コンテナ市況レポート 2013年3月

  • by 中尾 治美

3月11日(月)で東日本大震災から2周年を迎えた。被災地の復興はまだ道半ばである。地震国日本の復興対策はお粗末であると言わざるを得ない。まだ避難を余儀なくされている人の数は31万人を超えている。瓦礫処理は44%の進捗状況である。阪神・淡路大震災が起こったのは18年前の1995年1月17日である。死者6000人以上、避難人数31万人を超えた。被害総額は10兆円と言われている。その時の経験が十分生かされているとは言えない。当時日本で最大のコンテナ取扱港であった神戸は震災後の製造業が震災前に戻ることは無く、現在では日本の5大港の中でも最後にランクされる。都市及び港は繁栄する条件がある。その条件が変わればその姿を変えることになる。

東日本大地震の被災地に必要なことは国、地方自治体が被災地の将来のグランドデザインを描くことができなければ、その地で暮らす人達、地場産業に復旧を任せるべきである。その中で復興というものが具体的に姿を現すと考える。そうすることにより地場産業で雇用が確保され、人々は希望、夢を持つことができると考える。

1年前のレポートでも指摘したが、ISO海上コンテナ(以降コンテナで表示)を何故もっと活用出来ないのであろうか?これほど利用価値のある箱は見当たらない。現在、3,000万teu以上のコンテナが世界中を動きまわっている。船、トラック、鉄道あるいは飛行機で運搬され、貨物をDoor to Door にて届けている。例えば、年間1割のコンテナが退役すると300万teuである。コンテナは何処でも手当てすることができる。それも手頃な値段で。20fコンテナで30トンの荷物が積め、7~9段積みができる。コンテナはすぐれものである。日本ではこのコンテナを国内利用として自由に使用することが出来ない。国は建築確認を要求する。使用する上でコンテナの安全面を強調するがISOの規格で造られたコンテナに、はたしてJIS鋼材、JIS認定工場での溶接をラーメン構造のコンテナに要求することが必要なのか?どうみても目に見えない規制としか思えない。少なくとも被災地での復旧の期間中5年、10年ぐらいは特例としてコンテナの使用が認められたら被災地の現状はもっと違ったものになったのではないか?コンテナがミラクルの箱に変身していたに違いない。いずれにしても被災地の早急な復旧、復興が望まれる。

米国経済は、米国ダウ工業株30種平均が5年5カ月ぶりに最高値を更新。2月の新車販売台数は前年同月比3.7%増の119万台、年率換算で1500万台。4カ月連続で年率1500万台を記録した。2月の非農業部門の雇用者数は前月比23万6000人増加し、失業率も7.7%に下がった。住宅価格の上昇も明るい。強い米国が戻るのも時間の問題であろう。なかでもシェールガス開発により米国は2016年にはLNG輸出国になると予測されている。これは米国を再度製造国にする大きな可能性を占めている。

その強い米国に呼応するように、日本は3月12日、3年7カ月ぶりに一時96円台後半の円安・ドル高。100円台の可能性も否定できない。その一方、株高で日経平均株価は3月11日には1万2349円と4年半ぶりに高値を付けた。アジアからの投資資金が都心の地価、マンション価格を押し上げている。 物価2%引き上げのインフレ目標でデフレを克服。その中での春季労使交渉で賃上げムードも出てきているのは明るい材料である。アベノミクスの影響が出てきているのか?日本人全体が未来に明るい希望を持てるようになればいいと思う。米国が地下3000メートルの堅い頁岩(シェール)層にある天然ガスを取り出す技術を開発しシェール革命を造り出したように、日本の海底、1000メートルに眠るメタンハイドレ―トから天然ガスを取り出す技術が最近開発された。これを実用化することができれば日本にとって大きなエネルギー革命となる。日本で1年間に消費される天然ガスの100年分に相当する埋蔵量が見込まれている。

各船会社も昨年年末から既にコンテナ手当てを始めている。資金的に余裕がある船会社は自己調達、そうでない場合は長期リースで押えている。それを見越してり―ス会社も前年並みに発注をしている。但し、収益率の高い冷凍コンテナに投資資金を集中している。船会社も運賃の高い冷凍コンテナカーゴは魅力的である。船会社の動きを見ると、世界中の国を巻き込むFTA, EPA締結の動きやTPP加盟で関税撤廃による自由な物の動きを先取りしている。その流れにいち早く乗ることができるかどうかが収益の境目である。コンテナ新造価格は4月分渡しで$2,400 per 20fである。 ある大手リース会社は今年の世界のコンテナ製造本数を2012年の2.5百万teuから2.7百万teu、8%増加すると見込んでいる。今年は船会社にとって明るい年になることを確信する。

FBC社所有特許の20f Sling Door Containerがいよいよ3月下旬に日本でお披露目を予定している。世界で初めての実用化である。FBC社のSliding Door Containerは従来のサイドオープンコンテナと違い、ドアはTopside Railの内側に設置されているGuide Pole(外側から見えない)に沿って稼働する。ドアを止めたところで静止し、手を添えて力を加えれば稼働するので非常に安全である。風で動くことも無い。その上、従来のサイドオープンコンテナにありがちな長い使用によるドアの重みでドアの開閉が悪くなることを防ぐ。FBC社のSliding Door Containerはドアヒンジが内側に有るため外部からヒンジを壊して開けることができない。荷物管理上非常に安全である。コンテナは荷物の積み下ろしから言えば、もっとも使用し易い方法はサイドオープンであると確信する。従来の後ろドアコンテナからの積み下ろしは、積み下ろし機器の制限、積み下ろしにかかる時間を考えると遥かにサイドオープンコンテナに有利さがある。必要であればフォークリフトを2台で作業が可能である。コンテナの内部は隅々まで見渡せ、積み下ろし作業が安全に速やかに行うことができる。従来の後ろ開きのコンテナが主流になったのはコンテナの最大公約数的使用方法、製造コストを追求したものであると考える。しかしながら、荷物の速やかな積み下ろしから言えば、サイドオープンコンテナが一番使用し易いコンテナである。製造コストは多少上がるが、使用上の利便性からそのコスト増加分は短期間で回収できると考える。その上に、FBC社特許のSliding Door Containerは従来のサイドオープンコンテナにより高い付加価値を加えると考える。

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