ハンブルグIntermordal / EUの経済予測 / 世界経済減速によるコンテナ業界への影響 / 港湾・海運業界への女性進出 | コンテナ市況レポート2019年11月

  • by 中尾 治美

 今年のIntermodal Show はHamburgで11月5日から7日まで開かれた。成田発、コペンハーゲン乗り継ぎHamburg到着。スカンジナビア航空のエアバス350の2/4/2並びの座席は問題無いが、椅子サイズは窮屈であった。前後の幅もかなり狭く感じた。飛行時間は約11時間。食事は2回。行きも帰りも満席である。キャビンアテンダントはかなり経験豊かな女性が活躍されていた。欧州系の飛行機会社に見られる傾向である。食事時外の飲み物は有料。酒を飲まない小生としては、いつも不思議に思うのは、食事時、缶ビール、瓶詰のワインが無料で提供されるのは何か腑に落ちない。飛行機会社にとって、アテンダントが関わる時間、エネルギーはかなりの物である。その数、積み込む重量を考えたらかなりのコスト高だと思う。それこそアルコ―ル飲料は全て有料の方が飛行機会社にとって収支を大いに改善するのではないだろうか?酒飲みでない人間の独り言として聞いてもらいたい。
 我社は小生入れて7名がIntermodalに参加した。参加人員の多さに会う人から驚きの声を聴く。小生一人あるいは2~3名で良いのかもしれないが、小生としては我々が仕事として扱っているコンテナの国際的な催し、Intermodalに出来るだけ多くの社員に参加してもらう事は仕事を理解してもらう早道であると考える。それも毛色の違うアジア、欧州のIntermodal両方に参加してもらいたいと考えている。小生が何百回と言葉で説明しても我々の仕事の意義を理解してもらう事は難しい。百聞は一見に如かずで、展示場の雰囲気、我々の商売の相手、その人柄、会話の内容、新しい商売相手との出会い等々。社員たちの帰国してからの変化、活躍を見ればその重要性を痛感する。昨年のRotterdam Intermodalは5名に参加してもらった。今年の上海Intermodalは6名であった。

 

 

 米中貿易戦争の影響で欧州経済も影響を否定できない。欧州連合(EU)が11月7日に経済成長を下方修正した。

 

ユーロ圏の経済予測 (%)

 

2019

2020

2021

ユーロ圏

1.1 (1.2)

1.2 (1.4)

1.2

ドイツ

0.4 (0.5)

1.0 (1.4)

1.0

フランス

1.3 (1.3)

1.3 (1.4)

1.2

イタリア

0.1 (0.1)

0.4 (0.7)

0.7

注:1)実質成長率予測 2)カッコ内数字は7月時点の予測

 

 米労働省が1日発表した雇用統計は非農業部門の就業者数が前月比128,000人増。失業率3.6%(前月比0.1%減)。平均時給は28.18ドル(前月比3.0%増)で伸び率は15ヶ月連続で3%台を維持、雇用の底堅さを示している。
 一方、米国側は否定したが、中国は7日米中が段階的に関税撤廃に合意したと発表した。それを受けて元高、1ドル=6元台を回復した。金余りのご時世又めぼしい投資機会が減った現状余剰資金は株式に動き出した。それも“GAFA”に代表されるIT株。GAFA4社2019年の純利益は合計1,171億ドル(約13兆円)である。米中戦争が沈静化すると2018年までの累計で10兆ドル(1,100兆円)の世界の企業が内部留保でため込んだ資金及び家計の余剰資金が株に向かう構図である。
 国際通貨基金(IMF)によると、世界の公的部門と民間部門の債務が合計188兆ドル(約2京円)と過去最大となったと7日発表した。世界の国内総生産(GDP)の約2.3倍にあたる。金利低下でお金がかりやすくなり債務拡大の現状である。

 中国の10月末新造価格は$1,680 per 20f, 先月より$50 per 20f、3%の値上がりである。新造コンテナの工場残は1,017,595 TEU (Dry: 957,265 TEU, Reefer: 60,330 TEU)。全体で2.2%減、Dry1.6減、Reefer10%減である。

 Shipping GuideのDrewry Maritime Researchによると世界の経済成長鈍化のために2019年の世界の港湾のコンテナ取扱量を3%から2.6%に下方修正。中国のコンテナデポに100万TEUのコンテナが滞留している。新造価格は7~9月期でDryコンテナは5.5%下落。Reeferコンテナは3%の下落にとどまり安定している。その結果、コンテナリース料もDryで前年同月比26%下落。コンテナメーカーは新造コンテナの余剰と価格下落で今年末までのコンテナ生産量を約36%減らすとみている。

 中国での家畜伝染病、“アフリカ豚コレラ”の発生で豚の飼育頭数が大幅に減少、そのために米国産などの豚肉の輸入が急増、Reeferコンテナの供給が追い付かず、船会社、リース会社も新造Reeferコンテナの発注を増やしている。

 Ocean Network Express (ONE)の業績が順調である。2019年度上半期(4~9月)決算は、税引き後126 million dollarの黒字。下期については世界的な景気減速懸念し、下期通期で60 million dollarの黒字と下方修正した。サービス体制、貨物契約の見直し、コスト削減効果の上積みで業績改善が進んでいる。

 横浜川崎国際港湾株式会社の諸岡社長の紹介で横浜港開港160周年を記念して10月21日から25日まで開催されたYokohama Maritime Forum 2019 (YMF)に参加した。講演、パネルディスカッションの中で興味を引いたものは“港湾・海運業界における女性進出の推進”のパネルディスカッションの数名の外人女性パネリストと二人の日本人女性、国土交通省の吉田晶子氏、横浜川崎国際港湾会社執行役員の熊桜氏の活躍ぶりに意を強くした。日本女性も捨てたものではない。このテーマにもあるように日本女性の社会進出はこれからの日本を大きく変える原動力になると確信する。また正に港湾・海運界で女性の活躍が出来るなら、日本の港湾・海運界の将来は明るくなるとこと間違いなしである。

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