2019年、10年目のEFI、円高、世界経済、コンテナリゼーションの考察 / コンテナ市況レポート 2019年1月

  • by 中尾 治美

              今年も雲一つない晴天に恵まれた元日。肌を刺すような冷たさの早朝、二礼後、二拍手の柏手が、神社の澄み切った空気を揺るがす。例年、近所の神社に参拝する。寒さにかじかむ両手に感じる寒風のもとでの新年の決意は、心新たに一層身が引き締まるものを感じる。今年3月でEFインターナショナル創設10年目を迎える。瞬く間に過ぎた9年であった。やっと会社らしい会社になってきたと言うのが実感である。出会う人に恵まれ、働く環境に支えられ、誰かに我背中を押されてここまで来たと言うのが実感である。
              一方、今の自分自身のことを考えると、過去の失敗・成功の体験は決して無駄になっていないと思う。小さいころから漠然と海外への憧れがあった。しかし語学に向いていない自分を認識しながらも、何故だか英語に執着していた。何度も諦めた自分がいた。結局、英語を使う職業を選んでいた。周りの人が見れば如何に自分自身が楽天的、あるいは能天気な人間に聞こえるかもしれない。しかし、動機がどうであろうとも自分で選んだ道を、その時必要だと考えることを、下手は下手なりに一生懸命やってきた人生が今の自分を造っていることに感謝したい。

              正月3日円の相場は1ドル=104円を付けた。2018年3月以来の円高である。世界的株安で安全通貨の円に資金が向かっている。円は全世界の通貨に対して上がっている。今年の1月で日本の景気拡張は74ヶ月に入り、戦後最長を記録する。 2017年度の財務省法人統計の全産業(金融業・保険業を除く)の内部留保は前年比9.9%増、過去最高の446兆円を記録している。全産業が景気循環のサイクルを信じ、勇気をもって、その何割かを給与として社員に毎年、還元したとしたら、日本の景気はさらに良くなると思う。勿論、全国430万社のうちほとんどの内部留保は0.3%の比率を占める大企業が確保しているものと考える。一方、全産業の従業者数は5459万人、そのうち非正規従業員は全体の37.3%を占める。2002年の29.4%から7.9%も増えている。正規従業員並みに非正規従業員の給与をあげれば日本の景気は良くなる。国内消費が増え、企業が儲かればその儲けは給与として還元されるなら従業員は一生懸命に働くことは間違いない。さらに会社の実績が良くなる。税収も上がる。
              日本の場合は出来るだけ円高の方が良い。円高で輸入品が安くなり、消費も伸びる。緩やかなインフレで企業も成長プラススパイラルを享受できる。労働者不足も解消できる。多く海外労働者が日本で働くことを希望する。円高は日本の力である。輸出企業にとって輸出は難しくなるが、高くても海外で買ってもらえる高品質の物を造れば良い。その意味で革新的挑戦が必要である。また、海外へもっと進出して海外投資で稼ぐことを追求したら良い。

              米国の2018年12月非農業部門雇用者数は、前月に比べ312,000人増加、失業率は3.9%。米国の事情を考えるとこれは完全雇用に近い。2010年10月から2018年12月まで99ヶ月連続の増加となる。平均時給も、前年同月比3.2%増している。米国の個人消費の底堅さがある。米中貿易戦争の中、米国は中国からの輸入品2,000億ドルにたいする25%への関税引き上げを3月末まで延期した。グローバリゼイションに組み込まれた世界の中で、何処の国も閉鎖経済、自国優先経済は通用しない。米中貿易戦争はお互いの国・国民の利益を考えると益するところが無い。早急に両国が解決策を見つける動きになると考える。その点、楽観視している。中国の凄い処は常に目が海外に向けられている。その行動の素早さには、目を見張るものがある。また良いと考えるものは直ぐに行動に移す姿勢に感服する。
              世界の経済成長はどんな状況に在ろうとも誰にも止められない。国の成長は、人間の営みの中で必要である。経済成長と正面から向き合い自国の繁栄のために、また過去の失敗に学び、他国と如何に協調していくか知恵を絞る必要がある。

 

経済協力開発機構(OECD)全世界の実質経済成長率見通し

2019年

2020年

日本

0.9%

0.7%

米国

2.7%

2.1%

ユーロ圏

1.8%

1.6%

中国

6.3%

6.0%

世界

3.5%

3.5%

 

              昨年末のコンテナ新造価格は、$1750 per 20f。中国工場の新造コンテナ総数は787,000 TEU (Dry: 752,000 TEU+ Reefer :35,000 TEU)。新造コンテナ価格は、1年前の2017年12月の$2350 per 20fから$600 per 20f、約26%も下がっている。中国コンテナメーカーでは、1月から生産調整、コンテナ生産停止を行うと聞いている。
              しかし、コンテナリゼイションのうねりは、1960年代終わりに導入されて以来、流通革命を起こし、その動きは止まるところを知らない。全世界で使用されているコンテナ数は、4000万TEUを超えていると言われている。まだまだ全世界のあらゆるところにコンテナは入っていくと考える。船会社とリース会社が半々所有していると言われているが、これからは船会社の所有数は少なくなり、リース会社の所有数が増えていくと考えられる。
              その中でEFインターナショナルが世界コンテナ業界に関わることが出来ることを誇りに思う。EFIは次の節目の年、2025年までに、更に大きく飛躍することを10年目の今年に誓いたい。全社員一丸となって目的貫徹のために頑張りたい。

 

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