需要期に必要なコンテナの量を常に抱えることは出来ない。どうしても最低必要本数を保有する。不足分はリース会社から調達する。必要な時、必要な場所でリースし、反対に余れば返却し、適時適切な運用本数を維持するように努める。其の比率は各船会社で違ってくる。これは船会社の経営方針に関わってくる。

現在の中国のコンテナメーカーの年間生産能力を最大300万teuと見ると、月産25万teuと見ることが出来る。リース会社がコンテナを発注するのも船会社のためで、船会社からの需要が無ければいくら投機的に注文しても無駄である。船会社の需要は夏場に集中する。リース会社存在意義を出すために、夏場に新造コンテナを供給できるようにメーカーと掛け合う。そうすると、船会社と競合するのは避えない。しかし、これもリース会社が船会社に代わってコンテナ用意してくれていると考えれば頼もしい限りである。

従来の考え方では、コンテナが余る不稼働期の冬場にコンテナを発注することは好ましく無いが、夏場のコンテナ不足を予想するならどうしても冬場からコンテナを手当する方法が一番良い。コンテナメーカーにとつても年間を通してコンテナを製造することができるため好ましい状況である。

この中国での新造コンテナの月産生産量、25万teuが持つ意味を再度確認して見たい。

今年の1月から9月(米国),10月(欧州)のコンテナ荷動きを比較(Shipping Guide、
12月7日、8日からの引用)。

AA)アジア・米国(1月から9月)のコンテナ輸出・輸入量
1) アジアから米国への輸出――――> 108万teu/月
2) アジアの米国からの輸入――――>  69 万teu/月
輸出入ギャップ: △ 39万teu/月

BB)アジア・欧州(1月から10月)のコンテナ輸出・輸入量
1) アジアから欧州への輸出――――> 47万teu/月
2)アジアの欧州から輸入)――――> 18万teu/月
輸出入ギャップ: △ 29万teu/月
一方、今年の両航路で一番コンテナ輸出が多かった月は8月である。

CC)8月のアジアからの米国、欧州へのコンテナ輸出量
1) 126万teu(米国)―――>平均月輸出量、108万teuを17%上回る。
2) 124万teu(欧州)―――>平均月輸出量、47万teuを264%上回る
これを見ても如何に需要期である夏場のコンテナ需要が大きいか分かる。
特に欧州航路においては驚くほどに需要のギャップが大きい。
次に見ておく必要があるのは、各航路の輸出入ギャップである。

DD)各月平均のアジア、北米間及び欧州間の輸出入ギャップ
1) アジア・米国の輸出入ギャップ △ 39万teu
2) アジア・欧州の輸出入ギャップ △ 29万teu
両航路の輸出入ギャップ合計: △ 68万teu
この輸出入ギャップを船会社は自社船の空きスペースを利用して余剰地より需要地にコンテナの空回送を図る必要がある。

この単純比較はメイン航路で有る北米・欧州をみているだけで、それ以外にもアジア域内、南北航路等々の輸出入ギャップを考量する必要がある。在庫管理は複雑を極める。船会社の在庫管理セクションはコンテナが無くて集荷出来ないという営業からのクレームは絶対避けなければならない。 さらに複雑になるのは、コンテナの修理、古いコンテナのリタイア―の時期、長期リースの延長か返却か、船の入れ替え、新しいサービスルートの開始等々を考慮した上で、中国を始めアジアの需要地で、必要な時期、量について的確な判断を行わなければならない。船会社のインベントリセクションにとっては頭の痛い問題である。

以上の理由で、新造コンテナ、月25万teuが重要地である中国で提供されるのはかなり意義深い。

EE)新造コンテナの意義

1)38% <――――― 各月平均輸出入ギャップに対する貢献度
2)15% <――――― ピーク時8月に対する貢献度

ここにコンテナース会社の存在意義が出てくる。リース会社の供給がたとえこの貢献度の半分で有ったとしても、リース会社の存在は船会社にとって大きな支になるはずである。コンテナリース会社は船会社と決して敵対するものでなく、上手く付き合うと信頼できるパートナーとなる。その点船会社はリース会社を上手く利用するようになってきたと考える。 特に邦船社はリース会社からの長期リースのBuild up Periodを半年と長めにお願いしている。例えば4月から9月までの供給を受ける。もちろんコンテナメーカーからの値段が幾らになるのか分からないために、長期リース料金についてはその都度見直しの条件になっているか、それなりのリスクを両社が取り、いずれにしても大きな見込み違いが無い限り、リース会社はそれなりのリターンを確保してもらっているようである。これにより、船会社も一定のコンテナの需給バランスを調整することが可能となる。リース会社にとっても利益を確保しつつ成長が可能である。機関投資家の資金を信用のある投資先で運用益を確保できるのである。

来年2月3日から中国始めアジアは旧正月に入る。旧正前の駆け込み輸出が見込めるが、バブル経済の中国、超低金利の米国、財政不安の欧州、自国通貨安で輸出競争力を目論む新興国、円高とデフレに悩む日本等々不確定の要素を上げたら切りが無い。その上、米国FRBによる6,000億ドルもの米国債の買い上げは、ドルが投機マネーとして商品市場の金、オイル価格を押し上げ、新興国の中国、インド、中東、東南アジアで通貨危機を引き起こす原因になりはしないか? しかし、この現状を、世界の船会社は、前向きにとらえてかなりの物量が動くと見込むのか、年初からコンテナ手当てを積極的に進めている。その結果として、来年、2011年は中古コンテナの市場への出回りは限られたものになるのか? 引き続き船会社、リース会社の動向に目が離せない。

株式会社EFインターナショナル
中尾 治美


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