北米航路の船腹量でアライアンスシェアが低下 他 ~コンテナ市況レポート 2022年5月

日本が武装強化より優先すべきこと

              COVID-19問題はまだ収束していません。欧州では規制緩和・撤廃に動いていますが、米国で感染力の強いオミクロンの派生型がニューヨーク州全感染に占める割合が37%を占めてきています。5月4日の感染者が1万251人なり、1月28日以来の1万人超えとなりました。そのためにニューヨーク市ではコロナ警戒レベルを“低”から”中”に引き上げました。中国では”ゼロコロナ“政策で上海、北京その他の都市で、現在ロックダウン中です。それがいつ解除されるかわかりませんが、まだまだCOVID-19は要注意であることは間違いありません。 

米のインフレが収束すると考えられる要因

              米労働省が5月6日に発表した4月雇用統計の非農業部門の就業者数は前月より42万8,000人増加し、市場予想数、40万人を上回りました。失業率は前月と同じ3.6%でした。米商務省が4月26日発表した3月の新築一戸建て住宅販売件数は76万3,000戸で前月から8.6%減少しました。3か月連続の減少です。前年同月比では12.6%の減少となりました。住宅ローン金利の上昇により販売にブレーキがかかり始めていることがうかがえます。平均販売価格は43万6,700ドルで前年同月比21.4%値上がりし、更に、資材・人件費の高騰で強い価格上昇が続いています。一方、ローン金利上昇で住宅購入を諦める人も増え、需要は冷え始めています。3月の中古住宅販売件数は1年9ヵ月ぶりの低水準に落ち込みました。 
              米連邦準備制度理事会(FRB)は5月4日、0.5%の利上げと国債などの保有資産を減らす「量的引き締め」の6月開始を決定しました。 現状の早急なインフレ対策と強い雇用環境を維持するためとのことですが、米国でのCOVID-19による”巣ごもり需要“、”リベンジ需要“も一巡し、Teleworkによる住宅関連需要も落ち着いてきている現状があります。中国の”ゼロコロナ“政策の終焉でのサプライチェーンの復旧、日用雑貨の輸入拡大により現在のインフレ要因の一つである物価高は解決されると考えられます。中国での生産・消費停滞および欧州の景気後退懸念は米国景気の過熱化防止に貢献すると思われます。もちろんロシアのウクライナ侵略による資源・エネルギー・食糧の価格高騰に拍車がかかるのは間違いありませんが過大に評価するまではいかないと考えます。

北米航路の船腹量でアライアンスシェアが低下

              Drewry Maritime Researchが5日に発表した世界主要8ルートの世界コンテナ運賃指数(WCT)の総合指数は、前週から0.5%下落し、$7,727.84 per FEUとなりました。10週連続の下落ですが、下落幅は縮小し、前年同月比、41%高く、年初からの平均は$8,830 per FEUでした。航路別のスポット運賃は、上海/ロッテルダムが$212、2%下落し$9,987 per FEUとなりました。上海/ロサンゼルス$8,564 per FEU, 上海/ニューヨーク $11,264 per FEUと前週から横ばいです。引き続き安定を維持すると見られています。 
              2022年4月初旬時点のアジア/北米航路の運航船腹数は575万TEUと、前年同期比に比べ24%増となりました。一方、総船腹量に占める3大アライアンスのシェアは昨年4月の82.2%から67.7%に低下しました。これは中国系など新興船会社(BALコンテナ、CUラインズ、SJJなど)の新規参入に加え、マースクやMSC、CMA-CGMなどが臨時船などアライアンス枠外の単独運航で船腹を投入したことが影響しています。 
             北米航路の22年4月時点の船会社別船腹量でトップはマースクで90万TEU超、2位はCMA-CGM、3位MSC、4位COSCO、 5位ONE、 6位エバーグリーン。マースクの北米サービスの船腹量は前年比39%増と大幅な拡充となりましたが、それはアライアンス枠外の単独運航ループや臨時便投入などによるものです。マースクと提携するMSCも、北米サービスの7割弱はアライアンス枠外の自社単独運航便となっています。 
              シーインテリジェンスの調査によると、アジア/北米航路での小型コンテナ船の就航が急増しています。アジア/北米西岸航路では、コロナ前の平均船型は6000~6500TEUが、現在では4500TEUまで小型化しています。同様にアジア/北米東岸航路でも、コロナ前の平均船型が7500~8000TEUに対し、現在は6000TEUまで小型化しています。 

北米西岸労使交渉は長引く予想

              現在注目を浴びているのは、2014年以来、8年ぶりのILWU/PMAによる北米西岸労使交渉です。その上、パンデミックス下の労使交渉となりますので、長引くことが予想されます。本年1月までは、ロスアンゼルス・ロングビーチ両港沖で100隻を超えるコンテナ船が滞船していましたが、現在では、40隻前後の滞船数まで改善しています。しかし現状30隻程度のコンテナ船荷役が限界なら、中国でのロックダウン解除後予想される中国からの米国への輸入ラッシュが起こった時、ロスアンゼルス・ロングビーチ両港での厳しい滞船の再来が予想されるのではないでしょうか?港湾荷役の更なる効率化は避けて通れないはずですが、PMAのターミナル荷役自動化にILWUが反対を表明していますので決着に時間がかかることが考えられます。 

欧州船社の動向

              海運調査会社AXS-Alphaliner(仏)によると、4月25日現在、待機コンテナ船は208隻、84万8,511 TEUで4月11日時点の調査から10隻増加しています。船舶ベースでは9万1,926 TEU増加しました。春節以降は増加傾向が続いています。全船腹量に占める待機コンテナ船の割合(TEUベース)は3.4%。前回から0.4ポイント上昇しました。2020年後半以降では最も高い水準を記録し、それも大型船を中心に増加しています。 
              同社(AXS-Alphaliner)による最新のMSCの運航船隊は435万1,960TEUでマースクの424万8,120TEUを大きく引き離し、世界一位となりました。MSCは現在664隻のコンテナ船を運航しており、このうちの186隻は2021年8月以降に中古船市場から手当てしたものです。4月19日現在、MSCの新造船発注残は88隻・124万486TEUと業界最大となりました。一方、マースクは総合物流会社を目指し、船腹量400~450万TEUを維持し、TEUあたりの利益の増加を図っています。 Hapag-Lloyd(独)は2023年中に所有する300万本のDryコンテナ全てに追跡デバイスを装備する計画です。Reeferコンテナには2019年に追跡デバイスを導入しています。それによりGPSに基づく位置データや温度、衝撃データを顧客にリアルタイムで提供でき、世界中のコンテナの動きを把握できるようになります。 荷主からすると大きな魅力となるのではないでしょうか?

CIMCは引き続き好調維持

              Shipping Guideによると、世界最大手のコンテナメーカー、CIMCの今年第一四半期(1~3月)のコンテナ販売量はDryが前年同期比21.5%減、35万4,000 TEU, Reeferも29.6%減の3万2,000 TEUといずれも大幅なマイナスとなりました。しかし売上高は23.2%増、356億元、営業利益は17.6%増の27億元と増収増益、当期純利益も15.4%増の20億元を達成しました。2021年1Qの記録的な販売量から今年は、一転、大幅なマイナスになりましたが、それでもDryは過去3年間の1Qの平均販売量を25.6%上回り、Reeferは6.6%の減少となりました。 中国のコンテナメーカーに質の良いコンテナを提供してもらうためにもしっかり儲けてもらう必要があります。

4月の新造コンテナ生産量と価格

              4月新造価格は$3,050 per 20fで3月より$200、6%値下がりしました。4月の新造コンテナ生産量は353,210 TEU(Dry: 317,436 TEU, Reefer: 35,774 TEU)。先月と比べ23%減となりました。新造コンテナの工場残は862,632 TEU(Dry: 777,526 TEU, Reefer: 85,106 TEU)。先月より110,822 TEU、15%増加となりました。4月に船会社、リース会社に引き取られた数は242,388 TEUでした。