毎日35度Cを超える酷暑が先週まで日本各地を襲っていたが、今週は、9月4日(金)に日本の南の海上で発生した中心気圧915hPa、最大瞬間風速70m/sの猛烈な台風10号が沖縄から北上し、ほぼ九州全域を右側から勢力圏に収め、7日(月)に朝鮮半島に駆け抜けた影響であの酷暑から少し開放された感がある。過去最強クラスと言われた台風の被害に戦々恐々としていたが備えが良かったのか被害が少なかったことに安堵している。しかし台風の通り道となっている沖縄・九州地区の方々には同情を禁じえない。
この現状下、各地の新型コロナウイルス(COVID-19)感染者数何名という発表も何だか空虚に聞こえてくる。新型コロナウイルスの名前に慣れたのか?自分の生活に関わりないと考えるようになったのか?生活の一部になったのか?マスクを付け、3密を避け、うがい励行、手洗い、アルコール消毒、そして健康を保つために快眠、バランスの良い食事、適度な運動を取り入れた規則正しい生活を維持しているこの頃である。この”非日常“を”日常“とし不自由さを感じながらも自分流のコロナ対策で自衛している。
人の移動制限・禁止で国内・国外で一瞬に人の動きが消えてしまった。少なくとも私が生きてきた70余年の時代で初めての出来事である。我々が生きるための最低限の行動を除き、経済活動をストップせざるを得ない事態になった。国内&海外旅行・出張による飛行機・鉄道・バス・タクシー・レンタカーの交通機関、ホテル・旅館業、日常的に利用している食堂・レストラン・酒場・居酒屋及び接客業のバー・クラブ・キャバレーが影響受け、それは第一次産業の海産物、農産物の市場販売に影響を与え、第二次産業の自動車、家電、不動産、建設業の落ち込みをもたらした。今までのサイクルが滞り、あるいはストップしてしまった。これが雇用問題に影響を与えるので複雑になる。
この状態が全世界で起こっているということが現実である。その上、グローバル化したサプライチェーンに大混乱をもたらしたのが大きい。一方、まだまだ新型コロナウイルス感染症の勢いは止まらない。但し、各国の感染者数の約4~8割は既に回復している。
世界の感染者数 (by NHK)
9月8日14時現在
順位 | 国名 | 感染者数 | 回復者数 |
---|---|---|---|
No.1 | USA | 6,300,622 | 2,333,551 |
No.2 | India | 4,280,422 | 3,323,950 |
No.3 | Brazil | 4,147,794 | 3,549,201 |
No.4 | Russia | 1,027,334 | 840,997 |
No.5 | Peru | 689,977 | 522,251 |
Total | Global | 27,332,433 |
各国は独自の政策で経済活動の再開を図ってきている。各国の事情によりそのやり方は違っている。先進国ではCOVID-19の勢いは落ち着いてきたようである。しかし米国は例外である。中国は2002年に起きたSARSの対策が生きたのかCOVID-19は上手くコントロールしているようである。他のどの国よりも経済活動の再開が早かった。
今、その真逆の米国と中国との間で貿易が伸びている。米国ではロックダウン解除後、消費・生産体制の回復、商品の在庫不足、そして9月は伝統的なクリスマス商品の入荷月でもある。そして中国で10月から始まる国慶節休暇前の駆け込み需要が中国から北米・欧州への輸出を活発化している。
そのために各船会社・アライアンスは9月にアジア・北米航路の船腹供給量を週当たり50万TEUに増やした。今年5月比、26%増。アジア・欧州航路も5月比、17.6%に船腹を急拡大させた。しかしそれでもコンテナ運賃の上昇が続いている。それまで各船会社・アライアンスがCOVID-19で荷動き減に呼応して運航船の減便・廃止で運賃水準を維持するように努めてきた。
9月8日付け北米東岸向け40f運賃は前週比330ドル上昇の4538ドルとなった。2015年3月以来となる4500ドル超えである。北米西岸向けが前週比119ドル上昇の3758ドル。8月中旬から4週連続で最高値を更新。北欧州向け20fで1042ドル、地中海向けは1082ドル。前週比いずれも10~20ドル値上がりしている。北欧・地中海向けが1000ドルを超えるのは1月17日付け以来とのこと。南米向け40fで5000ドル。半年前は3000ドルであった。
運賃値上がりに輪をかけているのが中国・アジアでの顕著なコンテナ不足である。各船会社・アライアンスの今までの運航船の減便・欠便が、北米・欧州でコンテナの滞留を引き起こした。その滞留している空コンテナのアジア回送に力を入れているが、10月以降に荷動きが減速するのを予想し、各船会社・アライアンスは引き続き船腹調整で対応しようとしている。今までのやり方を続けると船会社は皆共倒れを起こすしかない。需給バランスに則った配船が運賃水準安定化の鍵である。
8月末、新造コンテナ価格は、$2100 per 20f。中国工場新造コンテナ残、604,492TEU (Dry: 552,840TEU, Reefer: 51,652TEU)。Dryの中国工場新造コンテナ数は7月の830,385 TEUから277,545TEU減で、残りの工場在庫、552,840TEUは、全て船会社からのL/Tで予約済と言われている。中国での8月・9月の需要は凄まじく、日本から中国に空回送を掛けて需要に合わせるほどである。Ocean Network Express (ONE) の第2四半期の会計年度はかなり素晴らしい成績が予想される。