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【市況レポート】「中国造船8割支配とパナマ船籍逃避、運賃・ONE決算まで徹底解説」~2026年8月
イラン経済は限界寸前、革命防衛隊も追い詰められる内実
目次
米国・イラン戦争の現状は、2026年前半の軍事衝突を経て、現在は「イスラマバード覚書(MOU)に基づく停戦・対話フェーズ」にありますが、緊張状態が継続しています。トランプ大統領も11月4日の中間選挙までの時間は限られています。イランの革命防衛隊にとっても現状維持のコストは限界に達しており、長期にわたる制裁、軍事緊張やホルムズ海峡の封鎖状態は、石油輸出依存度の高いイラン経済に深刻なダメージを与え続けています。革命防衛隊も膨大な関連企業を所有・経営しており、経済の麻痺は自身の財源や権力基盤を揺るがしかねません。ホルムズ海峡閉鎖も時間の問題とみております。
米GDP減速でも個人消費堅調、AI投資が下支えする内実

米国通商代表部(USTR)は、2026年7月24日に“通商法301条”に基づく包括的な新関税措置を発効させました。2026年2月、米連邦最高裁判所が国際緊急経済権限法(IEEPA)を無効と判断したため、トランプ政権は一時的に”1974年通商法122条“に切り替えて10%の均一関税を課しましたが、それに代替するものです。(122条は条文上、議会の延長承認がない限り、関税を課す期間を150日以内と定めているため、7月24日が期限になっていました。)日本の対象品目に対する課税率は、原則として上限12.5%です。具体的に、既存の最恵国(MFN)の税率に応じて、合計の税率が10~12.5%の範囲内に収まるよう調整された課税体制が適用されます。
米商務省が7月30日に公表した2026年4~6月期の実質国内総生産(GDP、速報値)は1.5%増加でした。前期(第一四半期)の2.1%増から減速し、市場予想(2.0~2.1%)を下回りました。GDPの 7割を占める個人消費は前期比年率3.2%となり、前期、0.5%から大幅に加速し、全体を大きく牽引しました。トランプ政権の減税措置、北米・中米3か国で開催したサッカーのワールドカップなども追い風になったといえます。実質可処分所得の改善、耐久消費財(自動車等)の好調が背景にあります。企業の設備投資は前期比年率8.4%増加し、人工知能(AI)やデーターセンター関連投資を中心に、大きく伸びました。住宅投資は前期比年率、1.5%プラスになりました。外需(貿易)で輸出は前期比年率4.5%増加、輸入は前期比年率11.5%増加しました。AI・半導体や通信機器などの輸入の増加が顕著で、輸出の増加を上回ったことがGDPの押し下げ要因です。しかし景気の実態は底堅いといえると思います。
欧州連合(EU)統計局が7月30日発表したユーロ圏の2026年4~6月期の実質GDP(域内総生産)は前期比0.4%増加となり、前年同期比は1.0%増加でした。年率換算の成長率は1.8%となります。EU27ヵ国全体(前期比)は0.5%増加、前年同期比は1.2%増となりました。中東情勢の緊迫でエネルギー価格が上昇しましたが、一定の耐久力が出てきています。主要国の詳細はドイツが前期比0.2%増加し、前期の低迷から、緩やかなプラス成長を確保しました。フランスは前期比0.2%増加、内需の回復等により堅調な推移が続いています。イタリアは前期比0.2%増加で堅調さを維持しています。アイルランドは前期比3.9%増でIT・製薬分野などを中心に、現地に拠点を置く多国籍企業の事業活動が活発化したことで突出して高い伸びを記録し、ユーロ圏全体の数字を押し上げる主要因となりました。欧州が熱波で電力・ガス価格が急騰し、猛暑で冷房需要が増えています。一方、河川水温の上昇や渇水で原子力・水力発電の供給力が細っています。ガス火力発電依存が高まる中、緊迫する中東情勢の早急な解決は一刻の猶予もありません。
造船・EV・ドローンまで、中国が握る世界シェアの実像

中国が現時点、世界で高いシェアを占めている製品、素材を挙げてみます。
クリーンエナジー・脱炭素関係では、太陽光パネルの世界シェアは80~90%以上、リチウムイオン電池(EV・蓄電池用)の世界シェアは60%以上、最大手のCATLが世界No. 1を維持し、BYDなどの中国勢が市場の大半を占めています。リチウムイオン電池向け主要部材の絶縁体(セパレータ)や負極材、正極材などの主要部材は、上海エナジーなどの中国が世界シェア1位を占めています。EV(電気自動車)はBYDがEV世界販売台数で米テスラと首位を競り合い、完成車全体およびバッテリーと一体型の供給網で大きなシェアを持っています。エレクトロニクス・情報通信機器では、パソコンのレノボが世界シェアNo.1 約23~24%を維持しています。携帯通信基地(インフラ)では、ファーウエイが世界No. 1を保持しています。液晶ディスプレイ(大型・中小型LCD)では、BOE(京東方科技集団)がテレビ・スマートフォン向けともに世界シェアNo.1です。スマートフォンは単体企業では韓国サムスンや米アップルが上位ですが、Xiaomi, OPPO, vivo, Transsionなどの中国勢を合計すると世界スマホ出荷量の過半数を占めています。防犯・監視カメラでは、Hikvision, Dahuaが世界シェアNo. 1・2を独占しています。先端機器・ドローン・輸送機材では、民生用ドローンはDJIが空撮・産業用ドローン市場で世界シェア70%以上の圧倒的1位を維持しています。造船(大型船・商船)では、中国船舶集団(CSSC)などを中心に、竣工量、新造受注量、手持ち工事量の主要3指標全て世界シェア50%以上で韓国、日本を引き離して世界1位です。粗鋼生産量は、中国宝武鋼鉄集団などを筆頭に、世界の粗鋼生産量の約50%を占めています。特に問題なのは希少資源のレアアース(希土類)加工・磁石において、採掘だけでなく、EVモーターや精密機械に必要な“ネオジム磁石”など高機能磁石や精錬技術において世界シェア70~90%を占めています。2025年4月の中国の輸出規制によりEVモーターに使うジスプロシウムの欧州価格が規制前の8倍まで上昇しています。世界で中国の存在感が大きくなっています。2026年に入って中国は日本向け軍民両用品目の輸出規制を強化しました。レアアースの価格高騰に拍車がかかっています。
中国マネー1540兆円が滞留、一方AIマネー競争が過熱
中国マネーが銀行に滞留しています。中国国内の預金残高と貸出残高の差は6月末、63兆8100億元(約1540兆円)となり、統計を遡れる1997年以降で最大としています。中東情勢の悪化で景気不安が強まり、企業や家計が借り入れを減らし預金を増やしている現状があります。中国人民銀行の預金残高は6月末時点346兆4400億元で、前年同月比8.2%増加しました。貸出残高は282兆6300億元で5.2%増加しました。6月時点で預金の伸びが貸出の伸びを上回るのは2年連続となります。国家統計局によると工場建設などを示す1~6月の固定資産投資は前年同期比5.7%減少し、うち民間投資は8.5%減ったとしています。内憂問題を日本叩きなどで、海外問題に目を向けさせる現状が見えてきます。
世界の社債発行額は1~6月に約3兆6813億ドル(約589兆円、$1.00=Yen 160)として2年連続で過去最高を更新しました。人工知能(AI)特需を背景にした企業の資金調達競争に過熱感が出ています。投資家はより高い利回りを求め始めました。
日本の輸出が伸びています。2026年1~6月の輸出総額は過去最高の60兆6605億円でした。前年同期比13.7%増と7半期ぶりに2桁の伸び率となりました。人工知能(AI)の利用促進を追い風に半導体関連が牽引しています。
中国造船8割支配の裏で、パナマ船籍からの逃避が加速
海運調査会社、LinerLyticaの最新レポートによると、新造コンテナ船の発注残は既存コンテナ船隊の40%を超え、これまでに1712隻1,372万TEUと言う過去最高を記録しました。発注済みコンテナ船の10隻の内8隻が中国の造船所で占められています。上位15造船所のうち10造船所が中国となっています。
LinerLyticaのレポートによると今年3月以上、中国当局によるパナマ船籍の拘束が700%以上急増し、船籍を変更したコンテナ船は101隻に達しました。このうち中国の保有船が56隻を占め、残り45隻は14ヵ国の異なる国の管理船で、船籍の変更先はマーシャル諸島、バハマ、リベリアなどとなっています。LinerLyticaによると、船籍変更でパナマ籍コンテナ船は12%減少、残り731隻も船籍変更の可能性があると指摘しています。米連邦海事委員会(FMC)は、中国の港湾当局によるパナマ船籍の拘束急増は、今年1月にパナマ最高裁判所がCK Hutchisonのバルボア及びクリストバル港における港湾運営権を無効としたことに対する報復措置だと見ています。
コンテナ運賃高騰、ONE通期利益3倍の9億ドルへ上方修正
| コンテナ船運賃指標(WCI) 2026年7月30日 ※Drewryより参照 | |||
| 航路名 | 運賃(ドル/FEU) | 前週比 | 前年比 |
| 総合指数 | 4,255 | -3% | 70% |
| 上海/ロッテルダム | 4,667 | -3% | 42% |
| 上海/ロサンゼルス | 5,739 | -2% | 118% |
| 上海/ニューヨーク | 7,578 | 0% | 83% |
北米向けの短期コンテナ運賃は、主要コンテナ船社の運賃値上げ計画により上昇しました。7月24日から米国による通商法301条による新しい関税措置が導入されました。米国需要は、新関税措置適用前の駆け込み需要にもかかわらず、引き続き顕著なコンテナ荷動きがしばらく続くとみています。一方、上海発欧州・地中海向けの短期運賃は引き続き下落しました。
Drewryの7月31日に発表したCancel Sailing Truckerによると、Week32(8月3日から9日)からWeek36(8月31日から9月6日)のおける東西基幹航路の欠便率は8%となります。前週から横ばいでの推移となりました。ぜんたいの欠便のうち太平洋航路の東航は60%、アジアー欧州・地中海航路は26%、大西洋航路の西航が14%となっています。

Ocean Network Express (ONE)は、 8月4日、2027年3月の通期税引き後予想利益を前回予想の3億ドルから9億ドル(1440億円、$1.00 = Yen160 換算)へ3倍上方修正しましました。その結果、親会社も来年の連結業績予想を上方修正し、日本郵船は持ち分38%で年間約547億円、商船三井、川崎汽船の持ち分は31%、それぞれ年間約446億円を「持分法投資損益」(営業外収益)として2027年3月期の連結経常利益に計上する見込みです。但し、実質的にはONEの9億ドルの利益は一部、あるいは半分の4.5億ドル(?)が親会社に配当され、残りは内部留保(利益余剰金)としてONE自社運転資金や将来のコンテナ船発注、自社コンテナへ保有としての投資として確保されるものと思われます。ONEの今後の成長に投資されることを期待したいと思います。ONEの業績の上方修正は2027年3月の親会社の通期連結経常利益予想を、日本郵船で2500億円、商船三井の2250億円、川崎汽船の1350億円へと上振れさせるのに大きく貢献しています。如何にONEが親孝行者として頑張っているか分かると思います。
出荷が今年最高を更新、コンテナ価格を下支えする構造
7月の新造コンテナ価格は6月と同じ、$1750 per 20fでした。鋼材価格は変わりませんでしたが、床材と塗料が先月に比べ3%弱値下がりしましたが、価格は据え置かれました。これは、例年出てくる夏場需要を見越しての対応だと思います。
新造コンテナ製造本数は、767,186 TEU(Dry: 730,887 TEU, Reefer: 36,299 TEU)でした。前月と比較すると、生産本数は+101,641 TEU(Dry: +104,032 TEU, Reefer: -2,391 TEU)でした。比率では、生産本数+15%(Dry: +16.6%, Reefer: -6.2%)となりました。Dryコンテナの製造が過去1年で一番生産数が伸びた月になりました。一般に言われていますように生産月のピークが2~3か月早まったようです。
7月末新造コンテナ工場在庫数は、1,403,283 TEU(Dry: 1,339,309 TEU, Reefer: 63,974 TEU)で、前月との比較は、総在庫数 -79,965 TEU(Dry: -81,879 TEU, Reefer: +1,914 TEU)で、比率では、総数 -5.4%(Dry: -5.8%, Reefer: +3.1%)となりました。
7月の工場出荷本数は、847,151 TEU(Dry: 812,766 TEU, Reefer: 34,385 TEU)でした。Dryの出荷は前月を抜いて今年一番の記録となりました。出荷の勢いが7月のコンテナ価格を6月と同じ価格に維持させたといえると思います。
野党の引き延ばしを乗り越え、高市政権が動かした減税

高市政権に試練が次から次に出てきています。その一つは主要新聞社が行っている高市早苗内閣に対する支持率の世論調査です。NHKを含む各大手新聞社が行った支持率は50%台半ばに落ちています。これだけ一生懸命頑張っている高市政権に対し、メディアは視聴率、購読量を上げるべく反対の論陣を張って市民を煽っています。また野党は反対することが仕事とばかりに、徹底的に議案の引き延ばしをして、法案を反故にしようとしています。その良い例が、高市政権が公約とした“消費税減税8%を0%に2年間引き下げる案”と、自民党と日本維新の会が、2025年10月に結んだ連立政権合意書で掲げた“1割を目標に衆議院定数465名を削減する案”という高市政権の重要課題に対して無益な議論を吹っ掛けて1年近くも時間を無駄にしたことです。
定数削減は先延ばしになりました。野党は選挙公約で減税に賛成しているにも関わらず、高市減税に対して、減税の幅、対象範囲・方式の違いがあると言うだけで反対しています。自民党の中にも減税するにはそれを補う財源が必要であるとして、代わりとなる財源が無い以上、公約は破棄しても構わないという政治姿勢をとる元総理大臣もいます。しかし政府は8月5日に食料品消費税を2027年4月から2年間に限って1%に下げる方針を閣議決定しました。野党には、時間を掛けずに建設的な実行案にすべく速やかに共同作業をして欲しかったと思います。自民党衆議員も選挙公約を掲げた高市首相のお陰で当選したことを自覚すべきです。
もう一つは円安です。7月21日、ニューヨークの外為市場で円はドルに対して162円20銭台まで下げました。1986年12月以来、39年7か月ぶりに円安水準を更新しました。7月31日、日本政府・日銀のドル売り・円買いの為替介入に合わせ、米国当局もユーロ売り・円買いの共同介入に踏み切りました。現在は $1.00 = Yen157 水準にあります。円安は輸入物価を押し上げますので、日銀に利上げを英断してもらい、まずは適切な円高レベルにして物価を下げてもらいたいと願っています。これは減税、一時的給付金より効果的な経済政策であると確信します。
震度7の熊本地震が問いかける、強い日本を再建する覚悟とは
最後に、7月28日午後4時27分頃、熊本県で震度7(マグニチュード7.1)を観測する地震が起こりました。国内で震度7を観測したのは2024年の能登半島地震以来です。熊本県では10年前にも2016年4月14日に前震(M6.5、最大震度7)、4月16日に本震(M7.3、最大震度7)が発生しました。10年前の経験を活かし一般市民の生活を早く元に戻してもらいたいと願っています。自然災害に対して、国民が納得できる超法規的処置を検討すべきであると思います。
政治家、官僚の皆さん!!!国内外に困難を抱える高市内閣を、今しっかりと支えないで、何時支えるのでしょうか?日本の置かれている現状をしっかり認識して、高市政権を支え、強い日本を再建することが、今、必要なのではないでしょうか?
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