邦船3社コンテナ事業統合の意味とは? / コンテナ市況レポート2016年11月

10月31日、邦船3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)は、各社の定期船事業部を統合(海外ターミナル事業も含む)し、来年7月に新会社を設立。2018年4月から新会社をスタートさせると発表した。資本金3,000億円(郵船38%、商船三井31%、川崎汽船31%の出資比率)。コンテナ船運航規模は約140万TEU、世界シェア7%で世界6番目の規模の船会社となる。

邦船3社は、100年余の歴史を誇る総合海運会社として成長してきた。コンテナ船をはじめドライバルカー、タンカー、自動車運搬船等と多角化を図り安定した船会社として世界をリードしてきた。邦船3社は、世界のコンテナリース会社が喜んでコンテナを貸したい船会社である。会社の資金、資産その健全性から言っても世界の船会社の中で最も安定している船会社である。リース料支払いは30日を厳守してくれた。小生の40年におよぶコンテナリース会社の経験から言ってもコンテナリース会社に対する支払が遅れることは無かった。それはコンテナリース会社に対してその利用価値を見出してくれていたからである。それであるが故に邦船3社は、リース会社に人気が高い船会社である。

1970年初めに本格的に始まったコンテナリゼイションは日本を中心に始まったと言っても過言ではない。70年代日本から北米向けの貨物の輸出は70%を占めていた。一方、コンテナは海外に溜まり、いかに日本に海外の余剰コンテナを戻すかが船会社、リース会社の使命であった。北米で返却されたコンテナをリース会社はコストを払い船会社にお願いして空回送してもらったものである。船会社もSweeperと言って特別船を仕立てて需要地に戻したものである。それくらい日本でのコンテナ需要は高く、今では考えられないことであろう。それは日本から輸出が盛んだったからである。邦船6社(NYK, MOL, K Line, YS Line, Japan Line, Showa Line)が元気な時であった。70年代、80年代は外国船社も何十社と日本に寄港していた。その日本事務所、日本代理店はコンテナリースに対して大きな力を持っていた。東京の有楽町界隈、横浜の海岸通りに多くの外国船社の日本支社、代理店があり、コンテナを借りてもらうために、一日かけて会いに行ったものである。また、その当時、港毎に邦船、外国船社ともコンテナリースの決定権を持ち、清水、名古屋、神戸、門司と年に2~3回出張したものである。

80年代、コンテナリース会社は20社以上あり、邦船はリース会社を2~3のプライオリティー・グループに分けており、コンテナリースの需要が出ると必ずプライオリティーの高い順にその需要にありつけた。そのために、いかにしてそのトップ・プライオリティー・グループに入るかリース会社同士切磋琢磨したものである。

日本の輸出シェアは、1985年を境に円高と共に減り、現状では4~5%である。それに呼応するかのようにコンテナ生産地も70年から80年代半ばの日本から90年代にかけて韓国、そして2000年に入ってから本格的に中国に移行した。2000年代の目覚ましいBRICSの経済成長、特に中国の経済発展は目覚ましいものがあった。リーマンショック後、BRICSの勢いは消えてしまったが、90年代から折に触れ中国を見てきた人間として今でも中国は変化、発展を続けている驚異の国である。まだまだ目が離せない。

一方、外船社、投資ファンドによる無秩序な新造コンテナ船の発注、それも大型船化による運航コスト削減が運賃競争により一層の拍車をかけ、基幹航路の運賃競争は熾烈を極めている。8月末の韓進海運の倒産を目のあたりにし、他社が規模の追求で生き残りを図る中、邦船3社も例外ではいられない。来るべきものが来たかという感じである。そのスケールメリットは年間約1,100億円の統合効果を期待している。

世界の船会社の運航規模 (2016年10月現在 - 海事プレス社参照)

順位 船社名 シェア コンテナ数(TEU)
1 マースクライン 18% 3,053,000
2 MSC  14% 2,680,000
3 CMA-CGM+APL   11% 2,172,000
4 コスコ+CSCL  8% 1,555,000
5 ハパックロイド+UASC  7% 1,471,000
6 NYK+MOL+K Line 7% 1,382,000
7 エバグリーン 5% 983,000
8 ハンブルグシュド 3% 598,000
9 OOCL 3% 573,000
10 ヤンミン 3% 561,000

但し、邦船3社合わせた運航規模、約140万TEU、世界シェア7%で世界6番目の規模の船会社といえども、No.1のマースクライン、No.2のMSCと比較してもまだまだ見劣りがする。生き残るためにも邦船社が積極的にNo.1の船会社を目指すことが大切であると思う。何も実際にNo.1になる必要は無い、No.1になるという心構えが必要であると言いたい。小さいセグメントでNo.1になることを積み上げていけば強い会社になることができる。精神論ではないが、使用している船が同じで、それをバックアップしているコンピュータシステムが同じで、使用している港のターミナル施設が同じなら究極はそれを支えるサービス、細かく言えば荷主に対する“人間的な気遣い”、“思いやり”で差をつけるしかない。いかに荷主に指名され、積んでもらうか運賃に匹敵する価値、サービスの創造を考えてほしい。日本の船会社ならできるはずである。それを邦船3社の新しい船会社に期待したい。

中国の新造価格は、先月から20%値上がりし$1700 per 20fに上がっている。新造コンテナの工場在庫は現在、50万TEU半ばである。今までの経験からすると工場在庫が50万TEU近くになると市場にコンテナ不足感がでてくる。多分、リース会社の工場在庫の半分近くは既にBookingが入っているものと思われる。中国全体のデポ在庫もほとんど空の状態で、コンテナリース会社も中国での中古コンテナの販売を控え始めている。但し、リース会社も船会社と同じようにコンテナリース料金競争で疲弊している。そのため収益の悪化は避けることができない。となると今後、資金調達が難しくなる。新造コンテナの価格も上がる状況でそれをリース料に反映することができるなら問題はないが、船会社の事情がそれを受け入れてくれないであろうから、当分、リース会社は規模の追及で、引き続きM&Aに走らざるを得ない。今年初めに、TritonとTALの合併が起こったように、スケールメリットを狙ってさらなる大手リース会社同士の合併以外選択肢が残されていないかもしれない。リース会社の動向を注視していく必要がある。

しかし、いつの時代も変化はチャンスである。EFIは変化する世の中でEFIのユニークさを必要としている会社にその存在を分かってもらい、その会社の事業の成功、繁栄のお手伝いをしていきたいと考えている。そのノウハウがEFIの信頼である。

株式会社EFインターナショナル
中尾 治美


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