コンテナ運賃の上昇と国の介入 | 菅新総理へのお願い / コンテナ市況レポート 2020年10月

              中国国慶節の国民祝日が10月12日に明ける。その間6億人以上の国民が国内移動したと言われている。その数も前年度比8割弱である。COVID-19で国外旅行が制限されているため国民の生活エネルギーは国内旅行に向けられた。ちなみに2019年の旅行者数は海外旅行者も含め、7億8千万人であった。人口14億人の巨大な生活エネルギーマグマを感じる。その国民の巨大な生活エネルギーマグマがCOVID-19の収束を待って、全世界各国にインバウンドとして飛び出すのもそう遠くないように思う。

              ホワイトハウスのCOVID-19のクラスターの発生で、マスク無しで強気に振る舞っていた米国大統領トランプ氏もついにCOVID-19に罹り2日に入院した。但し気丈夫さを示すためか? 11月4日の大統領選挙前の選挙活動のために休んで入られないと言うことか?5日に退院した。
世界保健機関(WHO)が今月5日、世界人口の1割、7億8千万人の人が今までにCOVID-19に感染したと発表した。現時点の世界の累積感染者数は3500万人であるが、実際はこのくらいの人が感染したということらしい。罹っていても症状が出ない人がいる、特に若者に多いと言われている。引き続き気をつけたい。

コンテナヤード              英国海事コンサルタント会社、ドゥルーリーがコンテナ運賃について指摘している。9月の運賃は過去8年間で最高記録を作った。上海発ロサンゼルス向けで$4000 per FEUを突破して$4085 per FEU、前年同期比191%増。上海発ニューヨーク向け、$4879 per FEU、前年同期比90%増となった。上海発ロッテルダム向けは前年同期比で84%増。他航路でも前年同期比を上回ったとのこと。
              この運賃上昇は中国の生産活動が戻ってきていることと、北米・欧州の生活関連物資需要、クリスマス商戦用物資に対する季節的要因が上げられる。これは全米小売業協会(NRF)の統計によっても証明される。6月の輸入実績176万TEU、7月は192万TEU。8月は206万TEU(前年同月比6%増)、単月ベースでは過去最高を更新した。いわゆる夏場の中国・アジアからの輸出のピークが9月に当たる。COVID-19で荷動きが減ったために船会社として自衛のため配船数を減らした。それが欧米にある船会社のアイドリングコンテナを中国・アジアへの空回送に支障をきたしていることが運賃上昇に拍車を掛けている。
              一方、この未曾有の運賃値上がりに対して中国の交通運輸部が値上げ中止要請、米国の連邦海事委員会(FMC)が船会社、アライアンスに警告を発している。船会社競争条件に違反する行為を行ったと判断したら運賃値上げの差し止め命令を発するとした。しかしこれはおかしいのではないか。船会社がコンテナ船のスペースを埋めるために熾烈な運賃競争をして集荷をしている現状を何と考えるのか?コスト割れと考えられる水準で積まれている現状については関与せず、船会社は撤退か倒産を避けることはできない。2016年に当時世界7位の韓進海運が倒産したのが良い例である。韓進海運の倒産が船舶・港湾・コンテナ業界にもたらした大混乱は想像を絶するものが有った。こんな理不尽なことが有って良いのか?現状の運賃上昇は需給バランスの結果生じていると考えれば、国は現状の運賃上昇についての介入は避けるべきではないか?

              9月末の中国の新造コンテナの工場残は403,282 TEU (Dry: 347,351 TEU, Reefer: 55,931 TEU)。新造価格は$2,250 per 20f。9月単体での生産、349,466 TEU (Dry: 316,023 TEU, Reefer: 33,443 TEU)で今年最大となった。結果として先月の新造コンテナ工場残を勘案すると9月に550,676 TEUの新造コンテナが中国の工場から輸出用に使用されたと言える。

              9月16日に菅内閣がスタートした。7年8ヶ月間続いた安倍政権に内閣官房長官として関わった。世襲議員でない首相である。高校卒業後就職のために東京に出てきて苦学して法政大学を卒業。1996年第41回衆議院議員に神奈川2区から立候補して初当選。庶民派宰相である。COVID-19対策で露呈した動かない行政・古い規制を変えるために行政改革・規制改革相、行政の効率化を図るためにデジタル改革相を設置した。行政の縦割り打破、規制改革の徹底を期待したい。また企業の女性・外国人の起用拡大、中途採用促進で企業の多様性、活性化を力説した。
              9月23日の日経新聞にイタリアで国会議員の3分1を削減する国民投票が行われて、賛成約70%で可決されたことを報じている。これによって下院で630議席が400議席、上院が315議席から200議席に減る。年間1億ユーロ(約120億円)の経費削減効果があると思案されている。日本の国会議員数を半分に減らすことはできないものか?IT、AI、IoTを活かせればそれは可能ではないか?
コンテナハウス              私が関わっている仕事で菅総理にお願いしたいことが一つあります。それはISOコンテナを日本で店舗、家屋、倉庫に活用する場合、建築確認を要求されます。ISOコンテナについてその建築確認を必要でなくしていただきたい。建築確認が無くなれば、国内でISOコンテナを使用する数は半端でないものが出てくると考える。その経済効果は計り知れない。
              新造ISOコンテナはISO規格に基づき製造、コンテナ船7段積みに耐える厳格な検査に合格して市場に出てくる。毎年平均250万TEUの新造ISOコンテナが世の中に出てくる。取り扱いは機械化された港湾、工場でガントリークレーン、フォークリフトが使用され、コンテナ船、コンテナシャーシーで運ばれる。荷物運搬が終われば船会社、リース会社が運用しているコンテナデポに戻り、そこで再び詳細な検査が行われ、必要なコンテナには一定基準を満たす修理が行なわれる。一方、新造コンテナは5年間定期検査を必要としないが、その後は2.5年毎の定期検査を必要とする。但し、ACEPを取得するとその検査が免除される。そのようなISOコンテナに果たして建築確認を必要とするのかどうか?ISOコンテナを設置するのに建築確認を必要としているのは日本だけである。ISOコンテナは災害国日本でもっと活用されてもいいと考えている。是非、検討をお願いしたい。