国内外航船会社の歴史|リース会社と日本の関係性 / コンテナ市況レポート 2018年12月

  • by 中尾 治美

  11月末でCAI東京事務所が閉鎖された。今後はCAI台湾が日本業務を引き継ぐ。これで日本に事務所・代理店を置く主要リース会社は、Triton, Textainer, Seacoと弊社が代理店を引き受けているUESの4社だけである。しかしSeacoは現在売りに出されているので、Ownerによっては日本事務所の消滅の可能性がある。1980年代、多くのリース会社は日本事務所・代理店を持っていたが、1985年のプラザ合意以降、円高による工場の海外移転に伴い、輸出量の減少が外国船会社の日本寄港減少・撤退をもたらした。その結果、それに呼応して中小リース会社は日本から撤退した。コンテナリース会社は、主要船会社が存在する場所に事務所・代理店を置くのが鉄則である。
  一方、日本の船会社も1990年前後の邦船6社(日本郵船、商船三井、川崎汽船、山下新日本汽船、ジャパンライン、昭和海運)体制から、山下新日本汽船とジャパンラインの定航部門が1989年に対等合併してできた日本ライナーシステムを日本郵船が1991年に合併し、また、日本郵船は1998年に昭和海運を吸収合併し、日本の外航船会社は、日本郵船、商船三井、川崎汽船の三社体制となる。その三社は、規模的に世界の15番までに入っていた。その三社が、2018年4月にそのコンテナ部門を統一してOcean Network Express (ONE)を設立し、シンガポールに主要活動を移した。ONEは240隻、144万TEUコンテナ船隊規模で、全世界を85のサービスルートを網羅し、200以上の寄港地をカバーする世界シェア7%、運航規模、世界6番目を誇る船会社となった。ONE以外に、日本に世界的規模で運用しているコンテナ外航船社はない。実質的に日本にはコンテナ外航海運会社は存在しない。
  リース会社にとって、ONEは地理的にSingaporeの管轄に置かれるのが自然である。それなのにTritonは、引き続きコストの高い東京に事務所を構え、ONEを東京事務所の管轄に置いている。Textainerは横浜に事務所を構えているが、ONEの管轄はTextainer Singaporeに任せているが、台湾・韓国のお客を見ている。それは何故なのか?もちろん今まで長い間日本で営業活動をしてきたと言う事もある。しかし一つは日本人のお客さんに対するきめ細かいサービス精神、気遣いである。これはほかの国の人、アジアの人にもなかなか真似はできないと思う。もう一つは、日本の情報とそれを発信している人、集団、会社と同じ空間を共有できることは大きな強みである。海外で活躍する日本企業の活動についての生の情報は、何と言っても日本で得る方が早くて、正確である。彼らの動きは世界の趨勢に反しているようであるが、小生はそれなりの価値を見出す。UESが我々、EFIに日本の業務を委託していることはUESの日本のマーケットに対する見識の高さと、ONEを重視する表れである。
  日本人は、極端に言うと縦社会の繋がりに重きを置く。同じ系列会社、グループ、所属を重視し、外部に対して壁を作る。ONEのHolding会社も日本に置かれている。その意味で、ONEも日本荷主を重視していることは間違いない。世界的に活躍する日本の企業情報は、できれば日本でいち早く収集することができれば大きな強みである。日本から世界へ情報発信もまだまだ捨てたものではない。一方、小生の限られた範囲の印象であるが、香港の仲間、シンガポールの知り合いは、華僑的精神に基づくものか?中国人のDNAがそうさせるのか? 縦社会はもちろんであるが、横社会の繋がりも強いように思われる。同じ情報が瞬く間に彼らの仲間で共有される。と言っても彼らの間での競争は熾烈である。その競争で切磋琢磨している。日本人もその辺の処を学ばなければこれからの時代を生き抜くことは難しい。

  米中貿易戦争は、米国が2019年1月から、2000億ドル規模の追加関税を中国製品に課すのを止めて、90日間の猶予期間を置くことで一時的に回避された。そのため当面関税を逃れるために中国からの駆け込み輸出は、中国の旧正月前、2019年2月5日(日)まえまで続くことが予想される。但し、90日後に米中の合意が無ければ、米国は中国製品に対して関税を10%から25%に引き上げる。ちなみに、中国が発表した11月の貿易収支は、355億ドルの黒字。前年同月比27.6%増と駆け込み輸出拡大を証明している。

  11月末の中国の工場新造コンテナ在庫数は、約735,500TEU(37,000TEU/Reefer含む)、前月比、5%減である。新造価格は $1,850 per 20f。前月比5%減。中国メーカーは来年度の新造コンテナの受注に向けて、現在一生懸命生産スペース確保を進めている。

  我社のこの一年は、前半悪く、後半良くなった。大きな案件成約が続き来年が楽しみである。来年1月に弊社の社員数は、20名の陣容でスタートすることになる。弊社のホームページに人材募集を載せたところ、50代のアメリカ人が直接、彼の履歴書をメールで送ってきた。米軍出身で電気に強く、Thermo Kingの仕事に興味を持っていた。弊社もEngineerを募集していたので、早速会う事にした。残念ながら3年後には米国に家庭の都合で帰国せざるを得ないと言うので当方もあきらめざるを得なかったが、これからReeferコンテナでの現場での仕事が増える現状、ほしい人材であった。弊社でも外国人の雇用を真剣に考える必要が出てきた。能力のある人であれば、外人でもいとわない。社内で英語を使って仕事をする状況を考えるとわくわくしてくる。その意味で、もっと若い日本人に意欲をもって新しいことに対して挑戦してほしいと切に願っている。

 

中国の新造コンテナ製造価格と工場在庫の推移(3年間)

 

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