コンテナ市況レポート 2011年2月

今年の春節(旧正月)は2月3日で、2月2日(水)から2月8日(火)までの7日間が法定休日であった。しかし、まだ中国の動きは静かである。それは正月が明けるのは元宵節(旧暦15日)の2月17日(木)まで待たなくてはいけない。中国では、旧正月は一年の中でも一番の国民的行事のお祭りである。この間延べ28億人の民族大移動が起こると言われている。その中国のエネルギーは想像を絶するものがあろう。日経が連休中の中国全国小売売上高が前年同月比19%増の約5兆円に達し中国の消費が堅調と報じている。その規模を想像することは難しいが、東京都の年間予算規模に近い金額と考えると分かりやすい。この民族大移動のエネルギーに今の中国の勢いを感じる。

旧正月で英気を養った中国のエネルギーが全世界に否応なく変革を要求し続けるであろう。どの国も現状のままでいることは出来ない。常に変わることを要求されている。それに応えられなければ国の繁栄どころか存続もおぼつかない。そのことを中国が我々に問いかけている。日本の過去の失敗、外圧による急激な円高と自己過信で舞い上がり、バブル経済を招き、崩壊し、失われた20年と言われる停滞から今もって抜け出せないでいる日本の二の舞を避けるために、中国政府はどんなに他の国に非難をされようともかたくなに自己流の改革を守っている。中国自体、住宅バブル、インフレ、元切り上げ、沿岸部と内陸の経済格差、雇用問題、環境汚染、民族等々深刻な問題を抱え、かつ火急の対応を求められている。

実際に中国の大都会、北京、上海、天津もちろん場所によって違いはあるが、工場排煙、自動車の排気ガス等々の大気汚染の状況は深刻である。大連の街を2~3分も歩くと喉がヒリヒリしてくる。この劣悪の環境の中で良く生活が出来るものだと同情を禁じ得ない。一緒にいたアメリカ人が中国では、人間が空気を浄化しているのだとジョークを飛ばしていたのを思い出す。今にして思えば、日本もそんな時代が有ったのは遠い昔ではない。

中国政府は非難されながらも懸命にその火急な問題に秩序を持たせるように解決に取り組んでいる。いつの時代も世界の国々は国民の幸せを実現するために努力している実験国であるといえる。だから若い中国の自己中心的な態度を否定することはきない。中国が共産党一党支配であるから出来るのかもしれないが?その火山のマグマのような勢いは従来の自由経済的な政策ではコントロールは難しい。中国のこの熱いマグマのエネルギーは貴重である。もちろん、この熱いマグマは未来永劫に続かないことを歴史は証明している。しかし、中国はその難しいかじ取りを良くやっている。だから、中国政府がこの熱いマグマを上手く制御し、世界が羨むような国になるように大きなエールを送りたい。当然、中国の変化に合わせて日本も変わらなければならないのにそれに応えられていないのが歯がゆいばかりである。

中国でのコンテナ価格が3月発注分から$3,000 per 20fを超えている。中国のコンテナメーカーの工場在庫は、1月末現在、50万TEUを超えていると言われている。その3分の2はリース会社の発注分で有ると考えられる。コンテナの値段が上がる前に資金に余裕が有るリース会社が発注したものである。これでリース会社は今後のコンテナの値上がり分が彼らの利益として見込むことができる。船会社はこれでますます自社発注を控える傾向になるであろう。リース会社は引き続きコンテナメーカーの生産能力いっぱい発注をする戦略である。現状では、コンテナ価格のある程度の上昇は否定できない。コンテナメーカーが生産能力を上げない限り、リース会社が投機的に製造したコンテナは価格が上がるにつれ含み益を生じることになる。この傾向は夏場の需要期(9月10月頃)まで強くなる。このことは中国のコンテナメーカーにとっても大歓迎である。注文を取るための値引きの駆け引きは必用無い。力関係で、彼らの値段をリース会社が受けてくれるからである。リース会社はコンテナメーカーが自分たちの投機的注文を確保してくれれば、それが後でそれなりのリターンを確保できると目論んでいる。メーカーが増産しない限りこの思惑は外れないであろう。

船会社は荷動きの回復で大幅な収益を確保し、リース会社は相変わらず98%前後の高い稼働率を謳歌し、中国のコンテナメーカーは100%近い生産を維持し現状は歴史上始まって以来、3企業体共良好な関係を呈している。

しかし世界は動いている。金余りの状況は変わりない。世界のヘッジファンドの運用資産は、2010年12月末の資産残高はリーマン・ショック以前の08年6月末に記録した過去最高(1兆9,314億ドル)のレベルに戻ったと言われている。世界のヘッジファンドは運用資産を投資効率の高い場所である世界の株式、商品市場に狙いを付けている。そうした背景を受けて世界の企業は、株高、資源高を予想し、積極的にM&Aや資金調達を進め、競争力を高め、生き残りを図っている。日経によると世界のM&Aは2011年1月~2月の1カ月に3,096億ドルを記録した。2000年の5,542億ドル以来の高水準になったと伝えている。

リース会社も例外ではなく、2月7日付けでReutersが世界的な投資会社であるWarburg and Vestarが大手のリース会社の一つであるTritonを2月中にも約10億ドルで買収すると報じている。Tritonは親会社であるThe Pritzker Familyの事情(遺産相続問題)で買い手を探していたが、今回ほぼ間違いなく身売りされると考えられる。 Warburg and Vestarは、1966年に設立され、ニューヨークに本社を置く。300億ドル以上の資産を持ち、世界30国余りで約600の会社に350億ドル以上の投資している非上場の投資会社である。海運、運輸関係の投資は実績が無くこれが初めての投資となる。その結果、Tritonとしての独自のマネイジメントは尊重されるものとみられる。

Triton は設立以来赤字を知らない優良リース会社である。Tritonの場合は事情が少し違うが、リース会社の場合、優良企業で有ればある程身売りの対象になる。それは過去の歴史を見れば理解できる。コンテナリース業界はM&Aの歴史である。コンテナが画期的な輸送手段としてその地位を確立した1970年から80年の初めにかけて、多くのコンテナリース会社が世界に誕生した。米国で生まれたコンテナリゼイションは、起業家にとってアメリカンドリームの実現の場所であった。

リース会社は、1970年代の第一世代と呼ばれるリース会社と1980年代初めに出現した第二世代のリース会社とに区別できる。第一世代のリース会社はもう存在していない。第一世代と呼ばれたリース会社の起業家は、ある程度会社を大きくしては売却して財をなし、アメリカンドリームをかなえた。それは、ちょうど米国サンフランシスコ郊外のサンノゼがシリコンバレーと呼ばれれ、成功を収めたコンピューターのIT起業家を多く輩出する前のアメリカンドリームの先がけであった。この第一世代のリース会社から多くの優秀な人材が輩出され、1980年代の第二世代のリース会社を出現させた。

一方1980年代のリース会社は、欧州系と米国系に分色わけされ、欧州系はフォワーダーの延長的小規模な会社が多く見られたが、米国系は、コンテナリゼイションの流通革命をもたらしたという自負と大きい資金力で勢いが有った。そのため大が小を吸収し、規模の大きなリース会社がこのアメリカ系から起こった。 それは規模の追求は経費削減につながるという理論である。そのため、リース会社の所有者は、個人の起業家から、投資会社へと移っていった。規模の拡大を可能にしたのが、コンピューターで有る。手作業のカード管理からコンピューター管理へと移行してリース会社の規模はますます大きくなっていった。1980年代初めの一番大きなリース会社は、CTIでその運用規模は、14~15万teu で有ったが、其の時はその大きさはとてつもなく大きく思えた。現在は、規模的に一番大きいリース会社はTextainerで200万teu以上を運用する。いろいろなリース会社を買収したり、運用を委託されてこの本数となった。規模の追求はこれからも続くと思われる。所有者である投資会社の意向によってリース会社そのものが投資の対象になるのである。今後もリース会社の動向から目が離せない。

船会社、リース会社からの中古コンテナの売り物は量的に多くは無いが出て来ている。リーマン・ショック前までのような購入年代毎の一括売却を進めるような、何千、何万本と言う本数ではないが、船会社、リース会社は、着実に古いコンテナの処分を進めている。高く売れる場所で、古いコンテナの処分を小規模ながら継続している。その量は、中古コンテナの需要を上回るほどは需要地で出てこないため、中国、韓国で中古コンテナの需要はひっ迫しているのが現状である。

また、新造コンテナの価格が、20Fで3,000ドルの価格を超えたため、中古コンテナ価格も徐々に上がる傾向にある。新造価格が上がれば上がるほど船会社のコンテナの使用期間は長くなる傾向にある。となると今後船会社、リース会社から中古市場に出て来るコンテナはますます古いものになってくるのではないか?言い方を変えると、力のある船会社は使用コンテナの若返りを図るために、毎年一定の新造コンテナ投入し古いコンテと入れ替えている。 コンテナフリートは常に新しい。そうなると荷主の印象も良くなる。これは船会社が他の船会社と差別化を図る上で大変重要である。コンテナの見てくれはどうでも良いと言ってはおれない。この過酷な競争時代を生き抜くために必要である。新しいコンテナの提供は荷主に対して、一つの力強いセールスポイントになることは間違いない。これはリース会社にも当てはまる。

株式会社EFインターナショナル
中尾 治美


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