大口向け次年度運賃は値上げも…/コンテナ市況レポート 2015年6月

  • by 中尾 治美

6月8日に12年半ぶりに$1.00=125円の円安。5月20日の$1.00=120円から約2週間で5円の値下りである。またもや急激な円安である。一方、株価は5月22日に東証1部の時価総額が591兆3007億円となり、バブル期(1989年12月)の590兆9087億円を上回った。9日始まりの日経平均株価は20,313円でバブル期の89年末の最高値38,915円の52%に匹敵する。但し、バブル期の高揚感は無い。

日本企業の2014年度の決算は注目に値する。上場企業の61社が2014年度の決算で1000億円を超える純利益を計上し、東証1部上場企業の3社に1社の自己資本利益率(ROE)が10%を超えた。日本の会社が力強さをつけてきている。

1~3月期の全産業の設備投資13兆1294億円。前年同期比、7.3%増(8四半期連続)。2015年度の設備投資額は14年度より10.5%増。6年連続増加。円安による外貨建て資産増と海外企業のM&Aの直接投資が、対外純資産残高を押し上げている。2014年末で366兆8560億円。13年末に比べ12.6%増。3年連続で過去最高を記録。

日本の株式市場は、世界で行き場を失った短期的な利益確保目的のヘッジファンドなどの投機筋が利益重視しだした成長力のある日本企業の株に投資する。円安が日本の株価を引き上げている構図が見えてくる。2014年度末時点の外国人の持株比率は、全体で35.3%となり、過去最高となった。投資先として日本企業は魅力を増している。

日本経済も堅実に回復している。1~3月期のGDPは前期比1.0%増、年率換算で3.9%増。プラス成長は2四半期連続。4月の国際収支統計の経常黒字は1兆3264億円。10ヶ月連続の黒字。4月の実質賃金指数は前年同月比、0.1%上昇。2年ぶりの上昇。15年の夏のボーナスの全産業平均支給額は14年夏と比べ1.70%増。4月の完全失業率は3.3%。前月比0.1%低下。1997年4月以来最低。

円安は来日外国人観光客の増加、国内消費に貢献し、興味旺盛な外人観光客リピーターは地方の名所旧跡、文化に目を向けている。地方の活性化をもたらす要因である。

日経新聞によると、船会社と大口荷主との2015年度の年間運賃交渉はアジア、北米西岸向けが、$1900~2900 per 40fで、前年度から1割値上り、米国東岸向けも1割の値上げの$3300~4000 per 40fでまとまった模様である。一方、船舶の過剰感が強いアジア、欧州は前年度と同じ水準 $1100~1700 per 20fで決まったとのこと。運賃の採算ラインは北米西岸が、$2200 per 40f, 欧州が$1400~1500 per 20fと見られている。しかし現実は厳しく、現場から聞こえてくるのは値上げしても直ぐに値引き合戦。欧州の運賃を北米運賃で補い体力勝負の様相を呈している。

そのために欧州配船船社は引き続き大型コンテナ船を投入することで運航コストを下げる方向に走っている。マースク・ラインが19,630teu型Triple-Eを11隻+オプション6隻の発注を6月2日に発表。2017年4月から18年5月に引き渡しを予定。マースクとアライアンスを組んでいるMSCも2017年の引き渡し予定で、19,224teuを2隻+オプション2隻の計4隻を発注した。ハパックロイドも今年中に18,000~20,000teu型船3~9隻の発注を計画している。

新造コンテナ価格は$1700 per 20fで、工場在庫は1.1百万teu。過剰な生産力、鋼材余剰、中国経済の減速感から新造価格は下げ傾向が続く。リース会社はここに来て発注は様子見の状況で、その代わり船会社が自社コンテナ発注を増やしている。現在の新造コンテナ需給関係から見ると、現状の在庫過剰感はしばらく続く可能性がある。

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6月2日シンガポールの友人が14歳の息子さんと来日した。その夜は弊社のスタッフで二人を居酒屋で歓待した。日本大好きなシンガポール人で驚くほどの日本通である。その上、ひらがな、カタカナ、漢字を読み書きできる。翌日は彼ら親子と3人で箱根の芦ノ湖カントリークラブで18ホールを回った。彼がシンガポールで所属しているゴルフ場が箱根の芦ノ湖カントリークラブと提携していて、彼がシンガポールから予約を入れてくれていた。残念ながら天気予報は6月3日だけが大雨予想で、前後の日は晴れマークがついていた。当日は天気予報通り横浜は朝から激しい雨で、箱根は最悪な状況であることは想像できた。しかし箱根へ向かう東名高速道路で大雨は峠を越えたらしく、ゴルフ場に到着すると雨足は少し弱くなっていた。但し、霧がゴルフ場全体を一面覆っていた。雨、霧とも晴れず、最後のスタートである我々を残し、30名のゴルフコンペを含め全ての人が9時半にはプレーを諦めて帰っていった。シンガポールからのプレイヤーという配慮、彼がゴルフ場の支配人と知り合いであったこともあり、雨、霧の中、キャディーさんを付けていただき、貸し切り状態で10時にプレートをさせていただいた。名門コースを貸し切りでプレーした経験は初めてである。傘を差しながらのプレーで、体は雨でずぶ濡れ、冷えきっていたが、お昼時、富士山も暫くの間顔を見せてくれて彼らも大満足であった。私自身かなり以前にゴルフに対して興味を失っていたが、今回プレーするに当たり失礼が有ってはならないと1週間前からまたゴルフクラブのスイングを密かに始めていた。雨と霧で気負いがとれたのか、ロストボールもなく、ボールもキャディーさんが言う方向に打てた。心なしかプレー終了後、ゴルフに対するパワーがみなぎってきた。彼の息子さんはあの天候の中でOB、ロストボールを出しながらも96で回っていた。シンガポールでゴルフレッスンを受けているとのこと。ゴルフは以前の日本人が経験したように、今中国、東南アジアの人の中で熱い人気がある。その日は箱根湯本の旅館で日本料理と畳部屋で布団での一泊を楽しんでもらった。露天風呂で裸の付き合いができたのはもちろんである。

外国の方に日本に来ていただき、日本のありのままの現状を見ていただくのと、自然、温泉、日本料理、日本人の思いやり、気遣い、おもてなし文化を広く知ってもらうこと。そして積極的に我々日本人が彼らに日本人、日本のことを知ってもらうために、それを海外に発信していく必要があると感じる。

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