堅調な米国経済と成長鈍化の中国経済の影響は?/コンテナ市況レポート2015年11月

11月6日、米労働省が発表した10月の非農業部門雇用者数は271,000人増加した。失業率は5.0%に低下し、これは2004年4月以来の7年半振りの水準である。米国実体経済が力強いことを示している。この米雇用統計によりイエレン議長が言及した12月利上げの可能性はますます現実味を帯びてきた。それに伴い急速に円安に振れてきている。$1.00=Yen 120前後で安定していた米ドルが$1.00=Yen 123と2ヶ月半ぶりの円安に振れている。

中国国家統計局が発表した10月の製造業購買担当者指数(PMI)の景況感は49.8と発表された。3ヶ月連続で50を割り込んだ。依然として中国経済の現状の厳しさが続いている。不動産不況、生産過剰による減産、工場閉鎖及び輸出不振。中国経済は中国が自国経済をどのように軟着陸出来るかにかかっている。

一方、欧州連合(EU)は、来年のユーロ経済は緩やかな回復を続けると見ている。また、難民流入問題は中期的には経済成長へのプラス効果をもたらすと考えている。

今年の海運界の現状は年初から中国旧正月までは楽観的な期待をいだかせた。しかし第2四半期以降コンテナ需要が伸びず、夏のピーク時の需要も期待はずれに終わった。

リース会社は年前半にかなりの勢いで新造コンテナの発注をしたものの、思いの外需要が出てこないため工場在庫を抱えている。そのため各リース会社は長期リース契約獲得のために安値競争に走り、リース料金の低迷で自ら窮地を招いている。

ある船会社は自社発注新造コンテナの大部分を工場に残している。また、ある船会社は、今年の前半に決めたリース会社からの長期リースコンテナをまだ取り切れていないようである。船会社の自社コンテナ、長期リースの大部分が来年に持ち越されそうである。

船会社は、荷動きの低迷、船腹供給過剰による運賃低下により収支を下方修正している。その中でマースクラインが全世界の陸上従業員、23,000人のうち4,000人削減の合理化計画のニュースが飛び込んできた。今後2年間で2.5億ドルの削減を見込む。同時に、既に公表済みの19,630TEU船6隻、3,600TEU船2隻のキャンセルと追加建造船、14,000TEU船8隻の延期を決めたとShipping Guideは伝えている。

邦船3社も例外ではない。10月末に通期予想を再度下方修正した。

 

 邦船3社定航事業部門業績

    15年3月期 実績 16年3月期見通    10月末発表
NYK 売上高 6,963 7,400
経常利益 98 155
MOL 売上高 7,870 8
経常利益 -241 -280
K Line 売上高 6,774 6,500
経常利益 206 -30
      単位:億円

 
各リース会社は以前にもまして、かなりのデポ在庫を中国、アジアに抱えている。これからコンテナ不稼働期の冬場に向かうためさらなる在庫の積み増しを覚悟せざるを得ない。

中国の新造コンテナ工場在庫は1百万TEUを超えている。新造コンテナ価格も$1550 per 20fまで下がっているようである。各工場は引き続き生産ラインの休止や生産調整を行っている。そのため新規発注時の生産再開に混乱が起こることが予想される。

また今年は南中国からの輸出が激減していると言われている。南中国の輸出減少は主輸出品目であった玩具メーカーの工場閉鎖があげられる。中国から輸出品目が東南アジアにシフトしている現状がある。中国で輸出体制に構造的変化が起こっている。船会社、リース会社はこの変化に対して早急に手を打つ必要がある。船会社およびリース会社は今後、更に厳しい冬の季節に向かわざるを得ない。逆境に耐えてきたエネルギーを次の発展のイノベイションに繋げていくことを期待したい。

早いもので2015年もあと40日余りを残すだけになった。小生の記憶では新しい年を数日前に祝った感覚である。とにかく時の立つのが実に早く感じる。10代の頃よく年長者がそう嘆いていたのを今実感として感じるこの頃である。時は人を待たないし、時間は公平である。金持、貧乏人、どんな人にも同じ時を刻む。しかし経験則で言うと、時はその人に取って場面、場面で違う時間を刻む。ある時は長く、ある時は短く。何かに集中している時、“あれまだこんな時間?!”と思うほど時の進むのが遅く感じた方は多いと思う。一方、何かに急がされていると時間が立つのが早い。人間は時間に追いかけられると守勢に回り時間にコントロールされる。であるが故に、時間を上手にコントロールする必要がある。その為には前もって計画を立て自分が時間に対して時間を割り振る。ある仕事、目標は完結させる。殆どはこの繰り返しであるが、時間をコントロールしている実感を覚えることがある。

人生設計の台本に沿って、もちろん台本はその時の自分に合った筋書きに書き換えながら、その筋書きに時間を割り当てていく。自分が時間を束の間でも手中に収めたと感じることが必要である。その一瞬、一瞬の時間のコントロールの積み重ねがその人に大きな力を与えるように思う。その意味で我々は脚本家であるし、演出家でもある。そうして自分の仕事、生活の脚本、演出を何十年も考えていると自分の道が見えてくる。自ずと自分が何をやらなければならないか分かってくる。そうすると時間の使い方がわかる。もちろん優先順位を決め、それに沿って時間をコントロールする。それを何十年とやっていると自分が関わっているものの流れが見えてくる。その中で自分なりのベストの選択が出来る。だから時間に追われるのでなく、時間をコントロールすることを信条にしてきた。引き続き良い脚本家、演出家になる努力をしていきたい。

株式会社EFインターナショナル
中尾 治美


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