米国の大規模コロナ経済対策 / 世界経済にとって4つのマイナス要因 / 問われるフォワーダー・NVOCCの役割 | コンテナ市況レポート 2021年4月 

    米国の巣ごもり需要による経済活動が相変わらず堅調であることは世界経済にとって心強い限りである。その一つが3月の雇用統計速報値である。非農業部門の就業者数は前月より91万6,000人増加。失業率は6.0%。前月より0.2%改善した。業種別就業者数を見てみると、製造業は先月から5万300人増加。米サプライマネイジメント協会(ISM)の3月米製造業景況指数によると、1937年3月以来の高水準に達し、今後3ヶ月の雇用増が続くと見ている。一方、通常の生活状態を表す飲食業が前月に比べ17万5,000人増、宿泊業者も前月比で4万人増えていることは 日常生活が徐々に戻ってきていることを証明している。
    二つ目は、順調にワクチン接種者の数が増えていることである。4月2日の米疾病対策センターの発表によると、ワクチン接種を1回接種した人が全人口の30%に達した。そしてワクチン接種を終えた人が国内外に旅行できる指針を出したことで、ワクチン接種に拍車がかかると思われる。三つ目は、バイデン大統領が3月11日に署名した低所得者層向け現金給付を目玉にした1.9兆ドルの新型コロナ経済対策と3月31日に成長戦略として発表したインフラ整備と気候変動対策の今後8年間で2.3兆ドルの経済対策である。これは、米国の2020年GDPの20%を占める。トランプ大統領のコロナ対策費を含めると1929年の大恐慌時に実施したニュ―ディール政策で支出されたGDP比40%に迫る財政出動である。世界経済を牽引しているのは米国である。米国の本気度が現れている。
    世界各国はCOVID-19パンデミック防止対策と経済活動再開のバランスを図りながらCOVID-19をコントロールしてきている。
    国際通貨基金(IMF)は4月6日に世界成長率見通しを改定した。

国際通貨基金(IMF)の世界成長率見通し
2021年4月6日改定
  2021 2022
全世界 6.0% 4.4%
米国 6.4% 3.5%
ユーロ圏 4.4% 3.7%
英国 5.3% 5.1%
中国 8.4% 5.6%
インド 12.5% 6.9%
ブラジル 3.7% 2.6%
日本 3.3% 2.5%

 

    バイデン政権は4月7日に約2.5兆ドルの法人増税案を発表した。これは15年かけて連邦法人税を21%から28%に増、多国籍企業の海外収益に対する課税を従来の2倍の21%に増、その上、大企業の利益に対して最低15%のミニマム税を導入し、2.3兆ドルの経済対策財源の健全財政のためにバランスを図る目的である。

    一方、世界経済にとって喜んでいられないマイナス要因も孕んでいる。
1) 欧州のCOVID-19拡大 
― 変異ウイルス拡大。独、仏、イタリアの主要国でロックダウン継続。ワクチン接種の遅れによる景気回復の長期化。
2) 米中の貿易・政治摩擦増加 
― 制裁の掛け合い。サプライチェーンの影響。世界的物流混乱。
3) インフレ圧力
― コロナ下、消費抑制の家計過剰貯蓄、特に米国の追加財政出動に物の生産が追い付かなくなる可能性。世界的物不足が顕著になり、特に新興国でインフレ懸念が一気に高まる可能性がある。
4) 米国長期金利上昇
― 世界のドルの米国回帰。ドル高。世界の経済成長を損なう事が予想される。

    Shipping GuideがDrewry Maritime Researchの4月12日付の運賃指数を引用している。それによると、世界主要8航路の世界コンテナ運賃総合指数は、$4,883.43 per FEUで、前週比0.2%($12)上昇、前年同期比の水準を220%上回った。年初からの平均は$5,139 per FEUで過去5年平均の$3,381に比べ、$1,773ドル高い。

    4月2週目のスポット運賃は次の通りである。
【欧州向け】
上海/ロッテルダム – $7,852 per FEU, 前週比5%, $376上昇。
【米国向け】
上海/ロスアンゼルス – $4,202 per FEU, 4%, $181下落。
上海/ニューヨーク – $6,705 per FEU, 2%, $116下落。
今週3週目の運賃指数は安定的に推移すると予想している。

    船会社と日系大手荷主の2021年運賃交渉は昨年と比べ大幅な値上げで成約となった。それは荷主がスペース確保、コンテナ不足解消を優先し、MQC(最低積み高保証)を高めに設定した。その結果、大手フォワーダー・NVOCCを除き、スペース制限で、年間契約でなく、1~3ヵ月毎のスポット契約を強いられそうである。引き続き、中国・アジアの荷動き拡大が続けば日本出しスペースは制限されてくるため、スペースの取り合いになる。別ルートとして中国・ロシアと欧州の鉄道輸送が考えられるが、運航スケジュール遅延と高価な運賃が代替ルートの決め手になるか疑問である。フォワーダー・NVOCCの機能そのものが問われそうである。その中において大手NVOCCのジャパントラスト(菅哲賢社長)が工作機械、設備などのオーバーゲイジを年度末までに輸出しなければならない荷主の要望を受けて、名古屋からロスアンゼルスに在来船をチャーターし3月31日無事出港させたことはNVOCCの役割に新たな道を切り開いたと言えるのではないだろうか?

    世界的なCOVID-19パンデミック、世界の港湾混雑によるコンテナ船滞船問題。さらに3月29日に発生したスエズ座礁事故が欧州航路コンテナ船スケジュールの遅延、アジアのコンテナ空回送のさらなる混乱と中国・アジアから欧米向けの旺盛な巣ごもり需要により、運賃高止まり、中国・アジアでのコンテナ不足が当面続くことを覚悟する必要がある。その状況はコンテナリース会社に100%近いコンテナ稼働率を年内いっぱい保証するものであろう。
その上、新造コンテナを投機的に造れば造るほど長期リースで運用できる現状は、船会社が必要以上のコンテナを抱えていると言うことである。それは即ち、船会社が自社コンテナを手にした時、欧米の過剰在庫がスムースに中国・アジアに空回送されだす時、リース会社に満期を迎えた長期リースコンテナが大量に中国・アジアで返却される危険性を孕んでいる。

    3月末新造コンテナ価格は$3,550 per 20f。2月の$3,700 per 20fから$150(4%)下がった。中国コンテナ工場在庫は 289,204TEU (Dry: 229,280 TEU, Reefer: 59,924 TEU)。3月の新造コンテナ製造個数は、597,878 TEU (Dry: 544,914 TEU, Reefer: 52,964 TEU)で一か月の製造本数として製造は過去5年間の新記録である。

    日本は12日、東京、京都、沖縄の3都府県が、“まん延防止等重点措置”が適用になり、既に適用されている大阪、兵庫、宮城と加えて、6都道府県に広がった。5月5日までの適用となる(東京都は5月11日まで)。65歳以上の高齢者対象のワクチン接種が、12日より一部自治体で開始された。日本はワクチン供給・接種が世界に比べて大幅に遅れている。多くの国民は巣ごもりにしびれを切らし始めている。

    そんな憂鬱な12日の朝、ゴルフファンを喜ばせてくれる明るいニュースが飛び込んで来た。日本人の悲願であるゴルフのマスターズ・トーナメントで、松山英樹が10アンダー、278のスコアーで初優勝を飾ったと言うビッグ・ニュースである。日本人で初めて、いやアジア人で初めての快挙である。一方、日本女子では樋口久子が1977年全米女子プロ選手権、2019年に渋野日向子が全英女子オープンを制した。ゴルフ愛好家の間では、何故日本男子が世界男子ゴルフ四大メジャーで優勝できないのか、世界7不思議の一つと言われてきた。
実に日本男子は不甲斐ない。日本女性は、テニスの世界四大大会、グランドスラムで大坂なおみが全米オープン(2018年と2020年)、全豪オープン(2019年と2021年)と4回優勝している。2011年FIFA女子ワールドカップで“なでしこジャパン”がアメリカとの決勝戦、2-2の同点のPK戦を3-1で大会初優勝、男女通じてアジア勢で初めての快挙。その映像は今でも鮮明に残っている。日本女性の強さを世界に示した一つである。日本で女房に頭が上がらない夫は多いに違いない。世界経済フォーラムの“ジェンダーギャップ指数2021”で日本は世界156カ国、120位の順位に疑問を持つ日本男性は多いのではないだろうか?