シンガポールONE訪問 / 米中貿易摩擦の影響による利下げ / 日本海運への期待と不安 | コンテナ市況レポート2019年9月

  8月後半、シンガポールのOcean Network Express (ONE)にお邪魔した。今回は、総勢6名の陣容であった。二泊三日の急ぎ足の旅になったが、日頃メールだけのやり取りで顔も見たことが無いスタッフの紹介も兼ねた。ONEの方々とお昼をご一緒していただき、毎日メールだけでやり取りしているが、如何に顔と顔を合わせることが必要であるか大いに実感した。ONEの方々も1年前に比べ、それぞれの方が明るく、生き生きとした顔をされていた。一生懸命仕事に取り組み、結果を出してきた自信を感じた。 
  もう一つ収穫が有ったのは、今回は大人数であったのと、旅行社の値段が高かったので、ホテルの予約をエクスペディアで予約した。$100 per night程安く一流ホテルを予約できた。またついでに飛行場の送迎をお願いしてみた。帰りの飛行機のシンガポール出発時間が朝8時であったので朝5時のホテルの出発となった。到着も探すのに時間がかかったが問題無く明朗会計で送り迎えしてもらえた。ホテル到着時出発が朝の5時である旨ホテルに伝えると朝食付きであったので、チェックアウト時、わざわざLunch Boxとお水を用意してくれたのには嬉しくなった。 
  今回の旅で、スタッフの一人が、シンガポールでのTaxi予約をするのに民間の車を利用できる“GRAB”を準備してくれたおかげで時間通りスムースに移動できた。明朗会計、安心して足を確保できたのはありがたかった。最近は、中国、上海での足確保はなかなか難しい、特にイベント会場でのTaxi確保は至難の業である。白タクを確保しても法外な金額を要求される。その点米国のウーバーシステムと同じ民間の車が利用できるのは嬉しいし、車の有効利用が出来るのは理にかなっていると思う。日本での普及を切に望みたい。 

  トランプ大統領は9月1日から1100億ドル分の中国製品(家電、衣料品対象)に対して15%の追加関税をかけた。これは経済制裁4弾で、3243品目が対象になる。その内スマートフォン、ノートパソコンなど約1600億ドルについてはクリスマス商戦の影響をさけて12月15日に15%をかける。一方、米国は10月1日から2018年7月から始まった貿易戦争の第1弾(340億ドル)、第2弾(160億ドル)、第3弾(2000億ドル)にたいして追加関税を25%から30%に引き上げる予定である。中国も報復関税として2回に分けて計750億ドル分に追加関税、5~10%をかける。9月1日に原油、大豆等1717品目、12月15日に木材、自動車等計3361品目に5~10%の追加関税を課す。一方、中国は世界貿易機関(WTO)に米国を提訴する措置に出た。これにより両国の対話ムードは遠のき、両国の貿易摩擦は長期的に激しさを増していきそうである。 
  米労務省の8月雇用統計は、非農業部門就業者数は前月比13万人増にとどまり減速気味である。製造業の景況観指数の8月は3年振いに50を下回り、3年ぶりに好不況の境目を下回った。米国製造業も米中貿易戦争の影響を受けている。8月の失業率、3.7%(前月 と同じ)。平均時給は28.11ドル、前年同月比3.2%増。13ヶ月連続で3%台の伸びを維持。トランプ大統領の要求を呑む形で、米連法準備理事会(FRB)は7月に10年半ぶりに政策金利を0.25%引き下げたが、米中貿易戦争、英国のEU離脱問題も含め世界的に経済の不確実性が増している現状、FRBによる更なる利下げ観測が高まっている。 

  Shipping Guideによるとアジア/欧州航路のコンテナ船の消席率今年の第1四半期(1~3月)が77%、第2四半期(4~6月)が74%、第3四半期(7~9月)が72%で、昨年同期と比べて大きな差がないが、2017年が90%近くを維持していた時と比べると大きく下げていると指摘している。来年はアジア/欧州航路に超大型船の引き渡しがピークを迎える。皮肉なことに超大型コンテナ船の投入は運賃低下を招き、投入船会社が市場独占の夢を描くが、もし他の船社も何とか生き残り、超大型コンテナ船投入会社がそのコストを回収できない事態に陥ることは考えられないか? 

  8月末の新造コンテナ価格は$1700 per 20f。中国全工場にある新造コンテナ総数は1,058,850 TEU (Dry: 993,050 TEU, Reefer: 65,800 TEU)。 

  先月は邦船3社の内航船社、近海郵船、商船三井内航、川崎近海の3社のTopの方とお会いする機会を得た。今後、内航だけでなくアジア近海に出ていくようなことは考えられないのかと質問をしてみた。内航船の規制があるためにそれは難しいとの考えである。外国船員を内航船に乗せることにより、人手不足解消につなげていく。日本の海運界を考えた時、その内航船の規制を外さないと日本海運の未来はかすんでしまわないかと心配である。もっと若い人が喜んで海運事業に入ってきてくれるように、海運を魅力あるものにする必要がある。 
  また、時を同じくして東京港埠頭株式会社の服部社長、横浜川崎国際港湾株式会社の諸岡社長ともお会いする栄光を得た。お二人とも日本郵船出身の方で、服部社長はこの6月に着任されたばかりであった。一方、諸岡社長とはTriton時代大変お世話になった方である。弊社も横浜に本社を構え、横浜から世界に発信している。その意味で横浜港をより一層発展させ世界に冠たる立派なコンテナ港にするべきと意気投合した。