欧米のコロナウイルス第二次感染拡大と北米の新築家屋需要増 / COVID-19ワクチンの輸送に適した冷凍コンテナ | コンテナ市況レポート 2020年11月

   米国の新型コロナの感染者数の増加が止まらない。11月4日に初めて一日当たりの感染者数が10万人を超えた。5日に12万人を超え、総感染者数は960万人(死者数234,000人)超えた。その中、11月3日に米国大統領選挙が行われた。結果は約1億6000万人が投票した。投票率66%超え、過去120年振りの高水準とのこと。その結果を分けたのがコロナ禍にあっての郵便投票と期日前投票である。投票者数の62%を占める国民1億人が郵便、期日前投票をした。その数は過去最多。郵便投票は民主党に有利に働き、本日現在、未だ一部開票中であるが、ジョ―・バイデン候補が当選に必要な選挙人の270人(過半数)を超える279人を獲得した。来年の1月20日に米国最高齢、78歳で、第46代大統領に就任する。カマラ・ハリス上院議員は史上初の女性副大統領となる。トランプ政権は現職が強いと言われている大統領選を落とし、1期4年でその使命を終える。
   米労働省が6日発表した米失業率は6.9%(前月から1.0%低下)で、6ケ月連続で改善された。7~9月期の経済成長率は前期比年率33%と急回復している。このコロナ禍で米大統領トランプ氏は経済面においては結果を出していると言える。COVID-19に有効なワクチンが選挙前に開発され、米国民に接種されていたら米国大統領選挙はまた違う結果が出たのではないか?

   欧州も新型コロナウイルスの感染再拡大が止まらない。11月7日に欧州の1日の感染者数が初めて30万人を超えた。フランスで1日当たりの感染者数が6万人を超え、イタリア3万人、英国、スペイン、ポーランド、ドイツ各国で2万人を超えた。そのため医療崩壊の警戒が高まり、経済より感染対策を重視し、欧州各国がCOVID-19感染第2波による感染拡大を防ぐために2回目の都市封鎖(ロックダウン)を含めた行動制限を始めた。その結果、ユーロ圏の10~12月の実質経済成長は前期比でマイナス0.1%。2020年の成長率、前年比マイナス7.8%、2021年4.1%に修正された。失業は全雇用の75%を占めるサービス業に与える影響が大きい。失業率は、20年8.3%、21年9.4%、22年8.9%と高止まると予測されている。その中でも25歳未満の失業率が約18%と高く社会不安要因の可能性を残している。失業率の高止まりは、消費、税収の減少、生産性の低下をもたらす。欧州各国は雇用維持、休業補償を目的にした追加予算を準備している。フランスでは200億ユーロ、イタリアは54億ユーロ、スペインも具体策を検討している。その結果、2020年の公的債務残高(前年度比)は、フランスが119.8%、イタリア159.6%、スペイン120.3%と悪化する。

   中国経済の回復は早く2020年7~9月の実質経済成長率は前年同期比4.9%に拡大。20年1~3月に1992年以来初めてのマイナス成長を記録したが、20年4~6月はプラスに転じた。20年7~9月の輸入額は同年同月比4%の増加となった。金融緩和でマンション投資拡大、国有企業のインフラ投資増大。マスク、パソコンの輸出増。内需消費が持ち直し、高級ブランド品の高額消費増、高級自動車の販売が牽引した。
   アジア18ケ国・地域からの北米輸出の勢いは7月頃から徐々に加速されて来た。その原因は米国の新築ブームにある。COVID-19による在宅勤務増加が火をつけた。8月の新築一戸住宅販売が前年同月比43.2%増、101.1万件を記録した。リーマンショック前、2006年11月の住宅ブーム以来の高水準である。30年固定住宅ローン金利が2.9%と低水準も後押ししている。一方、DIYの盛んなお国柄、3密を避けるためのCamping等自然生活を謳歌する国民性が今の米国の個人消費を特長づけている。それは日本海事センターのアジア18ケ国・地域からの北米輸出品目別資料からも理解できる。アジア18ケ国・地域からの北米輸出は、昨年10月から今年6月までは対前年度比マイナス。7月1659,088TEU(対前年同月比0.9増)、8月1,829,016TEU(同13.6%増)、9月1,776,303TEU(同13.7%増)を記録した。この輸出増は一過性でない。

   Ocean Network Express (ONE)が11月中旬、日本寄港の北米西岸向け臨時船を投入する。それは毎週発生している日本発北米向けロールオーバー(積み残し)を解消するためである。日本に臨時船を寄港させるのは極めて珍しい。日本船社ならではのONEの日本荷主重視の対応である。ちなみにONEの2020年度上期(4~9月)業績は税引き後利益が6億8200万ドル、前年同月比約4.4倍と大幅な増益となった。第一四半期(4~6月)1億6700万ドルの黒字、第二四半期(7~9月)5億1500万ドルの大幅黒字を達成。通期業績で前年度比8.8倍となる9億2800万ドルの黒字を見込んでいる。
   リース会社の稼働率はTritonの実績に見るように6月末には95%を切るまで下げたが9月中旬に97%を超えた。10月末、大手船会社は中国の国慶節後の思いもかけない輸出増でリース会社の新造コンテナを5~10年の長期リースで確保し、中国の数少ないデポコンテナまで1年以上の長期使用条件で手に入れた。10月末の中国新造Dryコンテナ工場残、278,847TEUの半分、10月の新造Dryコンテナ総数、316,790TEUの半分はリース会社が発注したと考えると30万TEUのコンテナを船会社はリースし、あるいは船会社自身の発注分も含むと、約60万TEUものコンテナを船会社が10月で手当てしたと言える。ちなみに10月末の新造工場残、327,063TEU (Dry: 278,847TEU, Reefer: 48,216TEU)。新造コンテナ価格は$2,450 per 20f。

   最後にメディア関係で二つお伝えしたい。一つ目は弊社が代理店をしているThermo King社から、10月9日(金)に、既存のSuper Freezer(-60℃まで冷える冷凍コンテナ)のSoftwareを変えることで、COVID-19ワクチンを移送するのに適した-70℃に冷凍能力を高めることができるという連絡が有り、それを10月12日(月)に業界紙がとりあげてくれた。その反響は大きく、我々もその対応に追われた。ワクチンはできたがそれを運ぶ手段が無いということになるとせっかく開発されたワクチンが生きてこない。-60℃或いは-70℃まで冷やす能力を持つ冷凍機はSuper Freezerだけである。問い合わせてこられた方々の殆どが、運搬・保管を考えているようである。COVID-19ワクチンの開発・使用を如何に多くの人が待ち焦がれているかを知ることになった。二つ目は、日本経済新聞の記者の方が10月19日(月)弊社に訪ねてこられ、コンテナ価格上昇、コンテナ不足が何故起こり、いつまで続くのかと言う質問であった。現状を正しく認識してもらうため1時間半説明をさせてもらった。10月24日(土)朝刊、17面トップに“輸送用コンテナ価格上昇”の見出しで小生のコメントを7行載せていただいた。