新型コロナウイルス感染症の問題点と対策 | コンテナ市況レポート 2020年3月

              新型コロナウイルス感染が国内、国外で止まらない。2019年12月に中国、武漢で患者が報告されてから3ヶ月で全世界に広まった。3月7日現在で全世界の累計感染者数は10万人を超えた。死亡者数は3,559名。8日現在の日本の感染者数は1,157名(696名のクルーズ船を含む)。発生源の中国はさておき、韓国、イラン、イタリアで感染者の数が5,000~7,000人と急増している。日本に来るインバウンドの三分の一が中国人、約1,000万人である。そして中国人海外旅行者数が年間、約1億5,000万人に及び、如何に多くの中国の人達が世界中を飛び回っているかを想像するとこの世界中の感染力の速さも頷ける。

              国連世界観光機関(UNWTO)によると、2018年の国際観光客数(1泊以上)は14億人を超えた。国際航空運送協会(IATA)が3月5日、新型コロナウイルス感染減収見通しを発表した。2003年のSARSと同程度、293億ドル減収と見ていたが、最悪1,130億ドル減収と見る。一方、物の動きについては、サプライチェーンの寸断。工場稼働制限・閉鎖等被害甚大である。米国の全米港湾協会は、今年第1四半期の全米コンテナ取扱量が20%減になると予測している。それ以上に、世界的株価低下、プロスポーツ・芸能イベントの中止・延期、記念式典の中止・延期、外食の控え等々。世界経済活動に与える影響は大きい。そして世界的経済の冷え込みによる原油急落。挙げたら切りがない。またその損失も計り知れないものがある。

              米国労働省が6日発表した2月雇用統計は、非農業部門の就業者数が前月比27万3千人増えた。失業率、3.5%で、前月から0.1%改善し、依然として50年ぶりの低水準を維持している。全体の平均時給は前年同月比で、3.0%増え、19ヶ月連続で3%台を維持した。但し、今後、米国での新コロナウイルス感染拡大の影響が出てくることが懸念されている。3月3日にFRBは緊急利下げ、0.5 %を行ったが、景気浮揚のために3月中に追加利下げに踏み切ると見られている。

              各船会社は2月にアジア/北米・欧州・地中海向けで105便を運休させた。その運休で約10億ドルの減収となる。一方、3月からの中国の工場再開を見越して、欧州、米国の余剰在庫を中国への空回送に力を入れている。その結果、欧州からのスペース逼迫のため運賃が急騰している。

              中国の新造コンテナ価格は、$2,050 per 20f。1月から$200、11%の値上がりである。新造コンテナの工場在庫残は、898,448TEU。(Dry: 853,270TEU, Reefer: 45,178TEU)。

グローバル化が一昔前に比べものにならないくらい急速に進んでいる現状において、このような感染症の拡大を防ぐ一番の方法は中国が採った方法である。発生源を封鎖し人の移動を禁じた。それから米国が採った方法が有効である。躊躇なく過去2週間の中国渡航歴の人の受け入れを禁じたことである。中国、米国もSARS・MERSで学んでいたということが言える。しかしそれは両国ともトップリーダーの指導力が発揮できる立場にあるからである。日本の場合は新型コロナウイルス対策が後手に回ったような印象を受けるが、これが現状の政治体制では取れる精一杯の結果であったであろう。隣国との人的交流にたいする配慮及び国際間運行クルーズ船の対応に対しての強制対策については現行法では如何ともし難いと考える。

              その打開策として国際保健機関(WHO)が国際的感染症ウイルスのパンデミック拡大防止に対し、SARS・MERSと今回の新コロナウイルス感染を良い機会にして、中立的、強制力があり、なおかつ世界的に前もって理解・同意を得られた緊急時対策マニュアルを作成し、もっと早い時期に、各国がそれのマニュアルに基づき国内に入ってくることを防ぐことができ、あるいは国外に広がることを避ける政策を、可及的速やかに隣国と協力して進めることができるものにしておく必要がある。日本がそうした手段を取れたのであれば今回の新コロナウイルスは、もっと早い時期に水際で国内感染をくい止めることができたと考える。国内も目先の利益ロスを気にすることなく、大局的に大きな利益ロスを防ぐことができると考える。またその方法が全てにおいて回復は早いはずである。

そのことを考えると国家レベルであらゆる危機管理マニュアルを作成しておくことは必要である。現在我々が消防法に基づき年に1回、事務所ビルで消防訓練を行なっている。常に危機意識を持ち、絶えず具体的に事例を上げて、起こった場合の対策を考えておくことは必要である。もちろんその危機管理意識は国、会社だけでなく個人的にも役に立つ。