水性塗料義務化がコンテナ価格上昇の要因か? / コンテナ市況レポート 2017年4月

  • by 中尾 治美

今、横浜では桜が満開である。一週間前、桜で有名な三渓園を訪れる機会があった。今年の寒さで例年より一週間桜の開花が遅れていた。桜は7分咲きであった。それでも多くの人が桜見物に訪れていた。山一面、桜色に染まり、それは豪華で、見ているだけで気持ちが華やいでくる。巡る季節を肌で感じた。

日銀の3月短観によると、円安で輸出企業の業績が貢献し、業績判断指数は2四半期連続で改善と報じている。設備投資需要の回復、中国向の輸出の堅調で、景況感は大企業、中小企業、製造業、非製造業において改善している。その背景には、世界経済の回復、世界の製造業の生産の回復、中国過剰在庫調整の進捗を指摘している。

4月6日、アジア開発銀行は、2017年のアジアGDP伸び率5.7%の見通を発表。日本、欧米の経済成長率は1.9%で、インドは7.4%、中国は6.5%。アジアが世界のGDP伸び率の60%を占める。一方、アジア経済の牽引役が、輸出依存から消費主導の経済に取り組み、減速する見通しの中国から、好調な国内消費と政府の財政改革により投資意欲が高まるインドへの主役の交代を指摘している。

4月更改日本発欧州向け海上コンテナ貨物運賃長期契約は、期待水準には届かなかったようであるが、船会社の収支を大きく改善する原動力になるのは間違いない。一方、欧州復航需要の強さと減便効果がスペース不足を招き、復航運賃急騰を引き起こす要因となっている。また、第2四半期よりアジア出しの北米向け輸出が夏場に向かって増えてくる。5月更改の北米SC交渉に追い風になるのは間違いない。

船会社にとって、問題なのは北米、欧州からの空コンテナ回送が中国・アジアのコンテナ需要に追い付いていないのが現状である。それにはいくつかの要因が考えられる。北米の場合は、コンテナが北米内陸に散らばり、北米沿岸の主要港への戻しに手間取っている。欧州の場合は、アジアから欧州向けの貨物は、40fが多く、帰りの欧州からアジアは20fが多いために、アジアでのコンテナサイズ需要のミスマッチが起こる。また、重量がかさむため重量満船となり、コンテナ空回送のスペースが取れない問題がある。船会社の冬季減便政策がコンテナ不足に拍車をかけている。

4月よりオーシャン・アライアンス(マーケットシェア28%)、ザ・アライアンス(18%)の巨大2アライアンスがスタートした。これで既にスタートしている2Mアライアンス(34%)と合わせて、巨大3アライアンスが出現した。巨大3アライアンスは、海上コンテナ貨物輸送量の80%を占める。現在のアジアでのコンテナ不足は、3巨大アライアンスの船会社組み換えによる移行期の混乱も少なからず影響しているようである。

4月より、中国コンテナ製造は全て水溶性塗料に代わる。そのため、中国コンテナメーカーは生産設備の整備で1~2か月生産休止を余儀なくされる。現状の新造価格は、$2,350 per 20f (水性塗料)で、コンテナメーカーの新造コンテナ在庫は64万TEUに達している。これはコンテナリース会社によるコンテナ価格値上がり前の投機的発注で膨らんでいる。その半分は既に船会社からBookingされていると言われている。新造コンテナの在庫数から言えば、工場が水性塗料で本格的に製造できる体制が整うまでの期間は十分賄える量はあると考える。しかし、船会社の心理としてはコンテナ有っての集荷である。どうしてもコンテナの確保が優先となるため、市場はリース会社の売り手市場となる。リース会社は此の売り手市場を有効に使い、彼らの北米の余剰在庫を新造コンテナの提供と絡ませ、船会社に北米での余剰在庫を取ってもらうLeverage Lease契約を推し進めている。

我々、EFインターナショナルも今年3月で8年目に突入した。そして早いもので、横浜JR桜木町駅近くの現事務所に移転して、この4月で一年である。そしてこの4月に新たなスタッフを加え、更なる飛躍のために挑戦していきたいと決意を新たにしている。

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