コンテナ市況レポート 2010年5月

  • by 中尾 治美

船会社はアジアと北米、欧州の順調な荷動きの回復に応じて運賃回復に努めている。各社2010年はかなりの収益改善が見込めるであろう。使用しているコンテナの絶対数はここに来てかなりの不足感を船会社にもたらしている。但し、今年は数社の例外を除きほとんどの船会社が自社の新造コンテナの発注を諦め、長期リースに頼る姿勢を見せている。

一方リース会社はコンテナ価格がどんなに高くなろうとも新造コンテナの発注を止める訳にいかない。ここで船会社の必要な場所で必要な量を提供出来るかによって今後のそのリース会社の信頼度を左右することになる。コンテナの発注量も各リース会社の姿勢、力、その時の勢いの指標となるのである。現在中国にあるリース会社の新造コンテナは既にほとんどが長期リースとして決まっていると言われている。ある邦船は4月に入ると50,000teu(5月以降デリバリー)の長期リースを決めた。

リースコンテナの世界在庫は物の流れを示唆し、余剰の場所から需要地への空回送の必要性が出てくる。しかし、余剰地の横綱であったロスアンゼルス、ニューヨーク、ロッテルダム等々。それは昔、現在は全然問題ない在庫数で推移している。現在の問題の場所はインドである。90%以上の稼働率をエンジョイしているリース会社も全世界のの3分の一があると言われていたインドであったが、新造コンテナの生産量に限りがあるため、船会社は緊急の需要に対応するにはリース会社の余剰地からのリースが手っ取り早い。持ち出しのコストが掛かるが、リース会社も自分で空回送をするとかなりの負担増となるため船会社にインセンチブを支払い取ってももらうことをプロモートする。有る大手邦船がこれも大手のリース会社の4,000本のい在庫をかなりの好条件でインドから取ったと言われている。

結果として、中古市場にはますますコンテナが回ってこない状況になっている。そのため、中古コンテナの取り扱い業者は限られた在庫をかなりの高値で争って手に入れようとしている。この状況が良いのかか悪いのかはなはだ疑問である。しかし売却用のコンテナを手に入れられない業者にとっては死活問題である。どこまでこの価格が上がるか不透明であるが、船会社、リース会社も業者間での競争を煽り高値で売却しようとしていることに一抹の不安を禁じ得ない。

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