中国コンテナメーカーの発展にともなう品質の問題 / コンテナ市況レポート 2017年9月

シンガポールの空港(チャンギ空港) 8月半ば、一年半ぶりにシンガポールに飛んだ。飛行機は、かなり混んでいて、シンガポール航空に何とか席を確保できた。しかし、通路側の席が旅行社の枠では取れず、2日前のインターネットでやっと通路側の席を確保できた。いつもと違い機内映画を3本も見続けたので往路の6時間が短く感じた。シンガポールは来るたびに変化している。シンガポール(チャンギ)国際空港は、ターミナル4が今年完成する。そうすると年間旅客処理能力は8,200万人となるとのこと。また、ターミナル5の建設の計画もあり。2025年の開業を予定し、完成後、シンガポール空港は年間1億5000万人の空港利用者が可能となる。

 一方、シンガポールは世界第2位のコンテナ取扱い港(2016年取扱量、3,090万TEU)。そのうち8割は積み替えコンテナである。コンテナターミナルはシンガポール政府のPSAが一括管理している。現在2か所の離れたターミナルで運用している。一つがマリーナベイサンズに近いシティエリアのコンテナターミナル。二つ目が、シティエリアから西へ10㎞離れたパシルパンジャンターミナル。PSAはその効率を高めるため、シティエリアのコンテナターミナルを2040~2050年頃までに、パシルパンジャンターミナル地区に全て移管する計画をたてている。パシルパンジャンターミナルは、現在の拡張工事を今年完成する。完成後のシンガポール港のコンテナ取扱能力は年間5,000万TEUとなる。また、2つのターミナル統一後の取り扱い能力は6,500万TEUとなる。
 また、シンガポール政府は、シティエリアのコンテナターミナル跡地をサザン・ウォターフロント・シティーとして観光地、居住地として再開発を計画している。帰国でシンガポール空港に戻る時、タクシーの運転手が、間もなくシンガポールからマレーシアのクアラルンプール間を運行する高速鉄道建設が始まると話しかけてきた。時速250キロ、99分でシンガポールとクアラルンプールを結ぶ。車で5時間、在来鉄道で7時間、飛行機で3時間(空港までの移動、待ち時間を含む)に比較するとはるかに便利になり、もっと観光客が来てくれるようになると誇らしげに語っていた。来るたびに変化している国際都市である。我々日本の将来もこの辺にヒントがあるように思う。

 コンテナ需要の好調さを受けて、世界2大コンテナメーカーの収支が改善されている。今年上半期、1~6月の連結業績が発表された。

 
販売量
前年同期比
売り上げ
前年同期比
損益
CIMC
571,100 TEU
+ 219%
$1454 M
+205%
+ $160 M
Singamas
317,000 TEU
+ 29%
$ 595 M
+ 45%
+ $ 17 M
Remark: sales of CIMC includes Reefer containers of 35,000 TEU.
注1. CIMCの販売量はTEUおよび35,000 TEUのReeferを含む。
注2. 売り上げはUS Million Dollar表記
注3. Shipping Guide記事参考。

 現在の中国工場の新造コンテナ工場残は、410,000 TEUを超えている。また新造コンテナ価格は、$2,400 per 20f。コンテナ価格がパネル用コイル価格の急騰の影響を受けて値上がりしている。
 コンテナメーカーは常に競争にさらされている。できるだけ生産能力いっぱいまで注文を入れ不稼働設備を極力抑えようとする。そのために他メーカーとの値段の競争になる。コンテナには20f、40f、40fHC等いろいろなサイズがある。サイズの違い、コンテナの色。これはコンテナ所有者を認識させる意味で、非常に重要である(宣伝効果も含む)。一方、コンテナ発注者の中には、今までの経験から、自分のスペックにこだわり色々部品に注文を付ける。メーカーにとってできるだけ多くのお客を確保するにはこの要求を受けることは大切である。また、もう一つ重要な問題はコンテナの納期である。コンテナ発注者はコンテナ需要期に多くのコンテナの受け取りを希望する。現在の中国メーカー工場は機械化が進み、生産ラインはこの要求を上手くこなしている。繁忙期には、二交代制をとり、また生産スピード調整して注文をこなす。中国メーカーの生産能力の高さに感心する。

 ここで問題なのは、コンテナの質の問題である。今年の4月から中国全土で油性塗料から水性塗料に変更になった。そのため工場での製造ラインの切り替えに1~2ヵ月かかったが、今は問題無く、水性塗料新造コンテナのフル稼働に入っている。メーカーは季節工労働者をどうしても使用せざるをえないため、水性塗料での生産の慣れについてしばらく注視していく必要がある。水性塗料の品質、乾燥施設、乾燥時間、製造ライン上の工程における油性塗料との比較についても、これからしばらくの時間が必要となる。
 しかし、品質問題は現場労働者が、自分で作る製品に対しての自信、誇り、責任感というプロ意識改革が必要である。製品がどのように使用されるのか? どのような問題が起こるのか? 使用者側の意識が理解できるようになり、もし問題がある場合、その問題解決の提案ができるようになれば中国製品はさらに品質精度を上げ、使用者のさらなる信頼を獲得するものと確信する。コンテナメーカーの品質向上に取り組むコンテナ発注者として中国コンテナメーカーの品質は日々上がっていることを確信する。

株式会社EFインターナショナル
中尾 治美


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