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第二の黒船か?25%関税危機をチャンスに、官民一丸で新生日本へ

米国の相互関税は7月9日に発効する予定でしたが、トランプ米大統領は7月7日、日本を含め14カ国に新たな相互関税率を通知しました。日本は赤沢経済再生担当大臣が既に4月16日から6月26日まで合計7回も渡米し米閣僚と交渉を重ねたにもかかわらず、トランプ米大統領に日本は手強い交渉相手であるし、甘やかされていると苦言を呈されてしまいました。日本は、このまま何の材料も無くトランプ米大統領を説得できなければ、今までの24%から1%追加された25%の関税が8月1日(金)から課されることになります。それとは別に、日本製自動車には25%の品目別関税が4月3日(木)から既に発動されています。自動車への関税、25%は、日本が米国に最も引き下げてほしい品目です。因みに、2024年に日本から米国に輸出された自動車台数は約137万台です。輸出金額は約6兆261億円でした。これは日本の米国への輸出総額の約28%に当たります。非常に日本にとり死活問題の話です。
トランプ米大統領は日本に繰り返し提言しています。日本は、現在コメ不足で国民が困っていても米国から米を輸入しようとしない。日本でアメリカ車が売れていない。但し、日本のために弁護しておきますが、日本はWorld Trade Organization (WTO)の“ミニマムアクセス米”として毎年約77万トンのお米を輸入しています。そのうち約45%の35万トンを米国から輸入しています。また、アメリカ車も毎年約2万台輸入しています。
トランプ米大統領は日本にとり第二の黒船か?日本は、この機会を第二の黒船として捉え、改めて、産、官、学、民が一丸となって日本の産業の構造改革と新しい日本の再生に取り組んではどうでしょうか?例えば、小規模で高齢化が進む農業、寂れつつある林業、過酷な漁業を、より安全で効率的な機械化によって、もっと魅力的で活気のある産業に変化させるべきです。島国である日本の特徴を活かし、離島や孤島、中小港湾・運河をEVバージ・EV小型船舶を利用することで有効活用し、トラックからEV船へのモーダルシフトで港湾事業の再生を果たし、地方港湾の活性化を目指します。魅力ある港湾は地方での雇用の創生にも繋がり、東京一極集中を解消できます。更に、再生可能エネルギーの新技術や政策で、EV自動車の普及とその他機械のEV化を推進することで日本の持続可能な再生を30年から50年の長期的な計画で推進しては如何でしょうか?
その取り組みの前に、トランプ米大統領に現在の関税を日本が納得できる数字まで下げてもらうことが必要です。官公庁で使用している公用車を有名ブランドのアメリカ車に替えることを提言してみはどうでしょうか?これは少ないコストで大きなインパクトをトランプ米大統領に与えるのではないでしょうか?それに加え、”ミニマムアクセス米“を、全量、米国産米に替えるか?思い切って100万トンと提言してみてはどうでしょうか?そして中国が米国小麦の買い付けを止めているので、その代わりに、米国に適用している関税割当分の小麦をゼロ関税で輸入することを宣言したらどうでしょうか?また、日本の排他的経済水域(EEZ)内の小笠原諸島・南鳥島(東京都)沖、水深5500メートルの深海鉱床にレアメタル(希少金属)を豊富に含むマンガン団塊が2億トン以上存在することが確認されています。日本は2027年までに引き上げ技術の実証を進める計画ですが、それを”共同で商業化しませんか?“とトランプ米大統領に提案してみては如何でしょう?中国は現在、日本の南鳥島沖のEEZを認めないで、日本のEEZ内の公海上で深海鉱床のレアメタルの独自の調査を開始しているので、米国との共同開発は中国への牽制にも役立つに違いありません。中国が輸出制限しているレアメタル政策に対して米国に有利に働く提案ができると思います。少なくとも気難しいトランプ米大統領の気持ちを変えさせて、現在の自動車関税25%、相互関税25%について大幅な引き下げを勝ち取ることができるのではないでしょうか?
7月20日、3連休の中日に行われる参議院選挙で頭がいっぱいなのか、トランプ米大統領の25%関税について、“誠に遺憾”と発言するだけでは、日本のために必死に交渉する石破総理の本気度が、残念ながら、見えてきません。
米国債格下げショック!揺らぐ「安全神話」とインフレ懸念
大手格付け会社、ムーディーズ・レーティングスは5月、米国債の信用格付けを最上位から1段階引き下げました。米調査会社が4~6月期の国債と社債を含む米長期債ファンドから100億ドル(約1.45兆円)の資金が流出したと報告しています。長期債ファンドの資金流出は財政悪化へ警戒のサインと言われています。各国中央銀行、機関投資家は米国債に変わる安全資産である金へシフトを進めています。
7月4日に米連邦議会でトランプ減税の延長を柱とする減税・歳出法案が上院・下院で採決され成立しました。米議会予算局(CBO)は10年で3.4兆ドル(約490兆円)程度の財政赤字を見通しています。金融市場では米国の債務膨張が深刻化していると見ています。国債の大量発行はインフレ圧力となりますので、米国債の安全神話の崩壊による米国財政の更なる悪化が懸念されます。
欧州は緩やかに回復、中国は政策効果弱く先行き不透明
欧州経済は緩やかな回復基調にありますが、成長の勢いは依然として弱く、貿易摩擦や地政学リスクが成長を下げるリスクを抱えています。欧州連合(EU)はブルガリアに対して単一通貨ユーロの導入を承認しました。2026年1月1日から適用となります。法定通貨としてのユーロ導入はクロアチアの2023年以来、3年ぶりとなりました。
中国の2025年4月から6月までの実質国内総生産(GDP)は前年同期比5.0%増加と日経新聞が伝えています。米国との貿易摩擦が足枷となっていますが、東南アジア向け輸出の伸びが下支えしました。中国経済は消費に回復の兆しが見られますが、デフレ圧力、輸出停滞に加え、不動産市場、労働市場の弱さがあります。政府の経済対策で、一部の都市で住宅販売は持ち直していますが、地方都市の不動産市場は依然として厳しい状況にあります。当面、急激な経済悪化は回避されていますが、本格的な回復には至っていません。
スエズ運河、通航再開の困難化で新規船社がアジア米国航路に参入

紅海南部で商船が7月6日、7日と攻撃を受けました。イエメンの親イラン武装組織フーシ―派が7月6日の攻撃への関与を認めています。CMA-CGMは、自国、フランス海軍護衛の下、スエズ運河を通航していますが、アライアンスの主要船社による本格的なスエズ運河の通航再開は難しそうです。
コロナ禍後、太平洋航路の運賃高騰を受けて再参入を含め新規参入するコンテナ船社が出てきています。
■高麗海運 ― 韓国船社
6月中旬からTS Line、Sealead Shippingと組んで再参入。
■エミレーツシッピング ― UWLと提携
7月下旬からホーチミン、蛇口、シアトル間のサービスを提供。
■合徳国際航運 ― 香港船社
7月中旬、南沙(中国)とロスアンゼルスを約14日間で結ぶ高速サービスを開始予定。
■China United Lines(CUL) ― 中国船社
6月17日、蛇口、寧波、青島とロスアンゼルス間のサービスを開始。
アジア・米国航路の新参入船社は、トランプ米大統領の関税政策及び米国通商代表部(USTR)が提案している入港料措置による影響に左右され、サービスの改編・撤退の可能性があります。
トランプ関税と入港料が左右するコンテナ運賃の行方
コンテナ船運賃指標(WCI) 2025年7月3日 ※Drewryより参照 | |||
航路名 | ドル/FEU | 前週比 | 前年比 |
総合指数 | 2,812 | -6% | -52% |
上海/ロッテルダム | 3,468 | 8% | -57% |
上海/ロサンゼルス | 3,180 | -15% | -57% |
上海/ニューヨーク | 5,070 | -11% | -45% |
Drewryは今年後半には需給バランスが再び悪化し、短期コンテナ運賃が下落すると予測しています。運賃変動の大きさとタイミングは、まだ確定はしていませんが、米国が中国船に課す入港料次第としています。
5社で88%独占!寡占化が進むコンテナリース業界

コンテナリース会社の勢力図に興味をお持ちの方は多いのではないかと思います。
今年3月にTritonが米国リース会社、GCI(約50万TEU所有)を買収しました、また三井住友ファイナンス&リース会社がTritonの親会社、Brookfieldと合弁会社を設立し、Triton所有の2割を購入しましたが、TritonがそのFleetを引き続き運用するとしていますので運用本数はGCIの50万TEUが加わり750万TEUのFleetを維持しているようです。一方、TextainerがSeacoをBohai Leasingより買収する契約を締結しました。
Drewryが各社の買収後の勢力図を提供しています。
コンテナリース業界買収後の勢力図 | |||
Rank | Name | Million TEU | % |
No. 1 | Triton | 7.87 | 28 |
No. 2 | Textainer | 6.97 | 25 |
No. 3 | florens | 4.15 | 15 |
No. 4 | CAI | 3.96 | 14 |
No. 5 | SeaCube | 1.6 | 6 |
Others | 3.22 | 12 | |
G.Total | 27.77 | 100 |
コンテナリース会社わずか5社が、リースコンテナ市場全体の88%以上(TEUベース)を所有しています。また、2024年末時点で、全世界で使用されているコンテナの48%を支配しています。
2025年6月の新造コンテナ情報
6月の新造コンテナ価格は、$1700 per 20fでした。6月より$50値上がりとなりました。鋼材が1%値下がりし、床材が3%の値上がりした結果です。6月の新造コンテナ生産量は、625,825 TEU(Dry: 588,292 TEU, Reefer: 37,533 TEU)となりました。先月との比較は、総数+62,888 TEU(Dry: +58,793 TEU, Reefer: +4,095 TEU)、比率は、総数+11%(Dry: 11%, Reefer: +12%)となりました。新造コンテナ工場残は、1,633,837 TEU(Dry: 1,570,374 TEU, Reefer: 63,463 TEU)となりました。夏場の需要期に備え少し注文が増えだしたものと思われます。全体の工場在庫数は前月から総数+11,173 TEU(Dry: +8,081 TEU, Reefer: +3,092 TEU)増加、比率で総数+0.7%(Dry: +0.5%, Reefer: +5.1%)となりました。6月工場出荷本数は、総数614,652 TEU(Dry: 580,211 TEU, Reefer: 34,441 TEU)となりました。Dry及びReefer コンテナの6月製造された約同数が工場から出荷されました。
夏の暑さも忘れる、スタッフの頑張りに感謝
猛暑で集中力もなくなりそうな毎日です。勝手なもので、暑いと早く冬が来ないかな!寒いと早く夏が来てほしい!と願っている自分がいます。若い時は夏が来る前はなんだかワクワクして大変楽しみでした。しかし、昨今の猛暑では、そのワクワク感も無くなりエアコンの冷風を求めています。昔、香港、シンガポールに仕事で行ったとき、現地スタッフが、強烈なエアコンの冷風を浴びながら、“オー!フレッシュ!フレッシュ!”と喜んでいたのを思い出します。暑い国に住んでいる人たちには、人工的に創りだされたエアコンの強力な冷風が、高山のさわやかな冷風に匹敵するのだと感心しました。自然に対して文句を言ってもきりが有りませんが、職場で、スタッフから我社の製品、商品の成約の報告を聞く度に、悩ましい猛暑の暑さも何処かに吹き飛んでしまいます。頑張って働いているスタッフに感謝、感謝です。