日本存続の危機意識 / 米中貿易摩擦の影響 / ONEの輸送実績と展望 | コンテナ市況レポート 2019年5月

  5月1日より年号が平成から令和に代わった。日本の歴史の中で天皇家の歴史は2500年以上、現天皇で126代によって受け継がれている。我々が知らないところで日本という国が歴史を刻んでいることを知り、まさにこれが日本国を意識させるものである。私個人もここに存在すると言う事は、私自身のDNAは遥か人類が生まれてから脈々と私まで、その生命遺伝子が受け継がれてきたと考えると人間に対して深い尊厳を感じる。それも日本人として。
  日本人が日本と言う国を意識しないと、日本という国は存在しなくなる。一方、世界にはいろいろな国がある。有史以来、多数の民族が生まれては消えて行った歴史は自然なのか?国として一時期存在したとしても歴史から消えた国は多い。日本も100年、200年後、アジアに小さな日本という国があったという昔ばなしの国になりはしないか?
  “昔々、260年間の江戸時代の鎖国から目覚め、欧米に植民地化されず、明治維新改革で、富国産業を興し、アジア初めて独立国として対等に欧米列国と伍した国があった。しかし高慢な自意識でアジアに戦禍をもたらした。しかし、敗戦後、目覚ましい復興を成し遂げ、世界で米国に次ぐ2番目に大きなGDP国となるも、バブルに浮かれ徐々に世界の歴史から消えて行った国がある。結果として、アジアを欧米の植民地化から救い、独立に導いた日本であったが、その過去の経済大国の成功体験から抜け出せなかった日本人はやがて働く意欲をなくし、日本人としての意識も持てなくなった。そして歴史から消えて行った国、日本があったとか?”

  米国経済はまだ健在だ。4月の雇用統計の失業率は3.6%、49年4ヵ月ぶりの低水準。非農業部門の就業者数は前月比263,000人増。平均時給は27.77ドル、前年同月比3.2%増。9ヵ月連続の3%台の伸び率である。米国政府は、5月10日より2000億ドル分の中国製品に対して制裁関税を10%から25%に引き上げた。また、中国政府も同日、報復措置をとることを表明した。但し、米国政府は、中国政府が報復に出るなら、新たな中国輸入製品、3250億ドルに対して制裁対象に加えるとしている。米中貿易摩擦は長期戦の様相を呈してきた。 
  Shipping Guideが日本海事センターの次の統計を引用している。3月のアジア18ケ国・地域からの米国向け往航コンテナ荷動きは、0.9%増、1,218,834 TEU, 2ヶ月振りのプラス。国別に見ると、中国が前年同月比10.8%減、643,476 TEU。3ケ月連続のマイナス。韓国は14.7%増、84,449 TEU。台湾は20.1%増、56,438 TEU。ASEANは全ての国でプラスの、30.8%増、261,429 TEU。北米向け荷動きが、中国からアジアに移動している傾向が見て取れる。一方、日本は4.5%減、59,130 TEU。6ヶ月振りのマイナスとなった。
  米国産大豆をアジア向けにコンテナ輸送の需要が高まっている。中国向けに高い関税がかかることも注目されている原因かもしれない。2018年から2019年穀物年度は、前年比18%増の330万トンになると予想している。大豆のコンテナ輸送化は、ばら積み船に対応できない少量購入で在庫を最小限に抑えることが出来る。品質の維持、トランジットタイムを短縮できる。一方、米国からアジアにコンテナの回送ができ、大豆輸出業者に対して輸送費用の減少をもたらすメリットがある。今後更にコンテナ化が進むことが考えられる。
  2020年からのSOxの規制に対してスクラバー搭載船が、2018年の1700隻から3229隻へ増え、過去6ケ月で倍増。その内2229隻が既存船、857隻が新造船であった。スクラバーは、従来の廉価な高硫黄重油を使用でき、低硫黄燃料油需要、価格の安定化につながる一つの方法と考えられている。一方、スクラバー取り付けの影響で、コンテナ待機船腹量も減少している。
  4月のサービス・コントラクト(SC)の交渉は、欧州航路は船腹量が伸びたことで前年並みとなった。北米航路は例年夏場に向けて荷動きが上向く。今年も米国の好調な消費が、2009年7月から始まった景気拡大を支え、米国景気は戦後最長を更新する勢いである。そして欧州航路と違い投入船腹量が前年並みであったことが、北米航路のSC交渉は、2018年度比で大幅な上昇となった。

  Ocean Network Express (ONE)の2018年度(18年4月~19年3月)輸送実績が発表になった。太平洋航路往復合計、3,805,000 TEU。消席率は、往航87%、腹航37%。アジア・欧州航路往復合計、2,778,000 TEU。消席率は、往航88%、復航55%。両航路合計は、6,583,000 TEUとなった。最大月の消席率は、太平洋航路で2018年10月に97%、欧州航路で2019年1月に99%を達成した。2018年度売上高、10.88 billionドル。当期損益585 millionドルの赤字。2019年度は売上高12.723 billionドル。当期利益85 millionドルの黒字を予想している。事業開始時の混乱からの回復は目覚ましい。一方、あらゆる面で合併前3社合計の水準を超え、早く邦船3社の統一コンテナ会社、ONEの独自性、独創性を発揮してほしいと願っている。

  2019年4月末の新造コンテナ価格、$1,900 per 20f。新造コンテナ工場在庫、902,000 TEU (Dry: 863,000 TEU, Reefer: 39,000 TEU)。

  世界は何が起ころうと我々に関係なく動いている。しかしその動きは我々と全く関係ないという事ではない。その動きを知らないといつも後追いでしかない。であるから、その動きを素早く察知し、その動きとできるだけ同じ波動で行動をすることは大切である。その為にも、引き続き小さな日本から世界に向けて発信を続けていきたい。