【市況レポート】「弱い円が日本をダメにする!」「コンテナ運賃は値上げへ、喜望峰経由は75%までシェア拡大」「新オフィス移転、意欲ある人材募集中」他 2024年4月

  • by 中尾 治美

弱い円が日本をダメにする!

 4月10日(水)のニューヨーク外国為替市場で、$1.00=Yen 153台前半を付けました。1990年6月以来34年ぶりの円安です。
 米国が利上げに走った時、2022年3月に0.25%、12月に0.50%、それから合計5回、2.00%も利上げしました。その本気度がうかがえます。欧州各国もそれに合わせて利上げに動きました。その結果、ユーロやポンドもドル為替で大きな為替差には至りませんでした。今ではユーロもポンドもコロナ禍前の水準に戻っています。元日銀黒田総裁だけがゼロ金利政策を維持したために、日本は取り残されたままになっています。 
 過去の日米欧の中央銀行は金利を0.25%刻みで動かすことが一般的でした。植田総裁は3月19日の金融政策決定会合でマイナス0.1%としていた政策金利を0~0.1%程度に引き上げました。これはこれで大いに評価したいと思います。しかし同時に、国債の買い入れを行なうとして、長期金利抑制策の解除を否定しました。その結果、日銀植田総裁の金利政策に対する本気度が見えません。総裁自身が円防衛を否定したと受け止められ、金利差が利益を生む円キャリー取引に拍車をかけているのが現状です。
 帝国データバンクの調査によると、2022年には2万5768品目、値上げ率14%、2023年には3万2395品目、同15%、が値上げされましたが、2024年にも1月310品目、2月1626品目、3月676品目、4月1765品目、5月179品目の値上げが予定されています。これではいくら企業が賃上げをしても追いつきません。金融政策は円を安定させて国民の生活を守ることも重要な政策であると思います。弱い円は日本の国力を弱め、自国企業を守っているようでダメにしています。

米国は賃上げ鈍化、欧州は利下げに動くか?、中国は地方銀行に打撃

 米労働省が5日発表した3月雇用統計の、非農業部門の就業者数は前月から30万3000人増加しました。失業率は3.8%でした。2月の3.9%から低下しました。米経済は相変わらずの人手不足状態です。但し、2月の求人件数は875万件で、2023年7月から横ばい状態で高止まりとなっていることに加え、3月の平均時給の前年同月比の伸び率は4.1%で2月の4.3%から低下し、賃上げの勢いが弱まっています。インフレ率も2022年から急速に鈍化してきていますので米国経済は落ち着いてきています。一方、米国民は高金利で新築住宅の購入、中古住宅の販売を躊躇せざるをえません。また、米国の将来を担うスタートアップ企業、ベンチャー企業が銀行からの貸し渋りで動きができない現状を見ると、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の早急の利下げで米国経済のソフトランディングを成功させてもらいたいと期待しています。

 一方、欧州中央銀行(ECB)は6月に利下げをする可能性を認めています。インフレ鈍化が予定通り進んでいるためです。3月のユーロ圏の消費者物価指数は前年同月比2.4%上昇しました。伸び率は3ヶ月連続で鈍化しました。物価を左右する賃上げも落ち着いてきています。英国、カナダ、スウェーデンも6月利下げの動きが出ています。スイスは3月に利下げに踏み切っています。ECBが利下げに動けば、欧州を中心に利下げが先行し、米国が追随することになり、世界的な利下げ局面入りする可能性が出てきています。しかし、イスラエルとイランの対立激化、ロシアのウクライナ侵攻等の政治問題、原油価格高騰、資源高が波乱要因として利下げが延期となる可能性もあります。

 中国の大手不動産会社、中国恒大集団、碧桂園については外国債権者が香港高裁に法的整理を申請しています。一方、中国の不動産問題で打撃を受けているのは中国の地方銀行です。香港市場に上場し、決算を開示した準大手以下27行の不動産向け不良債権の合計額は1068億元(約2兆2300億円)で、前年度から27%増加しています。産業が乏しくインフラや不動産投資に頼る内陸部の深刻さが目立っています。
 米ゴールドマン・サックスによると、中国の不動産会社の金融負債の75%は銀行が保有しています。不動産不況で約1兆2000億元の損失が表面化し、基盤の弱い中小銀行は資本不足に陥る可能性があると指摘しています。しかし中国の多くの製造企業はしたたかに頑張っています。大量生産で販売価格に競争力を与え世界に売り込んでいます。中国製品の品質も侮ることは出来ません。

コンテナ運賃は10週連続の下落

 Drewryが4日公表したコンテナ船運賃指標(WCI)は、総合指数は前週比3%減、$2,836 per FEUで、10週連続の下落となりました。その結果、上海/ロッテルダム向けのスポット運賃は3%減、10週連続下落。上海/ロスアンゼルスは3%減、8週連続下落。上海/ニューヨークは3%減、8週連続下落となりました。
 Drewryは今週末もスポット運賃は下落すると見ています。

コンテナ船運賃指標(WCI) 2024年4月4日 ※Drewryより参照
航路名ドル/FEU前週比前年比
総合指数2,836-3%66%
上海/ロッテルダム3,078-3%101%
上海/ロサンゼルス3,704-3%113%
上海/ニューヨーク4,894-3%96%

バルチモア港事故、代替ルートで影響は軽微

 3月26日未明、バルチモア港でコンテナ船の橋梁衝突事故が発生し、入出港が停止していますが、コンテナ船市況に大きな影響は出ていないようです。それは、船社がニューヨーク/ニュージャージー港、ノーフォーク港、フィラデルフィア港などの代替港利用で対応している他、鉄道各社がバルチモア港から北米東岸他港への専用鉄道輸送サービスによる代替ルートの構築を進めているからです。また、米国海兵隊等の懸命の復旧作業により、5月末までに通常の港に回復することが見込まれています。

コンテナ運賃は値上げへ、喜望峰経由は75%までシェア拡大

 主要コンテナ船社は4月15日付での運賃値上げを計画しています。Drewryによると、Week15(4月8日から14日)からWeek19(5月6日から12日)までの間に東西航路(太平洋航路、大西洋航路、アジア/欧州・地中海航路)の往航全体で54便の欠航が発表されています。欠航率は8%に相当します。太平洋航路の東航が43%、アジア/欧州・地中海航路が39%となっています。アライアンス別の内訳は、オーシャン・アライアンスが20便、ザ・アライアンスが12便、2Mが6便、非アライアンス船社が16便となっています。
 パナマ運河は5月頃から雨季に入るため、水不足が改善されると期待されていますので、少なくとも喜望峰経由などの代替ルートからパナマ運河に戻す船会社が増えてくると思われますが、これも天候次第ということになります。一方、スエズ運河はまだ、紅海情勢の緊迫化により通航が難しい現状は変わりないようです。その結果、通航する貨物船のシェアは2023年11月にスエズ運河が66%、喜望峰周りが13%に対して2024年2月ではスエズ運河が7%、喜望峰周りが75%と逆転しています。

2024年3月の新造コンテナ情報

 3月の新造コンテナ価格は$2000per 20fでした。前月に比べ、$50下がり、2.4%の値下がりとなりました。コンテナ製造本数は 444,025 TEU (Dry: 429,026 TEU, Reefer: 14,999 TEU)となりました。前月と比較すると、コンテナ製造本数、+ 192,941 TEU、+77% (Dry: +179,585 TEU, +72%, Reefer: 13,356 TEU, +813%)となりました。
 3月末の中国の新造コンテナ残は、788,694 TEU (Dry: 737,179 TEU, Reefer: 51,515 TEU)でした。工場残は前月と比較し、+58,150 TEU( +7.95%), (Dry: +58,079 TEU, +8.6%、Reefer: +71 TEU, +-0%)となりました。結果として3月には工場から新造コンテナ385,875 TEU (Dry: 370,947 TEU, Reefer: 14,928 TEU)が出荷されました。それは3月に製造されたコンテナの内、Dryで86%、Reeferで99%、TEUベースで87%がそれぞれ出荷されたことになります。

新オフィス移転、意欲ある人材募集中

  EFIは15周年を迎えたばかりのまだ若い会社です。伸び盛りの会社です。社員一人ひとりが創り上げていく会社です。年齢、性別は問いません。やる気さえあれば面白い会社です。人間は一人では生活できません。他の人とのかかわりで生きています。商売も同じだと思います。お互いに幸せになることが大切です。昔の近江商人ではありませんが、3方良し、相手、自分、社会が良くなることが大切です。これを実行していきたいと考えています。チャレンジ精神を失わず、他の人を気づかい、一緒に成長するやる気のある方にEFIに参画してくれることを希望します。7月後半に横浜駅きた東口から、ベイクォーター経由徒歩7分の便利な職場に移転します。
 一緒にやりませんか!

関連記事

TOP