【市況レポート】「自国優先主義の時代、資源のない日本が繁栄するためには?」他 2024年1月

  • by 中尾 治美

能登半島地震、羽田空港事故、最適な備えについて考える

  年末年始はさいたま新都心駅近くの15階建ホテルで越年するのが慣例となっています。1月1日午前中に初詣を済ませ、12階の部屋で “2024年の世界のコンテナの動き”について思いをめぐらせていると午後4時過ぎ、2011年3月11日の東日本大震災(マグニチュード9.0)時に横浜で感じた大きな強い揺れを感じました。能登半島を震源地とするマグニチュード7.6の能登半島地震です。とっさに、酷い災害にならないでほしいと祈りました。しかし、石川県によると、死者は200名を超え、安否不明者は50名以上となっています。正月休み、半島の入り組んだ海岸線、過疎化、多数の古い倒壊家屋が救助活動に支障をきたしているようでした。亡くなられた方々のご冥福を祈り、被災地が一刻も早く復興されることを祈りたいと思います。
 一方、1月2日午後6時、東京羽田空港で着陸態勢の民間機、JALと能登半島地震の援助物資を運ぶために待機していた海上保安庁の航空機が衝突、炎上、海上保安庁の乗組員5名が亡くなられ、JALの乗客乗員379名は全員避難して無事でした。脱出するまでの時間は18分間。その後、機体は炎上し、形状をとどめていません。これも日頃からの航空会社の訓練のたまものと確信しました。
 日本は地震国ですので、日頃からの避難訓練、食糧の備蓄、とにかく救助・救援物資が来るまでの最低限のライフラインを維持することが大切です。過去の災害を参考にして足りないものを備えることが重要です。救助遅れで亡くなる方が無いことを目指してもらいたいと思います。現在でも、既に、各都道府県及び市町村で備えられていると思いますが、今一度、いろいろなケースを想定して最適なものを準備されることを希望します。

自国優先主義の時代、資源のない日本が繁栄するためには?

 現在の世界の大きな動きはグローバリズムの名のもとで各国の特徴を生かし、その役割を果たし、互を助け合うという流れから、America Firstを標榜する米国と専制主義国、覇権主義国に見られるように自国優先主義の時代へと移行しているように見えます。自国のことは自国で守ることが最低限要求されます。自国有利にするために他国が必要なものを輸出制限する動きがみられます。その中にあって我が国はその流れを理解し、他国に頼るものを最小限度にして国の繁栄を達成することができるのでしょうか?資源の無い国は無いなりにそれを補う技術、改革・改善・生産性を高める必要があります。江戸時代の自給自足、明治維新の短期間の近代国家建設、第二次大戦後の目覚ましい復興を経験した日本はバブル後30年を糧として世界がうらやむ国家を創り上げることができると確信しています。平等、公平、お互いを尊重し、自由で平和を愛し、希望の持てる国を創り、他国が見習いたい国になれると信じています。

米国経済はすでにピークか?欧州中央銀行はインフレ圧力の再燃を警戒

1月5日、米労働省が発表した2023年12月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月から21万6000人増加となりました。失業率は3.7%で、11月と同じです。平均時給は前月比で0.4%上昇しました。11月の労働参加率は83.3%でコロナ禍前の2019年12月の82.9%を上回っていることや民間求人件数も11月の781万人はコロナ禍前で最大であった2018年11月の691万人に近ついていることを考慮すると米国経済は既にピークに達していると言えるのではないでしょうか?
 米国小売業協会(NRF)が提供している6ヶ月先までの荷動き予測は、12月は前年同月比9%増、189万TEUを予測しています。今年1月192万TEU(同6.1%増)、2月176万TEU(同13.8%増)、3月170万TEU(同4.7%増)、4月179万TEU(同0.2%)、5月192万TEU(同0.8%減)とみています。輸入小売り貨物は2024年第一四半期には低い増加率で推移し、春から大きく伸びると考えています。但し、紅海での商船攻撃により、スエズ運河を避ける喜望峰経由が長期化すると追加日数を要し、輸送コストの増加が予想されます。
 欧州連合(EU)統計局が1月5日に発表した2023年12月のユーロ圏の消費者物価指数は前年同月比で2.9%上昇し、伸び率は8カ月ぶりに加速しています。欧州中央銀行(ECB)はインフレ抑制のために、当面金融引き締めを続けるとしています。それは欧州各国賃上げ要求のストライキが続いており、賃上げは個人消費を強め景気の下支えますが、インフレ圧力の再燃を警戒しているからです。

2024年は台湾総統選挙、米国大統領選挙に注目

2024年は世界各国・地域で選挙が行われる年です。その為に政治空白、政策の遅れ、混乱で経済活動が制限される可能性があります。現状を肯定、継続、あるいは良い意味で政治改革・経済活動が改善・発展する結果になるように期待したいと思います。
 まず、第一に注目したいのは、1月13日に実施される台湾総統選挙です。与党の民進党が政権を維持するか?野党の国民党が政権を握るかで状況が変わってくると考えます。国民党が政権を取ると台湾・中国の経済交流はさらに盛んになり、台湾の中国化が促進されます。政治的不自由さは否定できません。これは台湾の人が決めることです。最も注目を集めるには11月5日に行われる米国大統領選挙です。民主党のバイデン大統領が2期目を維持できるか?もしトランプ氏が選ばれると米国の政治政策が大きく変更されることが予想されます。

紅海・スエズ運河通航回避でサプライチェーンの混乱予想もスポット運賃は旧正月後下落予想

 紅海でのイエメンの親イラン武装組織フーシ派による一般商船攻撃で三大アライアンスが12月にスエズ運河通航中止を決定し、喜望峰経由を選択しました。その結果、追加船需要増加、航海距離の伸びにより、約1ヶ月の輸送日数増加をもたらします。コンテナ需要逼迫のシナリオが見えてきます。
 Drewryは紅海での遅延と迂回は、サプライチェーンの混乱に繋がり、その回復には数ヶ月を要すると見ています。但し、スポット運賃は旧正月後に下落すると予想しています。

コンテナ船運賃指標(WCI) 2024年1月4日 ※Drewryより参照
航路名ドル/FEU前週比前年比
総合指数2,67061%25%
上海/ロッテルダム3,577115%91%
上海/ロサンゼルス2,72630%39%
上海/ニューヨーク3,85826%2%

2023年12月の新造コンテナ情報

 12月の新造コンテナ価格は$2,000 per 20fです。先月より11%、$200値上がりしました。新造コンテナ製造本数は358,809 TEU (Dry: 330,500 TEU, Reefer: 28,309 TEU)です。中国コンテナ工場にある総新造コンテナ在庫数は885,533 TEU (Dry: 821, 218 TEU, Reefer: 64,315 TEU)で、先月より30,832 TEU増加となりました。
 2023年新造コンテナ製造本数は2,192,287 TEU (Dry: 1,967,651 TEU, Reefer: 224,636 TEU) となり、過去10年間の年間製造コンテナ数と比較して、過去2番目に少ない年間生産本数となりました。Dryで過去2番目、Reeferで過去4番目に少ない製造本数です。2023年の新造コンテナ需要が如何に悪かったかという証明となります。

今の若者に日本の将来を託す、世界平和にも貢献できると確信

 日本の若者は捨てたものではありません!以前、日本を代表する三人の若者を独断と偏見で上げさせてもらいました。その一人が、米国Major Leagueで活躍されている大谷翔平さん(29歳)です。ピッチャーと打者、両方を人並み以上の成績を上げる二刀流選手です。2023年は日本人、いやアジア人初めてのホームラン王を獲得し、2021年に続き2度目のAmerican League MVPを獲得しました。2023年のオフシーズン、AngelesからフリーエージェントとなりDodgersに10年契約、7億ドル(1015億円)で移籍しました。
 2人目が、12月にプロボクシング・スーパーバンタム級4団体チャンピオンとなり、バンタム級と合わせ2階級4団体統一チャンピオンになった井上尚弥さん(30歳)です。1年間にこの偉業を成し遂げました。史上二人目の快挙です。彼のボクシングセンスはまさにモンスターに値します。彼が相手をKOするストーリーは芸術と言えるのではないでしょうか?
 最後が将棋で八冠を達成した藤井聡太(21歳)さんです。14歳で将棋界にデビューし、7年後に前人未踏の偉業を成し遂げました。それも史上最年少、21歳2か月の若さでの八冠達成でした。
 彼らに共通する性格は謙虚で偉ぶらず、驕らず、人に愛され、それでいてストイックな技術探究者です。彼らの世界での更なる活躍を期待したいと思います。
 日本の若者は我々が心配しているほど柔じゃない。我々は日本の若者に日本の将来を託すことができます。また、世界平和に日本人は貢献できると確信します。

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