コンテナ市況レポート 2011年10月

  • by 中尾 治美

中国の大型連休、国慶節(建国記念日)が10月1日(土)から7日(金)で終わった。この季節は国民大移動の時期である。中国交通部の発表によると、この1週間の全国道路旅客輸送数は、5億2000万人との報告が有る。1日に7438万人の人が移動したことになる。 実に13億人の人口の内40%の人がこの期間に故郷に帰ったり、また旅行を楽しんでいる。その間の全国小売・飲食業界の販売総額は約6962億元が使われたのである。これは2010年の国慶節の同時期の支出に比べ17.5%増加したとのことである。また、6962億元は8兆3544億円(1元=¥12)となる。日本の2011年国家予算の92兆4116億円の9%に当たる金額がこの1週間に使用されたことになる。この巨大な消費の大きさは無視できない。

その一方、中国政府は不動産バブルとインフレ問題を抱えている。消費者物価の上昇を抑制するために金融引き締め政策を取っているため、物価上昇と預金金利の差がマイナス金利を生じ、社会不安の恐れを払しょくできない。景気後退はどうしても避けなければならない理由がそこになる。リーマンショク後に中国政府が取った4兆元(48兆円)のような経済浮揚の政策は画期的であったが、それが国内にインフレ要因や不動産バブルを生じた。1980年代に起った2桁のインフレを預金金利の引き上げと物価統制で切り抜けた経験がある。しかしその1980年代とGDP世界第2位の現在とは経済規模が違いすぎるが、経済が減速即したと言っても、8%台を維持している国である。中国政府にできない物は無いと信じたい。

欧州ではギリシャは自国での自力更生は出来ないのが現状である。自国の国債を発行してもどこも引き受けてくれないためである。また、EUはギリシャをデフォルトさせることはできない。ギリシャ国債を大量に保有していたフランス・ベルギー系大手銀行デクシアを国有化し、同時に欧州金融安定基金(EFSF)を通じて欧州銀行の資本増強で欧州債務危機の回避を図ろうとしている。時間はかかるがEUは何とか解決すると信じている。

米国は今回の景気対策, 3000億ドルで何処まで雇用を増やし、9%を超える失業率を下げ経済成長率を高められるかにかかっている。米国の雇用者数は前月比12カ月連続で増加している。本格的な経済復興には少々時間がかかるであろうが、先進国の中でも高い米国の出生率、2.01%(2009年)は個人消費力回復にとつて頼もしい限りである。

このような世界的な経済の混迷期にあって世界に対して日本が貢献できることは大いにあると考える。それはとにかく日本のがんじがらめの規制を撤廃することである。TPPに加入し、自国の農業改革を通して世界の経済発展に寄与することができる。公務員改革を実行し模範を示すことで世界を勇気付けることは間違いない。円高を利用し世界に進出し世界の雇用を拡大し、世界の経済を活性化しよう。

中国のコンテナメーカーの工場在庫は50万teu前後と言われている。コンテナ価格は$2400 per 20fをすでに下回っているようである。それは船会社、リース会社とも発注を控えているのと世界の景気減速、中国国内での金融引き締めの需要減の影響を受けて中国の鋼材価格が急速に下がってきている影響を受けているようである。

船会社も下げ止まらない運賃に悩んでいるが、この時期だからこそ、もっと積極的に手を打つべきではないであろうか?世界で一番大きな船会社であるマースクラインが10月より新しいサービスを開始する。それは船積みの日から引き渡しの日までを保証し、それに遅れた場合は、送れた日数に応じて払い戻しをするものである。これも画期的な事である。ソフトで挑戦するか、ハードで挑戦するかは別にしてまだまだ競争力を付けるために打つ手は有るように思う。その姿勢が荷主の心を捉えると確信する。

最後に福島原子力発電所の放射能汚染被害を受けた地域の土地の表面をはぎ取り放射能汚染土の除去を進めている。その剥ぎ取った土地の保管管理をしなければならない。東北の福島、宮城、岩手及び関東の一部地域での下水処理の汚泥やゴミの焼却灰から基準値以上のセシウムが出てその保管をどうするか困っている。さらに、今も岩手、宮城、福島の3県合計、およそ2270万トンもの瓦礫処理が残る。その瓦礫保管管理、運搬も問題になるであろう。其の時にこのISOの中古コンテナを大いに活用してもらいたい。その利点は20f,40f, 40f HQの3つの規格がありコンテナ港を見ていただければお分かり頂けると思うが、扱いやすいし、狭い場所に3段4段重ねて保管ができる。コンテナの自重を含めた最大積載量は20f,40f, 40f HQとも30,480kgである。それぞれの平均自重を引くと最大詰める重さは、20fで28トン、40fで27トン、40fHQで26トンとなる。重さだけ見ると20fが使い勝手が有るが、40f,と40fHQはかさ張る瓦礫の保管には最適であると思う。積載容量は20fが36 cubic meter, 40fは倍の74 cubic meterである。瓦礫の処理にはOpen Top Containerが最適である。屋根が無いため積み込みは楽である。運搬するのにも専用シャシーを使えば移動が簡単でトラックの頭は切り離して運用できるためコスト的にも有効である。コンテナを使用して被災された人たちの住宅に改造コンテナを2段3段重ねて土地の有効利用を始めているが、規制緩和を推し進めれば丈夫で安価なISOコンテナの有効な利用がいろいろなところでできると考えている。

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