自然災害におけるコンテナ活用|米中貿易戦争によるコンテナ市況への影響 / コンテナ市況レポート 2018年9月

  • by 中尾 治美

  6日午前3時過ぎ、北海道南西部を震度7(M6.7)の地震が起こった。札幌、苫小牧は震度5強。2011年3月11日の三陸沖地震(震度7、M9.0)時の横浜の震度が5強であった。その揺れを経験しているだけに震度5強の札幌、苫小牧の地震の大きさがよくわかる。札幌、苫小牧、釧路の取引先の方が心配になった。無事であるようにと願った。北海道全域で停電が起こり、幸い翌日には道内5割の停電が解消し、千歳空港も再開した。一方、TV、新聞で何度も報道されるいくつも土砂崩れ。台風21号が前日までに北海道にもたらした大量の雨が各地で土砂崩れを起こす被害を拡大させたことは間違いない。
  その台風21号は関西に大きな被害をもたらした。1994年9月開港した大阪湾泉州沖5kmの人工島にできた関西空港が大規模に冠水してしまった。その上、タンカーが飛行場を結ぶ連絡橋に衝突し、使用できなくなり、空港内に一時、3000人が取り残された。一日平均、78,000人余りが利用している関空である。4日後には国際線の運航も一部、再開されたが、今も混乱は続いている。また台風は神戸の六甲コンテナターミナルを高潮時、1mの高さまで水没させ、一部ガントリークレーンを倒壊、コンテナヤードの2段、3段積みのコンテナの山を崩し、コンテナを海上へ流出させる被害をもたらした。海洋国日本の玄関である主要港のインフラがいかに脆いか今回の台風が改めて我々に認識させる結果となってしまった。
  台風の被害でひときわ目を引いたのが、六甲アイランドに置いてあったイタリアの高級車、フェラーリ51台が海水に浸かり全損となったとのこと。被害総額は数十億円に上るとのこと。ここで提案であるが、フェラーリをOne Side Open コンテナあるいは両Side Openコンテナの中に入れて保管してはどうだろうか?フェラーリを入れたコンテナを2段以上の高さに積み上げておけば今回の海水に浸かることも防げられたはずである。それこそ、フェラーリを入れたコンテナの移動はフォークリフトで簡単にできる。平置きで人が移動のために乗りこんで、動かす事はかなりの危険を伴うはずである。1台80万円台(日本港渡し)の20fコンテナが地震、水災害から、1台数千万円のフェラーリを守ってくれる。安いものである。

  Shipping Guideが中国調査機関の米中貿易戦争についての調査を引用している記事がある。“2017年の中国沿海港における対米航路のコンテナ取扱量は2161万TEUで、外航航路全体の18.6%を占める。うち米中貿易摩擦で約13%にあたる300万TEU、外航航路のコンテナ取扱量の3%が影響を受ける可能性がある。”これはこれまでの輸出・輸入貨物の流れが変わると言う事であるから、コンテナ自体の動きはもっと多く、対中、対米を絡めたいろいろな国とのコンテナの複雑な動きが出てくることが予想される。であるから船会社の営業陣にとっては面白い展開になってくると思う。引き続き注目していくことが必要である。
  米労働省7日の発表によると、8月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数、201,000人増。時間当たり平均賃金は前年比2.9%上昇で、2009年6月以来の高い伸びを記録した。一方、8月のアジア主要10カ国・地域発米国向けコンテナ輸送実績は、前年同月比0.6%増の1,456,040 TEU, 18カ月連続前年同月を上回った。1~8月累計は6.1%増の10,794,978 TEUで過去最高を記録した。米中貿易戦争の影響はまだ出てきていないのかそれとも国に政策あれば、民に対策ありの中国の格言の通り、民はしたたかに活動しているのが現実ではないのか?
  新造コンテナ価格は、$2,200 per 20f, 新造コンテナの工場在庫は、8月末でDryが830,000 TEU, Reefer Containerが40,000 TEU, 合計870,000 TEUである。

  9月3日(月)午後6時から開催されたOcean Network Express (ONE)の開業記念Partyにお招きいただいた。ONEは開業前(昨年10月)に長期リースを締結した。その最初の10,000本の40fHCを弊社が代理店をするUESが獲得した。そのVideoの中でMagenta色のONE本船から、Magenta色の40fHCコンテナのONEU000001がおろされるのを見て感無量であった。また多くの人からこれは“UESのコンテナですね。”、“この40fHCはUESが出した長期リースのコンテナですか?”と声を掛けられた。
  ONE Japanの木戸社長が、3社寄り合い所帯からONEという会社を全員で意識できる会社になってきたのでこれから期待してほしいと述べられた。結局、組織は人であり、人が一丸とならなければ、何も成す事はできない。
  多くの若いONEスタッフの方がコンパニオンと同じようにお客様に飲み物をかいがいしく運んでいた。その中の一人から飲み物をもらった時に、小生が毎月発信しているコンテナ市況レポートを読んでいますと声をかけられた時、ONEにもこんな人がいるのかと感激した。頼もしい限りである。

 

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