新造コンテナの在庫数・価格ともに変わらず | コンテナ市況レポート | 2014年8月号

  • by 中尾 治美

7月終わり、その日に決断し、翌日に香港に飛び、翌々日の朝10時にお客さんとの会議に臨んだ。こんなことは小生の過去の仕事でも初めての経験であ る。重 要だと思えば翌日香港に飛ぶことも必要である。何故なら、面と向かって話をすることは必要であるし、そう機会も多々あるわけでない。香港がますます身近に 感じられる。感覚としては横浜から東京のお客さんに会いに行くのと大差ない。つくづく世界が狭くなってきているのを感じる。

おかげで、狭い香港の九龍地区が広いことが分かった。過去4~5回九龍地区のホテルに滞在した。九龍地区ということであれば特に不便さを感じないの ではな いかという安易な考えと、高価なホテルを避ける意味もあって、インターネットで九龍地区のあるホテルに予約を入れた。昨年の11月の香港でエアポートエク スプレスを利用することを覚えた。しかし今回は、九龍駅からタクシーでホテルまで80元もかかり、かなり遠くにあることを思い知らされた。地下鉄の駅から も遠く、ホテルで外出には25M というミニバスの利用を勧められた。5元でかなりの格安だが、いろいろな場所を回りながら地下鉄の主要駅までの運行である。25~30分ぐらいかかる。バ スの席がいっぱいになると途中でお客が待っていても素通りである。ほとんどの人が、定期券みたいな乗車券を利用していた。バスの中では切符は売っていな い。バスの運転手に20元の両替をお願いすると、けんもほろろに広東語で断られた。両替所も見つからないのでタクシーを利用せざるをえなくなった。一方、 今回の旅でさらに香港の地下鉄の便利さが分かった。乗継の駅では到着ホームの反対側ホームが乗継の地下鉄の上りか下りの乗り場になっていて非常に便利であ る。

小生が泊まったホテルは、九龍地区の東側の元の啓徳空港の近くということが後でわかった。昔のスラム街があった九龍城塞が、通りの向こうにあった。 今はき れいな九龍塞城公園となっていた。その地区は古くから中国料理のメッカで夜にはかなりの人で賑わっていた。おかげで香港の九龍地区で地場の中華料理を香港 の友人と堪能した。香港には700万人以上の人が住んでいる。そのほとんどの人が高層建物に住んでいる。その人達は毎日、朝昼晩と外食で、特に朝晩は、行 きつけのレストランで食事をしている。香港の人が食にうるさいというのが良く分かる。混んでいるレストランで食事をすれば味は間違いないという事実は、香 港、中国では鉄則である。そこではレストランとお客のコミュニケーションがあり、毎日、新鮮で、季節の食材を食し健康に良い。その種類の多さに驚くばかり である。基本的に中国料理は食の安全が保障されている料理であると確信する。毎日、家族、友人と一緒に食事を楽しむ香港の人たちを見ていると、そのたくま しい生活力、活力のエネルギーを感じる。いま日本人に欠けている物がそこにあるように思う。

Shipping Guideが英国のCTS発表の6月の全世界のコンテナ荷動を伝えている。輸出は11,581,500teuで前年同月比、7.3%増、今年6ケ月連続の プラス。アジアの輸出は6,495,800teu, 前年同月比10.13%増、輸入は4,229,600teu, 同10.56%増、北米は輸出1,195,300teu同4.31%増、輸入1,947,000teu同3.81%増、欧州は輸出 1,959,600teu同0.04%増、輸入2,460,400teu同6.92%増と好調である。中国政府によると、7月の貿易統計は、前年同月比、 14.5%増、対米輸出は前年同月比6.3%増、欧州向け10.6%増、日本向け3.9%増、対東南アジア向け8.1%増と夏場の需要期に向かって期待さ せる。

一方、P3 NetworkをあきらめたMaerskはMSCと組んで2Mを来年1月から始める。それでもそのシェアーは30%を超える。Maerskは 18,000teu船、20隻を運行するただ一社の船会社となる。各社の欧州航路への巨大船投入によるカスケイド現象でその他の航路が大型船化している が、港湾の受け入れ体制が追い付かず、全世界の主港湾で船の遅延が起こっている。船会社は運行コスト低減のため、減速運行を維持しているが、スケジュール の安定のために投入船の追加を余儀なくされている。その結果、待機船の数が減り、2011年8月以来最低水準まで低下している。北米西岸港湾労働問題の影 響で北米西岸、東岸向け運賃が値上がりしている。スペースタイト感から夏場に向かい運賃の値上がりが予想される。

現状では9月10月に向かってコンテナの需要が出てくることが予想される。現在の中国新造コンテナの工場在庫は、50万teuで、新造価格 は$2,100 per 20fを維持している。リース会社は、需要のピークである9月までの工場生産スペースをできるだけ多く確保しようとする。船会社は需要のピークをリース会 社からの調達で乗り切ろうとするのが例年のパターンである。船会社にとって、今年は例年と違って、中国での新造コンテナの手当はかなり深刻な状態になるこ とが予想される。早めに手当てした船会社、早めに生産ラインを抑えたリース会社が勝ち組になることが予想される。その中で7月中旬、渤海租賃有限公司 (Bohai Leasing Co., Ltd ? Seaco SRLの親会社)のCronos買収のニュースが飛び込んできた。これで老舗のリース会社がまた一つ消えていく。Seacoは342万ceu(Cost Equivalent Unit)を所有し、Textainerを抜いて世界一のリース会社になる。リース会社はますます寡占化していく傾向にある。極端な話、2極分化される、 大か小か?うまくリース会社と付き合うために、小さなリース会社を活用してほしいと考える。

弊社が日本の代理店を引き受けているUESは所有規模世界ランキングでいうと10位、その規模30万teuである。Seacoの10分の1である。 船会社 から見るとリース会社は規模が大きいほど良いように考えるが、リースする量が大きいだけに、リース条件が硬直化する傾向にあり、結果からみるとコストが高 くつく。その点、小リース会社は巨大リース会社に対抗するため、融通を利かせ、使用者にとり利益をもたらすものと確信する。船会社は面倒くさがらず小リー ス会社の活用を勧めたい。

Reefer Unit会社Thermo Kingも弊社は日本の代理店をしている。ほとんどの大手船会社は、既に3大Unit Makerを使用している。そのUnitは最大マイナス30℃までしか冷えないが、Thermo KingのMagnum Plusはマイナス40℃まで冷やすことができる。マイナス10℃の冷凍能力差は大きい。Magnum Plusであればマグロも輸送できる。冷凍貨物はマイナス30℃よりマイナス40℃が望ましい。Magnum Plusはプラス30℃からマイナス40℃までの幅広い温度運用を持っているので、積む荷物も幅が出てくるし、積む荷主の方も安心できるはずである。購入 する値段が同じであればMagnum Plusを使用しない手は無いはずである。船会社の営業の方、荷主の方のご理解を喚起したい。そしてThermo Kingがいかに冷凍力にこだわっているか。マイナス50℃よりマイナス60℃。冷凍品はマイナス62℃で賞味期限が永遠に変化しないEutectic Point(共晶点)に達する。Thermo Kingは冷凍倉庫に負けないマイナス60℃まで冷やせる冷凍コンテナSuper Freezerを販売している。コンテナは可動なので使い勝手が良い。

弊社、株式会社EFインターナショナルはいろいろな代理店を拝命しているが、ただ単に売り切りごめんの会社ではなく、お客様が安心して購入、使用し ていた だけるために、アフターケアーに力を入れている。我々は自信をもってお客様に良い物を勧めている。そのために優秀な経験者、有能な技術者を擁し、お客様の 相談に乗り、お客様の業績を伸ばすお手伝いを目指している。

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