世界経済の成長見通しと各国のコロナ対策 / アライアンス・船会社の施策効果 / 中国コンテナ工場操業停止 | コンテナ市況レポート 2020年7月

              米国の新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者が7月8日現在、3百万人に迫る勢いである。ダントツの世界第一である。第二番目に感染者が多い国はブラジルの1.7百万人弱、第三番目がインド70万人超え、ロシア70万人弱と続く。世界の感染者数は12百万人を超える勢いである。感染者の増加の勢いがまだ止まらない。第二波感染前にその勢いを止める必要が有る。
              IMFは4月時点の世界経済成長見通しを改定した。世界の経済損失は2年間で12.5兆ドル(約1300兆円)と試算した。世界のこれからの感染次第では世界の経済成長はさらに下方修正が行われることになる。

 

IMF世界経済成長見通し(%)

 

2020年

2021年

全世界

-4.9

5.4

米国

-8.0

4.5

ユーロ圏

-10.2

6.0

英国

-10.2

6.3

中国

1.0

8.2

ブラジル

-9.1

3.6

日本

-5.8

2.4

 

              2020年の先進国経済は軒並み歴史的な落ち込み。リーマン・ショック後、2009年の5.4%を超す景気悪化。新興国、発展途上国は3.0%減で、統計を取り始めた1980年以降で初めてのマイナス成長となった。新興国、発展途上国はドル不足問題に直面し、通貨安、対外債務の負担増の中でコロナウイルス感染拡大問題に直面している。
              米労働省の6月の雇用統計は失業率11.1%、5月の13.3%から改善された。米国景気は4月に底入れしたものと考えられる。米商務省が発表下5月の小売売上高は前月比17.7%増加。4ヶ月ぶりの増加で、しかも1992年以来の過去最大の上げ幅となった。一方、欧州連合(EU)統計局が発表した5月のユーロ圏の失業率は7.4%、2ヶ月連続で悪化している。しかし市場予測の7.7%よりは改善した。
              国連貿易開発会議(UNCTAD)は新型コロナウイルスの影響で7月2日までに1兆2000億ドル(約129兆円)の収入を失うと報じている。これは世界の国内総生産(GDP)の1.5%に相当する。もしこの状況が更に8ヶ月間続けば、その損失は2兆2000億ドル、12ヶ月続けば、3兆3000億ドルに拡大すると予測している。
              国連世界観光機関(UNWTO)は12月まで渡航禁止措置などが続いた場合、2020年の世界観光客は前年比最大約8割減になると予測。1億2千万人の雇用が危機にさらされるとしている。各国のコロナ対策による外出制限、入国制限で世界の観光業は壊滅的状況にある。

              各国政府は、経済活動の損失を最小限に維持するために、国民に、人と人との接触を避け、外出を控えるように要請した。それを徹底させるために、法規制で強要した。その代わり雇用を守るため休業補償、失業対策のために莫大な資金を投入している。しかしその各国の補償資金も長めに維持できる国でも今年末までに枯渇する。各国政府は財政赤字を抱え借金を膨らませることになる。それは経済破綻の危機でも有る。
              しかし人間生活で、人との交流を何ヶ月も止めるには生理的に無理がある。また日常の個人の経済活動を円滑に回す必要がある。そうでなければ生活が困難になってくる。ある国では一時的に感染者数が抑えられたかに見られたが、これだけ人が自由に世界を往来できる世の中、まして国境のないEU、国土の広い米国、ロシア、インド、ブラジル等を見るとその困難さが分かる。また、発展途上国の衛生管理状況下での感染者の拡大は避けられない。
そして人と人が挨拶を交わす濃厚接触習慣を持つ国では感染を弱めることは難しい?

              ワクチン開発が急がれるが、それも1~2年かかると言われている。それでは経済活動を維持するためにコロナウイルスと共生するしか方法は無い。そのためには個人としては3蜜(密閉・密集・密接)を避け、マスクを着用、手洗い・うがいを励行する。各国政府は抗体検査、抗原検査、PCR検査を徹底し、陽性反応者は隔離し、無症候性コロナウイルスキャリアを特定し人との接触を避けてもらう。これを徹底すればコロナウイルスと共生し、経済活動を維持することは可能である。
              それにしても日本政府のコロナウイルスに対する対策、PCR検査の対応が遅すぎる。二次感染を防ぐためにも、経済活動を大々的に進めるためにも早急に実施してほしい。その点韓国政府はPCR検査を徹底することで感染拡大を防ぐのに成功している。日本政府も見習うべきである。

              Shipping Guideの記事によると、米国小売業協会(NRF)の米国向け小売コンテナ荷動きは前年割れが続いているが、徐々に回復の兆しが現れ、前月予想を上回る荷動きが期待できると予想している。5月が前年同月比14.6%減、158万TEUで前回予想の147万TEUを大幅に上回った。6月は12.9%減、156万TEUで前回予想の146万TEUを大きく超えた。7月は前年同月比17.l4%減、162万TEUで前回予想の158万TEUを超えるが、8月は12.9%減、171万TEUと前回予想の173万TEUをわずかに下回り、9月も11.3%減、166万TEUで前回予想の170万TEUを下回り、10月は7.9%減、173万TEUと予想。当面急な回復は無いと予測している。
              Drewry Maritime Research(英国)の7月2日発表によると米国、欧州、アジア発着主要航路の世界コンテナ運賃指数(WCI)に総合指数は、2,031.57ドルper FEUと前週から7.8%(147ドル)上昇、5週連続のプラス。前年同期の水準を48%も上回り、過去5年の最高記録を更新した。年初からの平均は1,643ドルper FEUと過去5年平均の1,396ドルper FEUを247ドル上回った。アライアンス再編成の効果と需要に合わせて投入船舶をコントロールするやり方が成功していると言える。各アライアンス、船会社がこのポリシーを何処まで維持することができるかが今後の船会社の収支を決める大きな決定要素である。
              6月末の新造価格は、$1,980.00 per 20f, 5月末の価格, $2,000.00 から10%の下落である。新造コンテナの総工場在庫数は, 1,057,838 TEUで先月とほとんど変わりがない。船会社、リース会社からの注文が止まっているため、中国のコンテナメーカーは8月中旬から一ヶ月あるいはそれ以上工場稼働を中止するようである。通常8月、9月は輸出最盛期に入るためコンテナ工場フル操業に入っているはずである。コンテナ価格の下落に歯止めをかけるためか?10月に中国は国慶節に入る。例年、国慶節の休暇前にかなりの輸出ラッシュが見られる。その後、コンテナ需要は冬場に向かいコンテナ需要は落ち着く。コンテナ工場は大きな試練を迎えていると言える。

              我社も今週から再度Teleworkに入った。それは5月25日に緊急事態宣言が解除されたから約1ヶ月後の7月2日より東京のコロナウイルス感染者の数が7日連続で一日100人台を上回り、緊急事態宣言の再発令の可能性が有るためである。再度、発令ということになると経済的損失は更に深刻になる。日本政府は国民の自制だけを求めるのでなく、先にも述べたが抗体検査、抗原検査、PCR検査を徹底してほしい。そうすれば日本人の衛生観念、自衛本能、生活習慣から言って第二次感染に行く前に収束させることができと信じる。またそのほうが日本経済回復は早いはずである。