バイデン大統領の就任100日経過、進むワクチン接種と経済政策への期待 / 記録的なコンテナ生産数とリース会社及び船会社による大量発注 / 国産ワクチン生産への期待 | コンテナ市況レポート 2021年5月 

     第46代米国大統領、ジョー・バイデン氏が頼もしく見えます。米国史上最高齢の78歳の大統領です。激務である大統領職が務まるか当初は不安でしたが、無事に”ハネムーン期間“の100日を務め、支持率も59%と当初の不安を払拭しているようです。破天荒のトランプ前大統領に比べ安心感があります。しかし政局は大変です。新型コロナウイルスはまだまだ世界で猛威を振るっています。COVID-19と経済対策がバイデン大統領評価の分かれ目になることは間違いありません。
     バイデン大統領は、経済格差対策の一環として、低所得者、一人当たり$1,400の現金給付、総額1.9兆ドルの“American Rescue Plan”を実施しました。トランプ前大統領時代、一人当たり2020年3月$1,200、12月$600の給付が行われたので、今回で3回目の給付となります。バイデン大統領は3月31日、8年間で2兆ドルの追加経済対策を打ち出しました。電気自動車(EV)の充電設備拡充に1,740億ドル、道路修復などインフラ整備に6,210億ドル。人口知能(AI)など先端技術投資に1,800億ドルを投資します。財源はトランプ政権時に21%に下げた法人税を28%に引き上げ15年かけて賄うとのことです。
     米労働省が7日発表した4月雇用統計によると、非農業部門就業者数は前月から266,000人増加。失業率は6.1%。前月から0.1%悪化。1~3月期の実質国内総生産(GDP)の規模はコロナ危機前の約99%まで回復したが、失業者数は890万人を超え、コロナ危機前の570万人を大きく上回っています。それは飲食業、輸送業が急速に回復してきているものの、働き手が手厚い経済対策のおかげで低賃金の職を避け、感染リスクの高い業種を避けるというミスマッチが出ているようです。
     日経新聞集計によると5月7日現在、米国の累計感染者数、32,604,810人、累計死者数、580,064人。また、7日移動平均の5月7日時点の感染者数は、45,109人です。
米疾病対策センター(CDC)によると、3日時点、米国でワクチン接種した18歳以上の成人は1億4,500万人に上り、接種率は56.3%になりました。バイデン大統領は独立記念日、7月4日までに成人の7割に最低1回の接種を目指す方針を明らかにしました。ニューヨーク市は7月1日より競技場、スポーツジム、店舗、レストラン、美容院を通常営業にもどし経済活動の再開を予定しています。
     一方、欧州もワクチン接種が進み、景気回復が加速するとの期待が高まっています。国際通貨基金(IMF)によるとユーロ圏の経常収支は2021年に約4,000億ドルの黒字の見通し、また中長期的にユーロ圏の経常黒字が再び世界最大になると見ています。
     中国は新型コロナ対策に成功したが、鉄鉱業の過剰生産能力、不動産市場の過熱問題を抱え、金融・財政が行き詰った国営企業救済に積極的に乗り出すことに躊躇しているのが現状であるようです。

     日本海事新聞の5月7日の運賃に関する記事によると、北米は西岸港湾および内陸部での混雑は引き続き解決しておらず、東岸経由の引き合い増とスエズ運河での座礁事故の影響もあり、北米東岸向け運賃は前週比$732値上がりで、$6,419 per 40f、4月始めに$4,800 per 40f前後だったものが、1ヵ月で$1,600も値上がりしました。北米西岸向けも3週連続の値上がりで、値上がり幅は$56となりました。初めて$5,000 per 40f台になりました。欧州航路の欧州向け$4,630 per 20f、地中海向け$4,705 per 20fといずれも値上がり、過去最高値を記録しました。
     Ocean Network Express(ONE)の2020年度通期業績が下期の著しい増益が貢献し、売上高、前年度比21.3%増、1兆5663億円(143億9,700万ドル)、税引き後利益が前年度比33倍の3,790億円(34億8,400万ドル)を記録しました。2021年度の見通しとして現在、悲観材料がみえないため、2021年通期で好成績を残すことが期待されています。

     2021年3月末、新造コンテナ価格は、$3,550 per 20fで先月と変わりません。但し、鋼材の約11%の値上がり、床材の値下がり(-4%)の差額は、製造個数が伸びたので工場側で吸収したと考えられます。4月の製造個数は664,970 TEU(Dry: 611,677 TEU, Reefer: 53,293 TEU)で過去5年間の記録的数字です。工場在庫は、337,063 TEU (Dry: 266,463 TEU, Reefer: 70,600 TEU)です。

 

  3月生産総数 4月生産総数
Dry 544,914 611,677
Reefer 52,964 53,293
Total 597,878 664,970
  3月工場残 4月工場残
Dry 229,280 266,463
Reefer 59,924 70,600
Total 289,204 337,063

 

     単純に、3月の工場残と4月の総生産を足して、4月の工場残を引くと、工場から4月中に出荷されたコンテナ数は、617,111 TEU(Dry: 574,494 TEU, Reefer: 42,617 TEU)になります。これも記録的な1ヵ月の出荷数量です。
     ちなみに大手7リース会社が2021年のコンテナ不足を見越して大量発注に動き出しています。

 

2021年1月~4月大手リース会社の発注量

  名前 Dry(TEU) Reefer(TEU) Total (TEU)
No.1 Triton 406,600 19,110 425,710
No.2 Textainer 262,740 12,700 275,440
No.3 Florence 148,650 31,168 179,818
No.4 Seaco 78,240 21,350 99,590
No.5 Seacube 31,000 29,940 60,040
No.6 Beacon 56,800 2,000 58,800
No.7 CAI 28,700 5,600 34,300
    1,012,730 121,868 1,134,598
    55% 72% 56%
  総生産数 1,841,546 168,587 2,010,133

 

リース会社の発注量はDryで全体の55%、Reeferで72%、全体で56%を占めています。
     しかし、このままのペースでいっても、2021年のコンテナ生産量は600万TEUを超えることは無いと思います。それは船会社が現在運用しているコンテナ数にはかなり必要数以上のコンテナを抱えていると考えられるからです。ですので、その反動も大きなものがあることを考える必要があると思います。船会社は欧米にある余剰在庫の持ち帰りに苦しんでいる。その持ち帰りがスムースに進み出した時、船会社の余剰在庫が一斉にリース会社に返却されることになります。その上、船会社が好決算で収支改善しているので自社コンテナ発注に力を入れています。その余剰分もリース会社は考える必要があります。

     日本では憲法上、政府はロックダウン(都市封鎖)を国民に強制できないという事実があります。そのため政府は5月7日に感染者数増加地域、医療逼迫状況に応じ、 “緊急事態宣言”を6都道府県に、また少し緩やかな“まん延防止等重点措置”を8道県に発出し、お願いベースで5月31日まで店舗休業、イベントの制限、国民の移動、外出自粛を要請しました。休業補償は少なく、対策もお願いベースで決め手を欠くため、Too little, Too lateを否めません。ワクチン接種の遅れもさらに事態を悪化させています。日本でのワクチン接種は、医療従事者(約480万人)が2月17日から始まりました。5月6日時点で累計420万人です。一回接種率、54%、二回接種率、22%。65歳以上の高齢者(3,600万人)への接種は4月12日から始まり、5月6日現在、一回接種者は242,629人、1%未満という情けない数字です。
     国民のほとんどが巣ごもりに疲れだしています。今となっては外出自粛だけではコロナウイルスを収めることはできません。国民が安心して外出、人との交流ができるようにするためにも、ワクチン接種を一刻も早く多くの人に済ませ、ワクチン接種人口を国民の60~70%まで持っていき、“集団免疫”を上げることしか解決の方法はありません。
     4月1日、産業ガス大手、東証一部上場会社、“エア・ウォーター社”が、ファイザー社ワクチン1瓶から6回接種できる注射針を開発したと発表しました。
     ワクチン確保が予定より遅れているなら、政府は、躊躇することなく、限られたワクチンを多くの人に少しでも早く多く接種できるように、5回しか打てない従来の注射針から6回打てる“エア―・ウォーター社”の注射針を優先して使用するように関係医療機関、役所に指示すべきだと思います。”エア・ウォーター社“は来年3月末までに海外向けも含めて3億本の生産を目指すとしています。日本企業の器用さがそこに有り、頼もしい限りです。政府は一刻も早く規制緩和を実行し、国産ワクチン生産に力を注いでほしいと思います。そうすれば日本もワクチン外交ができ、米中軋轢の中で四苦八苦する必要はないと考えます。