たまたま機会があり東京ビッグサイトで4月18日から20日まで開催された国際海事産業展、Sea Japanの2日目を見学した。2年に一度の開催で、今年で10周年の節目を迎えるためか、その意気込みの熱気が展示場内にみなぎっていた。主催者発表によると27国と地域の466社の出展そのうち185社が海外企業とのことである。日本が貿易量の99%以上を船に依存し、日本の海上貿易量は世界の16%を占める。この現状を今一度認識する必要がある。我々日本人はこのことを普段どれほど意識しているのであろうか? 引き続き海運立国として世界に日本の優秀な船舶製品、サービスを提供して欲しい。日本はまだまだ捨てたものではない。国際海事産業展、Sea Japanのますますの発展を願うものである。
また一方、4月27日、社団法人 日本長距離フェリー協会(鈴木修会長)が平川町の海運クラブで主催した第3回シンポジウム「大規模災害時の交通手段の役割分担を考える。」に参加した。この4月2日に任意団体から正式に一般社団法人として新たなスタートを切って初めてのシンポジウムであった。同じ時期に性格の違う企画に参加したのであるが、Sea Japanは対海外,日本長距離フェリー協会のシンポジウムは国内向けであるが、共通しているコンセプトは日本が島国で船という運搬手段無くして成りたた無いということである。内航海運の輸送比率は2009年で32%を占めている。小生もこのシンポジウムを聞くまでは仕事の関係上外航海運だけに目が行っていたことを反省するものである。
政府がCO2の削減目的でモダルシフト(車から鉄道、内航海運)を目指してから長い時間が経った、貨物輸送トンキロの比較で言えば内航海運の輸送比率は1990年の45%から2009年の32%に減っている。昨年3月の東日本大地震及び8月高知、岡山に上陸した台風12号の瓦礫処理での内航海運の貢献度は大きい。大規模災害時に寸断された道路網に替わり有効な交通手段として強力な後方支援体制が期待できる。大型フェリーは大量の生活物資の輸送、避難民の救助、大規模な宿泊設備の提供あるいは医療行為を提供する場所にすることもできる。地震を始め自然災害の多い日本を考えた場合日本長距離フェリー協会のシンポジウムで取り上げた長距離フェリーの大規模災害時での交通手段の役割分担についての体制を国は真剣に考えるべき時に来ていると思う。
長距離フェリーの歴史は1968年8月に阪九フェリーが神戸から小倉に就航して始まった。これは日本で初めてコンテナ船が1968年9月にカルフォル二ア航路に就航した時を同じにする。長距離フェリー会社は自動車との競争にさらされ、石油危機、円高、国内景気に命運をかけて来た。しかし、国の政策によっては大きな成長産業としての可能性を秘めていると考える。我々が長距離フェリーを故郷への帰省の時に率先して利用するような政策。休暇で長距離フェリーを利用し北海道から沖縄まで楽しくクルーズの船旅ができる環境を造り出せたら、海外の観光客も呼び込めるのではないか? 現在、日本は商船が利用できる港が1100有り、外航船が寄れる港は130におよび、3000以上の漁港を有している。このインフラを利用しない手は無いと考える。官民一体になって風光明美な日本の海岸線の船旅を長距離フェリーと伴に育てあることができれば、モダルシフトへの貢献も果たせるし、大規模災害時の支援体制を創ることも可能である。
Textainerが2012年第一四半期の営業成績を発表した。純利益は34.2%アップ、$49.9 million (=39.92億円=49.9ドルx80円)。20.1%のフリート増強がそれを可能にした。収入は28.9%アップで、$117.5 million (=94億円=117.5ドルx 80円)。第一四半期の新造コンテナの発注は224,000teuと15,000teuのリファーコンテナの上に、委託されて運用していた古いコンテナ2,000teuを取得したと報じた。その合計費用は$660 million(=528億円=660ドルx80円)。一年前の2,395,608teu フリートサイズから2012年度第一四半期の合計フリート数は2,520,608teuとなったと報告している。蛇足で有るが2012年度の営業成績は過去最高の成績になると予測している。他のリース会社も同じような好成績を出すものと考えられる。コンテナの稼働率はさらに高止まりして、97~98%を維持するものと考える。
ほとんどのリース会社によると6月分までに生産した新造コンテナは全て予約が入っている。コンテナメーカーからは7月分の製造価格が出てこないとのこと。6月の20Fの新造価格は$2,700 を超えている。コンテナメーカーは生産能力を抑えているため、新造価格はコンテナの需要期である夏場に向って上がることが予想される。20F 1本当たり$3,000 を記録するのも時間の問題であろう。
Shipping Guideによると、4月のアジアから米国向けに荷動きは前年同月比7.3%の増加、2カ月連続の伸びで有る。また、この4月は過去3年で最高の記録となったと伝えている。それを受けるように各船会社は航路の改編、増便でサービスの向上を図っている。その結果が、コンテナの需要を生みだしている。但し、一部の船会社を除いて自社コンテナの発注を取り止め、リースコンテナに頼っている。リース会社は新造コンテナを全て長期リースでしか出さない。新造コンテナを手当てできない船会社はリース会社のデポコンテナを手当てすることになるが、売り手市場ではかなり厳しい条件が付けられる。ほとんどが需要地のアジア返却となり、1年の最低使用期間が付けられる。力関係にも依るがPick up Charge, Drop off Chargeの付帯費用が付いてくる。それでも大手の欧州船社、中国船社がリース会社のデポ在庫を取りこみ夏場の需要期に備えている。リース会社の稼働率が示すように世界どこもアイドル在庫が無くなっているのが現状の様である。コンテナ会社の一人勝ちは当分続きそうである。