邦船各社の2015年3月期業績予想は? | コンテナ市況レポート | 2014年5月号

  • by 中尾 治美

5月に入ると新緑は一段と豊かさを増し、生命の息吹の力強さを感じる。夏の知らせを告げるそよ風はやさしく心地良く、上着は厄介者となる。5月は日 本を訪れる一番良い時期の一つであろう。今年のゴールデンウイークは、平日を2~3日休むと4月26日(土)から5月6日(火)の11日間の連休となり、 文字通り大型連休を楽しんだ方も多かったのではないだろうか?小生も久しぶりに箱根に一泊二日のドライブに出かけた。横浜から車で1時間30分。電車では 1時間もあれば着いてしまうほど近い。箱根は昔、江戸(東京)から大阪に向かう10番目の宿場町であった。箱根の山は険しく、江戸時代から歩いて越すのに 難所として有名であった。そのせいか、箱根の山はまだまだ手つかずの自然が残っている。箱根は温泉地としても古く、明治以降保養地、観光地として開発され た。それも鉄道、一般道、高速道路が網羅され、今では海外からの観光客の東京から日帰り観光の中に組み込まれている。今年の連休も大都市からの脱出組の車 で、高速道路は何処も大渋滞で、出発日、帰省日ともに断続的に30km~40kmの車の大渋滞となった。その結果、出発、帰省は、一日がかりの行程とな る。この行楽旅行地獄は毎年繰り広げられている。小生が出かけたのはちょうど連休の半ばであったので高速道路の渋滞に合うことは無かった。

昔の人は温泉を農閑期の湯治場として利用した。温泉にはいろいろな効能があり一年の疲れをそこで癒した。露天風呂での温泉はまた格別のものがあり、 日本人に生まれて良かったと感じる。以前聞いた話だが、日本通のアジアのビジネスマンがいて、日本に来る度に、まず箱根、熱海の温泉で旅の疲れを癒し、そ れから東京で仕事する。日本の温泉を大いに活用している国際人もいる。何人かのアメリカ人、アジアの人を温泉旅館にとまっていただいたが、特に露天風呂に 非常に興味を持ち、日本人以上にリラックスしエンジョイしてくれたのを思い出す。日本全国3,000以上ある温泉地の活用は外国人旅行者の誘致の強い味方 になるものと考える。日本に来て、温泉に入って良かった言わせることができたら面白い。

4月から消費税が5%から8%に上がったが、その反動は想定内に収まったとの報道である。消費者は、前もってそれなりの心構えをし、何より国民が増 税に対して理解し協力的であると考える。それ故、政治家の責任は重い。国民の血税を無駄にしてほしくない。アベノミクスの第三の矢の民間投資を喚起する成 長戦略の実践と成果を国民は期待している。

邦船(日本郵船、商船三井、川崎汽船)の2015年3月期業績予想が5月1日発表になった。その内容は次の通りである。

2015年3月期業績予想

日本郵船は定航部門の25億円の経常利益を見込み、商船三井は145億円の赤字、川崎汽船は増減なしの予想をしている。いかに定航部門が厳しいか理解できる。その一方、邦船3社の定航部門以外の部
門の活躍が目立つ。それだけ邦船3社がいかに健全な体質をしているか理解できる。

その邦船3社がメガコンテナ船の調達に動き出した。

日本郵船
8x14,000 teu 2016年2月から2018年1月の竣工
OOCLから用船している4x13,000 teuの代替船

川崎汽船
5x14,000 teu 2015年竣工

商船三井
5x14,000 teu APLより3年間の用船で最終船を今年の4月に終えた。
10x10,000 teu 今年より用船し、15年中にすべて竣工する。

日本郵船は8x14,000 teuで、最大230億円、少ない場合でも130億円のコスト削減を見込む。コンテナ船の規模の追求が競争力を強めるのは否定できない。大手船会社にとって、巨大コンソーシアムの
一員、経済効率の高い最新型メガコンテナ船の採用は必須である。

中国の新造コンテナの総数は600,000 teuを超えている。そのうち7割をリース会社がスペキュレーションで注文したものである。7月いっぱいラインは埋まっていると聞いている。新造コンテナ 価格は$2,200 per 20fで上がる傾向にある。一方、船会社は先を見越してリース会社の新造コンテナを押さえているようである。リース会社も大量の新造を抱えているため長期 リースとは別に、条件付きで新造コンテナをMLAで提供し始めている。この船会社の需要がこのまま続くようであれば、リース会社のデポコンテナを減らし リース会社の稼働率を押し上げる要因となる。願わくはコンテナリース会社が忙しくなるマーケットになることを期待したい。

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