中国経済の変調がコンテナ市況へも影響か?/コンテナ市況レポート/2015年9月

9月8日発表の中国の8月の貿易統計によると輸出は前年比5.5%減。2ヶ月連続の前年割れ。輸入は13.8%減。10ヶ月連続で前年割れ。貿易額は9.1%減り、6ヶ月連続の減少。但し、貿易収支は602億ドルの黒字を記録している。1~8月累計の前年同期比輸出は1.4%減、輸入は14.5%減。貿易額は7.5%減で、貿易額の伸び6%前後の目標値の達成が危ぶまれている。中国政府は経済減速に歯止めを掛けるために8月11日から3日間で人民元を4.5%切り下げた。この切り下げで国内景気の浮揚を狙ったが、その効果は疑問視されている。但し、この突然の人民元切り下げは世界に中国の実体経済の不信、通貨安競争への不安を与えた。特に対中輸出依存度が高い東南アジア5カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ)は輸出低迷による国内消費の減速の悪循環を懸念している。日本も例外ではない。日本の輸出力の低下、それに訪日観光客の減少、購買力低下による国内景気への影響。中国が咳をするとアジアが風邪をひく状況にある。米国の利上げ問題とからみ、中国経済の変調は世界の投資マネーの米国回帰を更に強める可能性がある。

そんな中、人為的ミスで中国の天津港で8月12日未明に起こった死者、行方不明者150人以上を出した爆発事故が中国経済に与える影響は大きい。天津港は中国全体輸出量の中で製鋼用コークスの8割、鋼材の3割を占める。輸入では中国全体の4割の自動車、エチレン、小麦はそれぞれ2割、鉄鉱石は1割を占める華北最大の貿易港である。この事故で新車数千台が被害を受けた。その事故の損失額は1.3兆円に上ると報告されている。それに爆発事故の保険賠償額は50億~100億元と見積もられ、中国での1回の事故では過去最大と言われている。

天津港は世界のコンテナ港湾ランキング10位の港である。今年の半期の取扱量が7,242,300teuで、月平均1.2百万teu以上のコンテナが出入りする中国でも6番目に大きいコンテナ主要港である。

世界コンテナ取り扱い主要10港(2015年1月~6月)
順位 港  名 実  績(TEU) 前年度比(%)
No. 1 上  海 18,022,000 4.4
No. 2 シンガポール 16,806,000 -3.1
No. 3 深セン 11,575,600 5.4
No. 4 寧  波 10,465,800 9.1
No. 5 香  港 10,116,000 -9.7
No. 6 釜  山 9,683,855 5
No. 7 青  島 8,592,100 2.7
No. 8 広  州 8,199,800 6.1
No. 9 ドバイ 7,881,000 6
No. 10 天  津 7,242,300 5

天津港の爆発事故が船会社に与える影響も少なくない。事故後、天津港向けのコンテナ船を抜港し、貨物を他港に振り向けなければならない。その取り扱い費用は甚大であろう。それに伴うコンテナのインベントリー管理も大変である。現場にあるコンテナの把握、天津に向かっている船上コンテナの取り扱い、積出港で天津向けに当てられているカーゴ積みコンテナの処理は担当者の頭痛の種であろう。

コンテナメーカー世界No.2のSingamasも爆発現場近くに8,000teuの新造コンテナ蔵置場所を持っているため大きな被害を受けた。コンテナリース会社もかなりのコンテナ在庫を天津港に抱えているため、そのコンテナの被害も推して知るべしである。しかし、この難事はリース会社にとって新たなコンテナリースのチャンスでもある。船会社としては当面のコンテナを手当する必要がある。手持ちがなければリースに頼ることになる。コンテナの需要が何時、何処で出てくるか、リース会社にとって船会社のコンテナ動向から当面目が離せない。

コンテナ船の待機船が8月末、175隻、48万4,000teuと今年最大規模になったと業界紙が伝えている。特にアジア、欧州航路の不調で大型の待機船が増えている。船会社は当面減便対策でしのいでいる。10月以降サービスルートの減便、休止増加が予想されるため待機船が更に増加すると見られている。一方、コンテナ船の今年1-8月累計解撤量は9万5,000teuで、隻数54隻、平均船型1,765teu、平均船齢23年、2014年同時期、解撤量は32万3,000teu, 隻数130隻、平均船型2,505teu,平均船齢22年に比べかなり減った。これはスクラップ価格が下がる反面、用船料が今年に入り30%高騰した結果とのこと。

コンテナ海運世界一規模を誇るマースクラインが2015年の世界コンテナ需要見通しを3~5%から2~4%に下方修正した。4~6月期の業績は減益だが5億ドル超えの利益を確保。取扱量は前年同月比4%増を記録。今年から世界で2番目の規模を誇るMSCと東西航路で協調配船をしている。両社の世界のシェアは30%弱を占める。引き続きこの2Mの動きに注目が集まる。

現在の新造コンテナ価格は、$1600 per 20fまで下がっている。新造コンテナの工場在庫は1.5 Million teu近くまで積み上がっているようである。中国4大コンテナメーカーが価格維持について協議をして価格下落に歯止めをかけようとしている。安価な中国鋼材が世界を席巻してアジアで鉄鋼製品価格が一年で4割下がった現状の中で中国の鉄鋼メーカーが何処まで生産調整が出来るかにかかっている。

一説によると中国全土で新造コンテナも含めて2 Million teuのコンテナがあると言われている。例年9月はコンテナリース会社に取って一年で最も需要が強い月である。しかし9月半ばになっても例年の力強さがコンテナマーケットに見られない。中国では10月1日~7日7連休の国慶節がある。その前の駆け込み需要があるのか?これからの9月後半にかけて駆け込み需要を祈りたい。

株式会社EFインターナショナル
中尾 治美


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