コンテナ市況レポート 2011年1月

  • by 中尾 治美

昨年12月26日(日)に羽田から韓国ソウルに入り弊社(株)EFIのパートナー会社の27日(月)から29日(水)までの3日間のAnnual Meetingに参加した。師走も押し迫った時期の海外出張は初めてである。また、12月中旬にシンガポールの友人が家族(12歳の娘、10歳の息子と奥様)がハワイへの休暇の前に立ち寄ってくれた。わざわざ家族で貴重な時間を割いて会いに来てくれることを感謝したい。彼の家族を我が家に招待し日本食を食べてもらった。日本の生活、文化を感じ取ってもらえればと願う。日本では例年、年賀状書きがあり昨年は個人以外に実績を残してくれた取引先に対しも感謝の気持ちを伝えるべく手書きでお出しした。 また、いくつかの忘年会に出席し、おまけに週末の土、日2回の趣味のテニスを消化し、コンテナマーケト市況を仕上げ、会議のプレゼンテイション内容のスライド用の資料の事前の提出とその準備に追われる中、嬉しいことに大口の商談の成約があり、いつもの月より充実した師走となった。

ソウルの最低気温はマイナス8度Cである。最高温度と最低気温の温度差が2~3度しかない。外を10分も歩くと身体全体が足の裏から徐々に凍りの塊になって行くような錯覚を覚える。但し、いつものソウルの喧騒からは北朝鮮との緊張感は感じられなかった。(株)EFIのパートナー会社について少々書いてみたい。勤務時間は朝8時30分から始まるため、ほとんどの社員は8時15分には出社して来る。全社員で30名くらいで、男女半々、平均年齢は30歳(?)。コンテナ売買は中国、中東、ロシア、北米、ヨーロッパと全世界を網羅している。10年以上の実績を誇る。また、この時期に海外駐在の社員も帰国しこの会議に参加する。この会社では、学卒で入社後、5~6年で海外駐在の責任を担い世界に出て行く。男女の区別は無い。早くから世界に目を向け、仕事は世界が相手である。

会議のスケジュールは9時から始まり、一日目は夕方の6時30分まで続けられた。各駐在員は営業報告と来年のアクションプランに対しての出席者からいろいろな角度からの質疑に応える必要が有る。小生の印象として、非常に考え方がまじめで、問題に真摯に向き合っている。全然人擦れておらず、いい加減に問題を処理しようとした態度はみられない。経験が不足の若者としての大いに悩みながら営業活動に専念している様子は好感がもたれた。小生が韓国料理を食べたいと言ったので、毎日違った韓国料理で昼、夜と歓待してくれた。常常思うことであるが、食については韓国は日本よりはるかに豊であるし、栄養学的にも優れていると思う。肉、魚料理にも必ず野菜が付いてくる。キムチにいたっては何種類もの種類が有りメインを頼むと好きなだけ出してくれる。この文化は韓国人の気持ちが出ているように感じる。だから、いつも嬉しく韓国料理を楽しんでいる。

韓国の人はまだまだお酒が人の輪を取り持つ。数少ない役員で上海で全世界を見ている取締役が、夕食後、海外駐在員と一年に一度しか会えないからと、必ず彼らをはじめ、若い人と夜中まで飲ミニケイションを図っていた。30~40年前の日本、小生の若い時代を思い出させてくれた。日本もこんな時代が有った。皆貧しかったが、一生懸命に国の発展に喜びを感じていた。あのときのような精神的な高揚したものが今は遠い昔のようで、残念である。其の取締役が、小生に語った事は、韓国では外国に出るか、外国を相手にするしか生きる道は無い。他に選択肢が無いから皆必死だと。この精神が今の日本人には欠けている。 1997年の経済危機でIMFの管理下のおかれ、韓国は苦しみながら大改革をしてきた。それが今生きて来ている。日本もこれからの2~3年が勝負の年である。IMFの管理下で経済再生を行うまで改革が出来ないのか?そうは思わない。内向き志向を止めて、海外に目を向け、世界あっての日本と考えれば、日本が何をしなければならないか見えてくるはずである。どうしても過去の栄光が邪魔をする。意識改革で自己変革し、殻を破ることが要求されている。 痛みを伴う改革には臆するが、改革は誰かを待っていても出来ない、自分が改革者となる意識を持たなければ。戦後66年、日本人は謙虚にならなければならない。ここに良い手本がある。韓国に学び、良い競争相手として向き合うことで現状打開が出来ると考える。韓国にはコンテナの売買を扱う業者も多い。小生は(株)EFIは良いパートナーに恵まれたと確信する。

主要船会社は2010年にリーマンショクからすっかり立ち直り、営業利益も史上最高の利益を見込んでいる。今年の荷動きについては北米、6~9%, 欧州で6%前後を見込んでいる。各航路とも運賃修復により一段の収益アップ期待している。一方、昨年は10,000TEU超えの大型コンテナ船が29隻出て来て、今年は10,000TEU超えの大型船が49隻、2011年に出て来る新造船の62%を占める。ほとんどが欧州航路に投入されトコロテン方式で欧州で使用されていた大型船、5,000~8,000TEUが中東、南北航路で運用される。見境ない運賃競争は不毛の消耗戦となる。適正サービスに対する適正マージン。利益無くして商売無と考える。船会社で知恵を出し合い、過剰船舶に陥らないように船会社、アライアンス間での調整を考えてほしいと思う。船会社は世界の経済発展に大いに貢献している。船会社無しに世界の経済成長は無い。その自負を持って、船会社、アライアンス間で運賃とは別に、より良いサービスを競ってほしい。これで、世界を股に掛ける実力のある製造業は一層の収益を上げることができると確信する。世界の人々に豊かさをもたらす一翼を担っている。

その反面、コンテナの供給においては中国のメーカーはー増産をしないと考えられる。増産をしない方がコンテナ価格を高めに維持でき、一本当たりの収益率を高める事ができる。このことを、リーマンショックで学んだようである。再投資の費用対効果より増産後のリスクを避けているように思われる。コンテナ価格は当面、$2,700~2,800 per 20fを維持し、原材料の値上がり如何によっては限りなく$3,000 per 20fに近ずいて行くと考えられる。

リース会社の稼働率も高止まりして、95~98%と異常の高さに落ち着いている。収益も最高益を記録し、わが世の春を謳歌している。傾向としては、中古コンテナが高く売れる今のうちに出来るだけ古いコンテナを売却しておこうという動きが有る。7~8年前に安く購入した7年物($1,300~$1,500 per 20f)を早めに売却する動きである。こうなると各リース会社の公式保有本数は実質にはかなり水増しされた本数となるのではないか?

船会社はコンテナの使用年数を否や応無く延長していかざるを得ない現状、また、リース会社のコンテナを長期リースの更新を重ねて使用している現状を踏まえると、どうしても古いコンテナが一気に中古マーケット市場に出て来る事が考えられる。其の時の中古市場としての受け入れ体制は整っているのか?マースクラインはコンテナの使用年齢を15年から18年に延長した。18年物のコンテナの状態がどんな状態で有るのか?中古市場で受け入れるだけの需要が有るのか?その意味でも中古コンテナマーケットを育てる意義がある。でなければ中古コンテナを処分するのにコストが掛かるとすると世界のコンテナリゼイションに大きな足かせとなる。最終的には古いコンテナが良い材質の鉄に生まれ変わり低コストで新造コンテナとして再生されるようになれば良いのだが? そうなることを切に祈ってやまない。

(株)EFIにとって今年は2年目となる。1年目は予想以上の成績であった。これもひとえにご支援を頂いた皆様の御蔭で有ると感謝に堪えない。日本の中古コンテナ市場が、国外と国内を結び付ける(株)EFIの仕事を必要としたのを肌で感じた。成熟した日本の中古コンテナ市場にも新参者である(株)EFIを必要としているお客様がいる。業績については、実感として予定より2~3年先取りをしている感じである。2010年の$1.00=\83~84の円高定着で日本の中古マーケット輸出市場はかなり被害を受けたものと思われる。今年は、日本での中古コンテナの余剰が見られるのではないか?その点まだまだ中国、韓国を始めアジアでの中古コンテナの需要は強い。これから如何に日本の余剰中古コンテナを中国、韓国に持ち出すのが日本での中古コンテナの課題となるであろう。

この1月から日経新聞の”私の履歴書”で商船三井最高顧問の生田さんが執筆されている。生田さんが商船三井入られた経緯,商船三井合併のお話はなかなか興味深い。今後の話の展開が待ちどうしい。小生がリース会社勤務時代商船三井の担当者を訪ねると、当時社長でおられた生田さんがふらりと担当者の処に来られ気さくに声を掛けられていたのを思い出す。また、虎ノ門の本社1階のロビーで遠くから御顔を拝見しご挨拶をすると気さくにご挨拶を返していただいたのには感激したものである。また、日本郵船の会長の宮原さんもコンテナ部長時代にお会いし、小生のリース会社の説明を熱心に聞いて頂いたのを覚えている。間もなく自動車船に異動になられ、何年かして日本郵船の社長に就任されたおり、社長就任パーティーでお会いすると、丁寧にコンテナ不足のお協力をお願いされて非常に恐縮したのを覚えている。大会社のトップになっても部下を気遣い、現場の事を忘れずにいらっしゃる人柄は人を引き付ける魅力がある。会社は人である。歴史に残る会社も初めは小さな会社からの出発に違いない。今年、EFIは何人かの優秀な人材を加え、お客さんにもっと喜んでもらえるための飛躍の年としたい。

関連記事

TOP