大規模合併の影響とコンテナリース会社の圧倒的優位な現状 / コンテナ市況レポート 2018年8月

              Tritonの今年前半の収支が発表になった。Shipping Guide 8月7日(火)付けの記事によると、上半期(1-6月)の総収入は6億4,490万ドル(前年同期比17.8%増)。営業利益は、3億6,740万ドル(前年同期比55.8%増)。 純利益は、1億8,960万ドル(124.9%増)の黒字。保有コンテナの平均稼働率、98.8%を記録している。今後、リース、コンテナ販売は堅調でコンテナ需要は伸び続けるとみている。その収益力に驚かざるを得ない。売上高営業利益率を見てみよう。その数字は56.97%と驚異的である。通常、標準的には1~3%を記録すれば問題ない。5%を超えれば上場企業と肩を並べる。その儲けは一桁違う。リースで儲け、10年以上たった古いコンテナの売却益で又儲ける。コンテナリース会社がかかる費用というのはコンテナ購入代金と、それを運用している人件費(固定費)だけである。コンテナが返却されなければコンテナ管理費用(ストレージ、Lift on/off charge, 修理代等)もかからない。98.8%の稼働率がそれを証明している。
              2016年7月、規模による相乗効果を目指しTritonとTALが合併し、500万TEUを保有する世界一のリース会社に変貌した。似た者同士のリース会社の合併と言われる通り、経営方針に対して両社、大きな差異が無いため合併は上手くいっているようである。現在の所有本数は600万TEUの規模まで拡大している。その後他のリース会社も同じような動きがあったが、世界No. 2 の規模のTextainerは韓進海運倒産による大量な自社コンテナ回収コストの影響で元気がない。世界No. 3のSeacoは親会社であるHNAが12兆円もの負債を抱え子会社を切り売りしている現状であるため余裕が無い。しばらくはコンテナリース会社の規模拡大の合併劇はしばらく無いであろう。他のリース会社もデポ在庫がほとんど無い状態が続き各社高い稼働率を維持しているのが現状である。その意味でまだまだリース会社は成長できる余地があると思う。また、いつの日か大型合併の話が飛び込んでくることは考えられる。

              一方、海運界ではCMA CGMとHapag-Lloydの合併の噂が出ている。ここまで来るかと思う? 船会社にとって規模拡大は生き残り戦略の大きな柱の一つである。独禁法の現状から言ってこの合併の可能性は簡単ではないと思われるが。しかし、その2社の市場シェア(CMA CGMの11% Hapag-Lloyd の7.3% の合計18.3%)を合わせても, 世界No.1の規模を誇るMaersk のシェア(18.7%)に及ばない。Maerskという巨人が既に存在する以上その合併は現実味を帯びてくる。仮にその合併が実現したら、The Allianceの残りのONE及びYang MingはどことAllianceを組むのであろうか?
              米国は、中国からの輸入品、160億ドル279品目に25%の追加関税を、8月23日第2弾の制裁関税として発動する。中国も報復対抗措置をとる。中米貿易戦争がエスカレートする中、少なくとも欧米経済の回復の堅調さの中でも船会社は、原油値上がりによる燃料費の増加、2020年1月から実施される低硫黄燃料使用の要求によるコスト増を踏まえ、巨大コンテナ船への代替、減船、コンテナ船のスロー運航等のいろいろなコストカットを試みても2018年もかなり難しい年となり、頑張って収支はトントンあるいは赤字の見方がある。

              7月20日、香港証券市場上場、世界No.2のコンテナメーカー、Singamasは今年上半期(1-6月)が赤字になった。その大きな要因は鋼材の値上がりを挙げている。一昨年、$6.6 million 純利益を上げたにもかかわらず、今年一年はドルに対する中国元安と国内メーカーとの競争で損失を見込んでいる。一方、Singamasは中国の恵州にある子会社、Hui Zhou Pacific Container Company (20f、40f、45fと53fのDry containerを製造)をHuizhou Shunjingyuan Industrial CompanyにRMB735 million(US$111 million)で売却。今年末に手続きを終える。コンテナメーカーも8月いっぱい生産ラインが埋まっているとは言え、中米貿易戦争の如何によっては、新造コンテナ注文がいつまで続くか不安が募る。SingamasはSingapore籍のPacific International Linesの関連会社でもある。

              現在のコンテナ価格は、$2,200 per 20f。7月末、新造コンテナの工場在庫はDryが880,000 TEU、Reeferが33,500 TEU合計913,500 TEU。
              船会社は相変わらず運賃競争・修復に明け暮れ、コンテナメーカーはコンテナ資材、特に鋼材価格と他コンテナメーカーと競合し、生産ラインを埋めることに一喜一憂。一方、コンテナリース会社は一度、長期リースで供給した後は何もやることはない。そして長期リースの満期が来たら、一番簡単なことは船会社が無視できないような思い切った値段提示で再使用をしてもらい、できるだけコンテナを長期に使用してもらう事である。リース会社の一人勝ちの様相が見えてくる。