Intermodal Asia 2015 今年のトレンドは? |コンテナ市況レポート|2015年4月号

  • by 中尾 治美

3月22日(日)に羽田から北京に飛んでその日のうちに天津に車で向かった。20年以上前に上海空港から北京空港に降り立ち車で天津に向かったのを思い出す。ここが中国の首都の北京空港か?と思うような空港で、ローカル飛行場の印象であった。その時、上海空港から乗った乗客のほとんどが外国人で、北京空港に着陸した時、乗客全員が大喝采で無事の喜びを分かち合っていたのを思い出す。それほど当時のビジネスマンは中国で国内線を利用するのに神経を使っていたのである。それが今は、年間 8300万人の旅客数を誇る世界第2位、中国で第1位の飛行場に変貌していた。ターミナル3まであり、その大きさは半端でない。この20年の歳月を感じざるを得なかった。中国は過去の20年でインフラを大きく変えた。10年、“中国は30年遅れている”と残念がっていた中国駐在の日本の地方公務員の方の言葉を思い出す。今、中国の人々のマナーの悪さが云々されるが、日本も同じような時代があった。それは時代とともに変わるし、時間の問題であると確信する。あと20年、いや10年で見違えるほど変わることだろう。 

天津にあるMCC Tank工場で発注タンクの検収と見学をさせてもらった。200,000㎡の敷地に80,000㎡の広さの工場を有し、年間5,000本を製造できる3つの生産ラインを持っている。目を見張るほどの近代的流れ作業で、外注購入部品は最小限度に抑え、ほとんどの部品をグループ企業で賄っている。その結果、各部品の信頼性及びタンク価格はかなり競争力がある。その上、タンクコンテナの命である溶接には非常に気を使っていることを強調されていた。2台ほど入る広さのX線検査設備は厚いコンクリ-トで覆われ一台一台時間をかけてチェックしていた。その記録もちゃんと保管しているとのことで品質にこだわる会社の姿勢がうかがえ心強く思った。 

3月24日(火)から26日(木)まで上海の浦東地区の上海博覧会場で開かれたIntermodal Asiaに参加した。会場は相変わらず大勢の人で賑わっていた。但し、残念ながら日本人の姿は少ない。中国で開かれているので中国の人が多いのは当たり前であるが、日本でコンテナ関連の仕事をしている人は多いにもかかわらずこうしたIntermodal Asiaにわざわざ出かけることに尻が重いように感じる。Boothを出している会社はコンテナリース会社、コンテナメーカー(特殊、オフショアコンテナメーカーを含む)、それに関連する部品メーカー、部品供給会社、ペイント会社、Reefer Unit メーカー、コンテナシールメーカー、新造、中古コンテナを扱うトレイダー、コンテナ床材メーカー、ロジスティックス会社、コンサルティング会社と多岐にわたる。欧州からもかなりの会社が自社製品の宣伝をしている。日本のマーケットは彼らにとって魅力はあるが閉鎖的でなかなか取っ付きづらいものに映るようである。日本からの出店会社が少ないのと、日本人のプレゼンスが目立たないのがそれに拍車をかけている。そうした中、日本人であるということで興味を持たれるのと仕事のパートナーになってくれとの話をいただくことも多い。

Intermodal Showは年2回、春にアジアと秋に欧州で開催される。COA(Container Owners Association)はIntermodalのサポーター組織で、Intermodal Showが行われる1日前にCOAの定例会議が開かれる。COA会議にはメンバーである世界の主要船会社の人が参加する。COAはIntermodal Asiaで独自のBoothを持ちいろいろな人が交流できる場を提供している。そこに多くの主要船会社の方が立ち寄られる。そのような貴重な機会を無駄にしないようにBoothを出している企業の方が船会社の人との接触を積極的に図る姿が多くみられる。船会社の人にとってもコンテナ業界のいろいろな最新情報を得る良い機会となっている。そういう点でCOA及びIntermodal Showはコンテナ業界の企業、人々にとってなくてはならない組織になってきていると思う。あるいはそういう業界のニーズが2004年にCOAが出来た理由に違いない。

現在、新造価格は$1,850per20f、中国の新造コンテナの全在庫数は954,000teu。4月1日に、OOCLが21,100teuの世界最大コンテナ船を6隻発注したとのニュースが飛び込んできた。MOLの20,100teuを上回るサイズである。18,000teuサイズを超えるメガコンテナ船の数は現在、78隻となる。これからさらに増えることが予想される。コンテナ船の大型化による成功例はマースクラインが立証済みである。その意味でアライアンスは重要である。カスケイド現象による北米航路、アジア航路、南米航路の大型船化の対応が求められる。コンテナの需要もそれにつれて増えていく。コンテナリース会社所有のコンテナが船会社を上回り50%をこえたとShipping GuideがDynamarを引用している。2014年末のコンテナリース会社のコンテナ保有数は1,820万teu。コンテナリース会社の重要性が増している。但し、コンテナリース会社は船会社あってのリース会社である。そのために船会社のために如何に役立つことができるか考えていくことはリース会社が生き残っていくためにも必要であろう。


4大コンテナリース会社別所有本数 (単位:万teu)

Textainer          320
Triton                 240
TAL                     230
SeaCo                 220


 余談になるが、弊社2名のstaffにIntermodalを経験してもらうために参加してもらった。弊社が代理店をしているKukdong MESやUESの出店Boothを訪ね、Thermo KingのDinner Partyに参加し、翌日はThermo Kingの上海工場に1日の日程で参加してもらった。毎日、相手の顔を見ないemailの商売で、いざ会ってみて当方の意向を伝えると期待以上にこちらの要求を受け入れてくれた。メールで“No”であったものが“Yes”に変わる体験をし、今でも、いや今の時代だからこそ、如何に人と会うことが大切か、外国人であればなおのことであり、良い経験になったと考えている。

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