コンテナ市況レポート 2011年9月

  • by 中尾 治美

今月9月11日で東日本大震災が起こって半年が経つ。復旧は始まったが復興はまだまだである。死者1万5,751人,行方不明人4,086人。2万人近い犠牲者である。この悲劇を2度と繰り返えされるべきではない。この国の政治家は被災者の悲しみを理解しているのであろうか?就任9日目の大臣が被災地の人々を傷つけるような不謹慎発言、言動で辞任に追い込まれた。この国の政治家の資質が問われている。政治家になりたがる人は多い。そして政治家になったからには大臣にと、大臣になりたがる人も多いようだ。 しかし、本当に政治家、大臣の器の人であろうか?是非ストレステストを大臣に任命する前に実施してほしいものである。日本で政治家なるには、地盤、カンバン、鞄が必要であると言われている。しかしこれは一昔前の遺物である。国政を扱う政治家は決して一部の利益代表者ではいけないはずである。人物本位、資質で選ばれるべきである。また、政治家の家系に生まれ育った人が政治家に向いていると言うのも疑わしい。過去10年間に内閣総理大臣の任期が1年に制度化されているように目まぐるしく変わってきた事実をどうみるか。総理大臣職は政治家の最後の勲章では無いはずである。

 今の日本の政治が多くの難題を抱えているにも関わらず、政治家は政争に明け暮れている。少なくともこの国の野党政治家は相手の欠点ばかり取り上げ、思いやる寛容さは無いように見える。国会での質疑応答も稚拙で魅力が無い。ヤジに至っては国会議員としての品格を疑う。その品格は多分に国会議員の数が多いからに違いない。与党である民主党は約束通り国会議員の定数を減らす事をしてもらいたい。衆議院議員数、480人、参議院議員数、242人、衆参議員合計、722人の議員定数を半分、いや3分の一に減らす英断が国を救う一番の方法であり、ひては国の経費を削る早道かもしれない。

 米国も、今年の9月11日で2749名の犠牲者を出した飛行機テロで世界貿易センタービル破壊されてから10年目である。遺族の悲しみは今も癒えない。この悲劇は二度と起こしてはならない。米国大統領の演説には心に響く物が有る。オバマ大統領のプレシャーは日本の首相の比ではなであろう。9月8日に景気雇用のために、総額4,500億ドルの景気対策を打ち出した。もちろん来年の大統領選挙での2選を狙ってのものであろうがそこには凛とした物を感じる。その国の政治家はその国の国民の鏡であると言われる。

 組織のリーダーは決意と実行が必要である。これはどんな組織にも当てはまる。世界の主要船会社の今年の上半期(1~6月)は2010年のV字回復から一転して運賃下落、燃料高から赤字となったところがほとんどである。追い打ちをかけるのが例年9月からのピーク荷動きが米欧の経済の停滞で思うように伸びていない。 8月末の新造コンテナ船の待機船の数は116隻、211,000teuに増えている。その停船の努力か、中国からのコンテナ船の輸出消席率の平均は、北米西岸航路で85%、北米東岸航路95%, 欧州航路90%、豪州・NZ航路95%, 中東ガルフ航路90%を維持されている。しかし、コンテナ船の発注残は447万teu以上あり、今年の船腹増加量は130万teu、2012年の引き渡し予定が115万teu, 2013年は133万teuを見込む。新造契約の内50万teuは平均11,000teu型の45隻で、31隻が2013年に竣工する。各船会社はこの現状をどのようにして打開していくのか?各船会社のリーダーの責務は重大である。

 リース会社の最大手、TextainerのCEOであるJohn Maccarone氏によると2010年は全世界で2.4 million のコンテナが市場に出たのに比べ、2011年には3.5 million のコンテナがでてくると予想している。コンテナが全世界で使用されている本数は30.6 million teuでそのうちリース会社比率は44.5%を占めるが、2010年の新造コンテナの65%、今年は60%を供給すると予想している。それから船会社が新しいコンテナへの入れ替えを今年の終わりから、来年初めにかけて行うと予測する。古いコンテナが運用上コスト的に合わなくなるためで、自社調達よりはリースに大部分を頼ることになると予想する。

 Textainerの今年の前半の総利益は$196.9 million で2010年の前半に比べ37%増であった。その結果、2011年は創設以来の好成績となるであろうとみている。現状フリート数、2.4 million teu で2012年、2013年も好成績を残せると見ている。船会社が現在実施している減速航行は船会社に対して5~7% のコンテナ増をもたらし、船会社自体これ以上のコンテナの有効利用率を上げることは出来ないために船会社は引き続きコンテナリース会社に頼らざるを得ないとみている。その結果、リース会社全体は信じられないほどの好成績を残しているとコメントしている。コンテナ稼働率は今も97~98%を維持している。

 中国のコンテナメーカー新造コンテナ在庫は8月末で、66万teuあり、先月の80万teuから18%ほど減っているが、中国メーカーは第四四半期を埋めるのに四苦八苦しているに違いない。値段も大口の御客に対して、$2,400 per 20fあるいはそれより安い価格を提示しているかもしれない。リース会社は相変わらず発注をひかえているため、船会社が代替用として新造コンテナに入れ替える発注時期がコンテナメーカーにとって注目される。コンテナ価格の低下はその動機付けになる。

 最後に、日本では相変わらず円高($1.00=¥76~77)で、海外に活路を見出した企業、特に注目するのは今まで国内しか通用しないと考えていた企業が海外に活路を見出して行くケースである。日本食に関わる事業はこれから世界の成長企業である。日本の味は世界の人々を幸福にできると思う。海外での日本食に関わる事業はほとんどが外国人が起こしている。その点日本人が食の上手さ、健康食も見据えてやれば受けること間違いなしである。言葉はいらない。それに、上下水道事業を始めとする日本の水事業、稲作農業システム、鉄道車両及び運行システム、介護製品及びシステム等々、逆行するようであるが日本のデパートのお客様本位サービス文化も喜ばれると考える。いずれにしても今まで国内しか目を向けてこなかった日本の企業が海外に目を向け出している。一度動き出せばかなりの物量が世界を動く。船会社の営業の方もこの動きを察知し、手助けすると大きな荷物を確保できること間違いなしである。

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